毎年1月にアメリカで開催されるウインターNAMM。Freedom Custom Guitar Research(以下FCGR)が2017年のNAMM出展用の1本が今回紹介するFreedom Custom Guitar Research NAMM2017 RRS Bravery -White Blonde II-だ。今年4月時点ではBottom's Up Guitarsの田園調布本店で展示販売されている。 ▲Freedom Custom Guitar Research NAMM2017 RRS Bravery -White Blonde II- 価格=363,000円(税込 / 税抜き330,000円) ※価格は取材(2020年4月時点)のものです。
RRS BraveryはトラディショナルをFCGR的に解釈したオリジナル
FCGRのRRS BraveryはRRSと同様のシングルカットだが、フラットトップであるだけでなく、新開発の要素ばかりで構成されている。
◇左右非対称ボディ
一見するとレスポール・スペシャルを思わせる外観だが、ボディのくびれが非対称の位置にある。これは座位、立位の両方での演奏性を考慮したもの。アウトラインだけを見るとFCGRのRRSの流れを汲むオリジナル・デザイン。
◇ソープ・バー・タイプの「F-90」ピックアップを搭載
PUはFCGRオリジナルのF-90を搭載。ソープ・バーはシングル・コイルでも“太い”サウンドが特徴のPUだ。このF-90は単にゲインを上げるのでなく、特定の周波数帯に特徴を持たせることで際立つサウンドを演出している。
◇ボディはライト・アッシュで、ネックはボルトオン・ジョイント
RRS Braveryは一見した外観は「ギブソン??」に見えるが、実際に手にしてプラグインすると「フェンダー??」と感じる人が多いようだ。この印象はボディ材がフェンダー系のギターに広く使われているアルダーまたはライト・アッシュ(本機はアッシュ)で、ボルトオン・ジョイントという仕様に起因するようだ。さらに、ジョイント部はプレート・レスで、ハイ・ポジションで弾きやすいように角を落としている。
◇25インチ・スケール
ハイドラ以降のFCGRのギターは25インチ・スケールのモデルが主流になっている。25インチは日本人には弾きやすく、サウンドも良好なスケールだ。 以上でRRS Braveryの基本的な仕様を挙げたが、ルックスと触れた際に、プレイヤーの第一印象を裏切る仕様ばかりで構成されている。
搭載パーツは実にコンテンポラリー
FCGRはコンテンポラリーなギターの代表ブランドのひとつだ。そのため、トラディショナルなルックスのRRS Braveryでも、様々なコンテンポラリーなパーツや仕様ばかりで構成されている。 ・HATAノブ / 金属製のノブを採用。これは適度な重量があり、指のかかりも良いため、演奏中の誤動作を減らす。また、高い質感が特徴。 ・ステンレス・フレットのWarm / ギター製作の現場では、ステンレス・フレットは音に優れる反面、ギター製作の治具の多くが(ステンレスより柔らかい)スチール製のため、加工が難しい。FCGRではサウンドの良さと加工のしやすさを兼ね備えているステンレス・フレットを自社で開発。本機ではWarmを使用している。加工がしやすいためフレット端の丸みなどの加工が実に丁寧だ。これが演奏性の良さを生み出すポイントとなっている。 ・サイド・ポジション・マークはルミンレイ / 指板上のポジション・マークはオリジナルのオーバル・タイプ。しかも、サイドのポジション・マークは蓄光性のルミンレイで、暗転したステージでも安心。 ・ロック式かつダイレクト・マウントのブリッジ&テイルピース / FCGRのオリジナル・パーツ「ロッカブルブリッジ」を搭載。弦の振動をロスなくボディに伝達できるよう、ブリッジとテイルピースをボディにダイレクトにマウントしている。
ショー・モデルならではの材の選定と丁寧な作り
今回ブックマークした理由は、世界の晴れ舞台であるNAMMショーのために作られた1本だからだ。FCGRは製作面の定評は高いが、中でもこの1本は格別だ。 ・ボディ材 / ボディはライト・アッシュ材を2ピースで使用。特にこのギターでは木目が際立った木材が使われている。 ・ホワイト・ブロンドⅡの塗装 / 本機はホワイト・ブロンドⅡというボディ・カラーだ。ブロンド系のカラー自体はトラディショナルな色で各社微妙に異なる。このホワイト・ブロンドⅡはFCGR流にブロンドを解釈したカラーで、このギターに使われているライト・アッシュの木目にマッチしている。 ・角のスムースな丸め方 / FCGRの丁寧さがわかるのが、ボディやネックの角の丸め方だろう。ギターは身体に触れる部分のほとんどが木部で、面は手触り、角は演奏性に符合する。本機では、木材の素性の良さに加え、アーティスティックな曲面で木工がされている。 ・1ピース・ネック/ ヘッド角があるにも関わらずネックエンドからナット裏までが1ピース・メイプルなネック
2017年のNAMMから1年以上かけて帰国
本機は2017年1月のNAMMショーから1年以上経て帰国したギターである。というのも、このギターがアメリカに向けて出国したのは2016年の暮れだ。 現在は再び緩和されているが、ワシントン条約によりローズウッドの輸出入規制の実際の運用はその時々によって、その強さが変わる。日本出国の際には緩やかに運用されていたものが、2017年1月が最近では一番強い規制となってしまった。まさに2017NAMMの真っ最中の出来事だ。このギターもアメリカ出国用のCITESを新たに取得したが、実際に日本に帰国できたのは2018年の春だった。 その後、FCGRで整備され、現在はBUGの店頭にある。NAMMのための特別な1本として生まれながら、理不尽な停め置きに翻弄された。ショーのために作られた特別な逸品なので、その本領を発揮させられるプレイヤーの手にわたることを祈りたい。 ▲ヘッド裏 / 手書きのシリアル・ナンバー ▲バック https://youtu.be/AyAsc-1wrDw
【動画の内容】 00:15 【Talk】重浦氏による商品ガイド 07:59 【Play】クリーンサウンドのデモンストレーション 10:47 【Play】クランチサウンドのデモンストレーション 12:58 【Talk】重浦氏による推薦コメント |
[table id=4 /]
Freedom Custom Guitar Research NAMM2017 RRS Bravery -White Blonde II- 価格=363,000円(税込 / 税抜330,000円) ※価格は取材(2020年4月時点)のものです。 Bookmark取材協力店 : Bottom's Up Guitars https://www.buguitars.com/
取材協力店