ブラックのボディに真紅の認定書を持つ　GIBSON Custom Crimson L-4

GibsonのL-4は1911年にアーチトップ・ギターとして登場した。’49年に姉妹機のES-175が登場し、ES-175はギブソンのフルアコの代表モデルとなった。そのため、L-4は“ゴージャスな175”という位置づけになり、80年代にはL-4CESとなる。これは、ボディのサイズやアウトラインはES-175と同じだが、スプルース単板のトップ、サイドとバックにはマホガニー、指板はローズウッド材といった高級なウッド・マテリアルを使用。ゴールドパーツや豪華なインレイなどを使ったギターとして定着する。

▲GIBSON CUSTOM Custom Crimson L-4 Mahogany (Used)

今回、紹介するのは、ギブソンカスタムが製作した2016年製のカスタムクリムゾンのL-4で、「L-4マホガニー」が詳細な品名となるようだ。スペックや作りはもちろん大切だが、カスタムクリムゾンの実機試奏の動画も貴重だ。ジャズギタリストの丹羽悦子さんのデモンストレーションを含め紹介しよう。

2016年時点では、セミアコ/フルアコのESシリーズはメンフィス工場で作られていた。しかし、このギターはナッシュビルのGibson Customで作られたもので、“Custom Crimson”(カスタム・クリムゾン)の認定書が付属している。カスタム・クリムゾンとは、特に上質な材料を選別し、1本1本職人が完成させたギターだけが名乗れる最高級品。まさにOne of Kindの特別生産品である。製品には“真紅の認定書”が付けられている。

このギターは田園調布のボトムズアップ・ギターズにワンオーナーのユーズドとして入荷したが、認定書だけでなく、当時のタグなどが一式揃っている。さらに、ピックガード上のGibson Customのシールもそのまま残っており、前オーナーが大切に扱っていたことが窺える。

スペックとしては、スプルース単板トップとマホガニー単板のバック。しかも、L-4としては珍しくブラックで塗装され、その塗装は大変薄く、トップの木目が浮き出て見える。また、金属のパーツはゴールドカラーで、このギターではくもりがほぼ無い。そして、テイルピースの木製の装飾などもゴージャスな仕様だ。

型番こそL-4だが、実質的には「カスタム・クリムゾン版ES-175」と言ってよいだろう。L-4自体、通常の流通数が少ない上に、もし、日本からカスタム・クリムゾンを新たにオーダーした場合、製品の完成、そして入荷まで含めると数年かかる。その意味では、ユーズドで入荷している今が買い時だ。その意味で“ブックマーク”するのにふさわしい1本といえる。