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G-Club Tokyoに訊く Gibson 最新入荷状況

新型コロナウイルスの流行で、2020年前半は世界が大混乱となっている。楽器業界も例外ではない。昨年まではアメリカで作られるギブソンの選定品などの特別なアイテムが1年に何度も日本に入荷し、ギブソン専門の大規模店舗のG-Club 東京の店頭を賑わせていた。しかし、今年春のコロナ禍以降は米ナッシュビルのギブソン工場は2か月ほどロックダウンで閉鎖され、G-Clubも厳重な感染対策の下、店頭販売を限定的にし、WEB販売を中心に展開した。

6月以降は日米ともに経済活動を再開している。しかし、そのような状況なので最新商品の入荷は遅れが発生し、情報の発信も例年のスケジュールとは異なるものとなった。また、本来は2020年前期はJCカーレイCEOが指揮する新体制ギブソンの製品クオリティを日本のファンが店頭で確認できるタイミングのはずだった。

ギタータウンでは、G-Club 東京の藤川 忠宏氏にインタビュー。日本の店舗から観たギブソンの現状と入荷状況、今後の展望。そして、本来の見どころであったギブソンの2020年モデルの実機取材を行った。

G-club fujikawa-san▲G-Club 東京 藤川 忠宏 氏

 

コロナ禍におけるギブソン製品の日本への入荷状況

-G-Club 東京では選定品と呼ばれるアメリカのギブソンに出向いてオーダーしたギターが人気商品となっていますが、今回のコロナ禍でそれら選定品の状況について教えてください。

ギブソンでは通常であれば年4回の選定会ツアーを開催しています。タイミングはだいたい「4~6月」、「7~9月」「10月~12月」、「1月~3月」の間に1回ずつ渡米する機会があるんですね。去年(2019年)は6月と9月がありましたが、12月は先方の都合で順延となりました。そして、そのまま今回のコロナ禍が起きてしまいました。ご存知のように、現在は渡米、帰国できませんから、今年は年内の参加は未定です。

-こうなると去年の12月に行けなかったのは痛いですね。その代替の手段はありますか?

「ネットを通して現地の材を選ぶのは可能かどうか」というアイデアも出ていますが、今のところ具体化はしていません。また、2020年の日本限定モデルとして、杢目に左右されないレスポール・カスタムやセミアコを予め相当数仕込んでいます。

-コロナの状況下ではギブソン製品の入出荷の状況はどうなのですか?

まず、12月の選定会ツアーが順延になったのはギブソンのナッシュビル内でのヘッドクウォーター(本社機能)の移転などが理由です。それに続いて、コロナ禍が起きて、ナッシュビルも2か月に亘ってロックダウンしています。現在では生産が再開していますが、バックオーダーを順番にこなしているようです。ですから、日本にも入荷はありますが、いつ、何が届くかは実際に出荷されるぐらいまではわかりません。それでも8月には特別なオーダー品なども届くような雰囲気になっています。

-ギターを製作している(旧)ディビジョンや工場などの違いで、遅れる具合に違いはありますか?

モンタナのアコースティックやアジア製のエピフォンは入荷が再開しています。ナッシュビルはロックダウンの影響からカスタム、USA共に入荷が遅れています。ギブソンも優先順位が高いモノから作っているようですから、人気商品が先になるのは仕方ないです。だから、レスポール・スタンダードが先で、カスタムやSGの様に元々製造本数が少ないモデルは後になるかもしれない。そのため、黒カスタム等は品薄になりやすいです。もっともこれは日本だけの問題ではなく、世界でも同様ですから、日本の正規ディーラーは限定モデルの企画をまとめてオーダーを入れたりします。オーダー数が一定数あれば優先順位も上がりますよね?

-頭がいい!(笑)。今のはナッシュビル関係のお話でしたが、モンタナのアコースティックはどうですか?

モンタナ州は春のコロナでは影響は少なかった州なので、ギブソン工場の操業停止も短かった。そのため、カスタム・オーダーを含めて、ナッシュビルよりも順調です。ですが、アコースティックはハンドメイドの部分が多いので、生産数自体が少ないです。中でも、元々J-45は人気モデルなのに、今回の件でさらに品薄に拍車がかかっています。だから、J-45が欲しい方は見つけたら買うぐらいの方が良いと思います。

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《記事収録品》■1942 Banner J-45 ■1936 J-35 ■1950's J-45 Original EB ■ G-45 Standard

コロナ禍をはさんだギブソンのソリッド・ギターの販売状況

-G-Club東京の2階フロアに限れば、今日(7月下旬)の在庫本数は去年の今頃と比べて2/3ぐらいですよね?自粛期間はむしろ売れたんじゃないですか?

自粛期間は店の入り口の(自動)ドアを閉めていたんですけど、自粛が開けた6月に入ってからの販売成績は悪くなかったんです。ひいきにして下さるお客様が多く、通販も積極的だからと言うのもありますから、お客様には感謝しています。ステイホームと言われていた時期には、アコやウクレレをやってみようと思う方が多かったり、久々にギターを始めようとする方が弦などを買ってくれたりしました。そのどさくさに紛れてカスタムも売れましたよ(笑)。

 

-どさくさって(爆)。

5月半ばぐらいからのことですが、コロナが長引くと思って「家での楽しみを増やしたい」という人が多かった。あとは「今年だったら買えるけど、来年もっと悪くなっていたらギターどころじゃない」という人もいた。他にも「自分の最後のギター、宝物としてのギター。だから、ハンパでないギターを買う」というのもありました。系列のお店でもマーティンの高価なヴィンテージも売れていますから、これはギブソンに限らない現象でしょう。自粛期間はある種、死生観について考えさせられた期間とも言えます。そういう売れ方だから、人数は少なくても金額が大きくなります。

-たしかにどさくさですね。その時の売れ線やトレンドのようなものはありますか?

うーん・・これはコロナに関係ないかもしれませんが、1年前の限定モデルですが60周年の59年モデル。お客様には“早い人”と“遅い人”という考え方があります。その遅い人たちが腰を上げたのがコロナのタイミングでした。ヒスコレは決して安いギターではないので、考えるじゃないですか?それで色々な情報を集めて、弾きに来たりする人は多いです。今年の1960年タイプが発表されましたので、その人たちが買うタイミングが、たまたま今回のコロナに重なっただけかもしれませんが。他には、30年ぶりぐらいにギターを弾きたくなった世代。学生時代からのあこがれという復帰組。“いつかは本物のギブソンを”という方ですよね。昔はBOØWYやラウドネスのコピーをしていた層など、僕と同じ世代のお客様なので、音楽と楽器について、楽しくお話しさせていただいています。

-カスタムの今の人気商品は何になりますか?

今だと今年の60周年1960年モデルですね。これは先ほどお話しした去年のモデルの続きですけど、ひと段落したレスポールのラストイヤー・モデルですから。

-ひと段落?・・・ちょっとわかりやすく教えてください。

カスタムのヒスコレって、毎年バージョン・アップしてきたじゃないですか?キャパシターやアニリン・ダイ、ニカワ接着、3Dスキャナを使ったネックやボディのプロファイリングとか。それがひと段落したところで登場したのが去年と今年の60周年モデルなんです。ネックが3種類と色の組み合わせで色々なモデルが選べるのが今年の特徴です。私はギブソンのスタッフではないからあまり無責任なことは言えないけど、バーストのラストイヤーは1960年ですから、60周年のモデルの(アーチトップ)スタンダードは今年がラストですよね。さっきの話にあった遅い人でも今回は急いだ方が良いかもしれません。

-なるほど。10年前ぐらいのヒスコレに比べると格段にレプリカ度が高くなってますものね。

今のヒスコレは“これで満足しない人は、ヴィンテージのバーストを・・”というほどのクオリティです。当店にはバーストも在庫していますから。

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《記事収録内容》60th Anniversary 1960 Les Paul Standard の計6本の同時比較レビュー

-マーフイー・ラボが昨年末からスタートしている(昨年末にギブソン公式から発表があった)はずですが、その後、何か情報はありますか?

マーフィー・ラボは、まだ具体的な動きが見えないですね。今年の後半ぐらいに動きがありそう。ただ、これは(上記のリンクにあるような)プロデュース商品を作るような動きになるのではないかと予想しています。これはコレクターズ・チョイスのように売れ線の商品になってもらいたいと思っています。

-(カスタム以外の)ギブソンやエピフォンの販売状況はどうでしたか?

良いです。学校が閉まっていた期間には子供に始めさせたいという需要でエピフォンが売れたり。ギブソンではスラッシュ・レスポールの動きがすごく良かったです。やはり20万クラスのミュージシャン・モデルは動きが良い。これはスラッシュだけでなく、以前のエース・フレーリーなども同様の動きでした。特にかっこいいからと普通に買ってもらってます。この辺はレギュラーは強い。

 

ナッシュビルで生産されたES-335が入荷開始。製品の高品質さも十分維持

-今日お会いしたら訊こうと思っていたのですが、ナッシュビル製の335などはどうですか? メンフィス工場の閉鎖以降、セミアコとフルアコのレギュラー製品もナッシュビル製になっていよいよ入荷してきています。

ナッシュビル製は良いですよ。というか、2012年頃からメンフィスもクオリティがすごく良くなったんですが、今もそれを維持しています。ナッシュビル製のセミアコはカスタムに限らずはっきりと良い製品です。これは工場だけでなく、メンフィスからナッシュビルに来ている職人さんが何人もいるからだと思います。良いモノがそのまま良い、だから、ぜひ当店で試してご覧いただきたいです。

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《記事収録品》■1959 ES-335TD VOS (Vintage Burst) ■1963 ES-335 Block Aged (Antique Viking Red)

 

-以前はヴィンテージ・タイプでも、どこかの仕様が変だったり、ワザと外しているの??(笑)みたいなモノもありましたよね。

そういうのは全くなくなりました。以前は、カスタムがヴィンテージの復刻モデルが中心だったのに対し、USAのレギュラーでは逆に「現在進行形から未来形を目指せ!」みたいな部分があって、同じレスポールでもカスタムとUSAでは全然別の仕様の楽器になってました。これが、トラッドなスタイルのレスポールでも、「カスタムとUSAでお客様の予算に合わせてお好きな方をでお選びください」と言えるようなブランドになりました。

-カーレイCEOも「オーセンティックなブランドとして、歴史を大切にしつつ、進むべきところは進める」みたいなインタビューを読んだことがあります。

例えば、レスポールJrでもタバコ・サンバーストの色がカッコよくなりました。これはヴィンテージのJrを基に色サンプルを変更したらしいです。そのサンプルデータを社内で共有している。カスタムやレギュラーなどのブランドの垣根を無くしたからだそうです。もちろん、商品の価格が違うから作り方は違いますが、どちらも同じく、ギブソンのレスポールJrに見えます。これまでのようにディビジョンが競うのではなく、情報を共有するやり方です。だから外から見ていても会社の環境が良くなったように見えます。それに企画関係などのキャリアがある人がナッシュビルのヘッドクウォーターに集まっているようですね。ヘッドクウォーターからの指示系統も整備されてるようです。今年に入ってから通信関係も整備されているらしいです。新体制のギブソンは、2021年に向けて、さらに良くなると期待しています。

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《記事収録品》■Slash Les Paul Standard (November Burst) ■New Original Collection Les Paul Junior (Vintage Tobacco)


G-Club Tokyo

G-Club tokyoG-Club 東京は御茶ノ水、駿河台下の世界最大規模のギブソン・ギター専門店。

1階のギブソンUSA/エピフォン

2階のカスタム製ソリッド

3階のセミアコ/フルアコ

4階のアコースティック

とそれぞれのフロアに高い専門性ある在庫と知識豊富なスタッフが常駐しているのが特徴。

世界でもココにしかない在庫やヴィンテージ、リーズナブルな中古まで、ギブソンのファンなら訪れるたびに新しい発見ができる楽器店だ。

G-Club Tokyo

〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3-8
Tel : 03-3295-2800
営業時間 : 11:00~20:00(年中無休)

公式ホームページ https://www.kurosawagakki.com/sh_g_club/

クロサワ楽器 G-CLUB TOKYO 【メインアカウント】 https://twitter.com/GCLUB_TOKYO

Interview & Photo / Masanori Morihiro (Guitar-Town)

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