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カラフルでかっこいいFender Mustang 3本

7月上旬、西荻窪のギターズマーケットにFenderのMustangが3本入荷した。これらは発売年の1964年製ではないが、発売当初の仕様の67年製までのもので、カラーも「ホワイト」「ブルー」「レッド」と当初のカラーが揃ったことになる。そこで、今回はその3本をブックマークした。

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1950年代のソリッド・ギターではフェンダーとギブソンはフラッグシップのストラトキャスター/テレキャスターとレスポール・スタンダードがライバル関係。下級のモデルでもミュージック・マスター/デュオ・ソニックとレスポール・ジュニア/スペシャルがそれぞれライバル関係にあった。60年代に入るとフェンダーではラインナップが拡大した。62年に最上級機種としてジャガーが誕生、続いて、ストラトとデュオ・ソニックの間に今回紹介するムスタングが登場した。今回、紹介するムスタングは1964年に登場。価格ではミッドレンジながら、当時の先進的な仕様と流行を取り入れた意欲作であった。

 

仕様

スリム&コンパクトなボディ・デザイン

ボディはデュオソニックのボディと同様のアウトライン、厚さだ。フェンダーの上級モデルはボディ厚は1-3/4インチだったのに対し、普及モデルのデュオソニックなどは1-1/2とやや薄く、材もポプラが使われている。今回ブックマークした3本はともにコンター加工が施されていないが、後にボディのトップ/バックにコンター加工が施される。

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ヘッドは時期的にラージヘッドに属する。Mustangのデカールが疾走感を感じさせる凝ったデザインとなっている。ペグはプラスティック・ボタンのF-Keyだ。

 

ジャガーと同様の24インチ・スケールのネック

スケールは24インチ・スケール。このスケールは同時期の最上級モデルであるジャガーと同様。ストラトやテレキャスターの25-1/2インチに比べると短いが、レスポールなどの24-3/4インチとではやや短いという範囲だ。指板はローズウッド、22フレット。ポジションマークはドットでパーロイド素材だ。

 

スライドスイッチを採用したフェイズアウト可能なエレクトロニクス

ピックアップはポールピースが隠れたカバードタイプのシングル・コイル。出力が弱めと言われるが、出力だけで比べるとストラト用とはさほど違いはない。

PUセレクターはトグルスイッチではなく、スライド・スイッチを採用。ジャガーなどでも様々なトーンを生み出すためにスライドスイッチが使われていたが、ムスタングでは2つのPUそれぞれにフェイズ・イン/オフ/アウトというシンプルで効果的なコントロールとなっている。今でこそフェイズアウトのPU組み合わせは一般的だが、1964年当時は斬新な仕組みだった。

また、マスター・ボリュームとマスタートーンで、当時のレオ・フェンダーのデザインしたギターに多く見られるように金属パネルに取り付けられている。

 

ムスタングのムスタングたる由縁 ダイナミック・ビブラート

ダイナミック・ビブラートはストラトキャスターのシンクロナイズド・トレモロ、ジャズマスターのフリー・フローティング・ビブラートに続く、第三のトレモロ・ユニットとして登場した。構造面ではフリー・フローティング・ビブラートを改良したもので、より弱い力で操作とダイナミックな効果が得られる。当時一大ムーブメントとなったサーフ・ミュージックに向けた軽やかなトレモロ・システムだ。ブリッジもジャズマスターでしばしば問題となる弦落ちを防ぐサドルに改良されている(このタイプのサドルは現代のアップデートな仕様のジャズマスターなどに流用されている)。アーム・バーはかなり角度がつき立体的なのも特徴だ。バーは差し込んだ後にテイルピース側面からネジで固定できる。

ダイナミック・ビブラートは歴史的にも他のギターには採用されていないムスタングだけのこだわりのポイントである。

 

登場時には標準カラーとして「ホワイト」「ブルー」「レッド」が登場

50年代はサンバーストやブロンドが主流だったフェンダーのカラーもジャガーを経て、カラフルとなる。初期のムスタングではホワイト、ブルー、レッドの3色のソリッドカラーから選ぶスタイルとなった。

当時のフェンダーにとって特別なカラーであるホワイトは、トータス柄のピックガード、ホワイトのピックアップカバーというこだわりを踏襲。日本ではCharが使用していたことで、特に人気が高い。

ブルーとレッドは単なる白ではなく、新たにパーロイドのピックガードと黒のピックアップ・カバーという組み合わせになった。

 

後のマイナーチェンジでは、カラー・バリエーションが増えた他、ボディにコンペティション・ラインなどが入り、70年代にはナチュラルなどカラーも増えていく。

Mustangというネーミングは荒れ馬というだけでなく、同じ1964年(4月)に発売されたフォードの車「マスタング」と同名で、カラーや後のコンペティション・ライン(ムスタングだけでなく、レーシングカーなどのボンネットに白や黒のラインを入れることが流行した)は、当時の若者の嗜好を反映していたのだろう。

 

ワンポイント

ムスタングはレオ・フェンダーがまだフェンダー社に在籍していた当時に開発された製品だ。ラインナップを整備するだけなら、デュオソニックに既存のシンクロナイズドを搭載、元々の3Wayトグルスイッチでラインナップを埋める方法はあったはずだ。その方が、製造工程もシンプルで、効率は良い。だが、レオはそんな安直な製品として開発しなかった。デュオ・ソニックを基にしながら、スライド・スイッチとダイナミック・トレモロを取り付けて、ラインナップ上に確固たる居場所を作った。ヴィンテージのムスタングにはレオのイノベーターとしてのプライドが溢れている。


Fender Mustang 1967年製

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▲Fender Mustang 1967年 (White) 価格=428,000円(税込)

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Fender Mustang 1966年製

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▲Fender Mustang 1966年(Blue) 価格=288,000円(税込)

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Fender Mustang 1966年製

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▲Fender Mustang 1966年(Red) 価格=Sold

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取材協力店

西荻窪のヴィンテージ・ギター専門店

“Guitars Market”

1984年創業のヴィンテージ・ギター専門店。いわゆる中央線沿線のギターショップ専門店を代表する楽器店だ。店主の寺田一仁はギタリストとしても知られ、日本のレジェンド・ミュージシャンと幅広い交流がある。その人脈とスキルにより、海外からの入荷品に限らず、長い付き合いがあるコレクターやミュージシャンからの放出品などがあるのも特徴だ。レアなヴィンテージ・ギターだけでなく、実戦で使えるアンプやエフェクターなども入荷するのが特徴。調整などにも定評があり、レジェンドたちの機材をフォローしているのがギターズマーケットである場合も多い。なお、西荻の大人向けのライブハウスTerraは同店の系列店舗だ。


Guitars Market

■住所 〒167-0053 東京都杉並区西荻南4-27-9 土屋コーポ1F

■アクセス JR中央線 西荻窪駅より徒歩8分 雨の日も高架下を通って、傘をささずにラクラクご来店

駐車場:近くにコインパーキングあり

■TEL / FAX TEL:03-3334-5566 / FAX:03-3334-5567

■営業時間 / 定休日 12:00~20:00 / 毎週水・木曜日

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