インタビュー&リポート 読み物

Duesenbergライブ“keep on knockin'”君はロックなんか聞く!?

Duesenbergライブ“keep on knockin'”君はロックなんか聞く!?

ギタータウンではサイトオープンに先駆けて、「ヴィンテージ・エフェクターを愛し続けて Duesenberg 匠」の記事を掲載した。その取材は今年春だった。その後、直近のDuesenbergのライブは北千住のライブハウスKnockで8月末に行われた。このライブはまだライブハウスでの入場レギュレーションがほぼ定まっていない時期に企画・実施されたものだ。というのも、後日のアーカイブ配信を前提に、ごく限られた近親者のみが生観覧。ライブも数回の休憩を挟みながら開催された。なお、現在のDuesenbergはギター=鈴木 匠、ドラムス=後藤マスヒロ、ボーカル=橋本政親、ベース=一郎というラインナップだ。

Duesenberg(デューセンバーグ)動画配信!

Duesenberg(デューセンバーグ)動画配信!

1月末まで、デューセンバーグ、パート3アーカイブロングラン公開中

心は疲弊し、移動も困難、コミュニケーションは、ブレイクダウンしています。そんな中、我々、デューセンバーグPⅢの映像は、移民の歌に始まり、guestの二人の底抜けな明るさを交え、コミュニケーションブレイクダウンでエンド。凡ての人と全てのライヴハウスにエールを送ります。さらに最後は、月光仮面が、GET Back!と叫んで結びます。映像により、2021を迎えた人々に対して、孤独のメッセージを送れたら!と思いました。それ故、ライヴハウスknockの協力も得て、デューセンバーグPⅢの映像において、1人でも多くの全世界、全宇宙に我々のrockを発信し続けたく、1月31日まで、無料の期間限定ロングランとしました。

映像は、こちらから

https://youtu.be/EcipX8McZKY

これから少しずつでも、明るい未来を実現化したいものです。誇大記述、乱筆乱文を御容赦願います。keep on living∞匠

撮影・編集 : Jackson yamada
監修 : Takumi
Duesenberg are…Hashimon/Masuhiro/Ichiro/Takumi

“Miracle Melidian" Duesenberg Mask LIVE at Knock 2020/08/22



今回、ギタータウンではギタリストの匠とベーシストの一郎の機材を取材した。

 

Gibson Les Paul Standard (1960)

このギターの所有者は匠ではなく、匠の旧友のコレクターのギターだ。オーナーが「最初コンバージョンのヴィンテージ・レスポールを購入し、そこからヴィンテージ熱に火がついて、つい購入してしまった」という1960年製レスポール。二十年以上前に中野の有名楽器店で購入したもので、当時の購入金額は「国産高級車とほぼ同額」とのこと。当時の相場でもバーストとしては破格に安かった。十数年ほど前サドルも消耗品なのでブラス削り出しの新品に交換していることなどでプレイヤーズ・コンディションのギターにしている。

トップ&バックは90年代後半にトム・マーフィーがリフィニッシュした。ハーネス部のプラスティック・カバーにトムのサインが入れられている。マニアの間では“トムのリフィニッシュがどのように経年変化するか?”がしばしば話題になるが、現オーナーになってからも二十年近くが経過。このギターでは購入後も退色が進行、本来のバースト塗装に似たタテのクラックが出始めている、よりリアルな風格を醸し出している。

PUはPAF。サドルはヴィンテージ・クローンと呼ばれるものに交換。ピックガードはオリジナルと思われる。

現オーナーが交換した主なパーツとしては、クルーソンのペグで、オリジナルは数年前に弦の交換作業中にボタンが崩壊した(そのペグは大切に保管)。有名なヴィンテージ・クローン・ブランドのものの中から、ボタンの色や収縮の雰囲気がオリジナルに近いものを選び交換。以前、演奏中にストラップ・ピンが外れる事故が起きたため、木部を専門店で修復している。

▲オーナーが99年に撮影した写真。交換される前のクルーソン・チューナーの状態。

 

Gibson Les Paul Standard (1957)

購入してから今年が10周年という57年製ゴールドトップ。先の60年製よりも「ずっと高額で購入している」だけあって、オリジナルに近い仕様を残し、現在もコンディションも良好だ。

ただし、購入した時点で、ペグがグローバーに交換され、指板もやや削られていたようだ。これは以前のオーナーがすり減ったフレットのリフレットを嫌って、指板側を削るという処置をしてしまったようだ。

購入した段階では、濁ったようなサウンドで不満があった。そのため、電気部品を洗浄した。そうすると一気にサウンドが改善。むしろギラギラとして派手高音域がな特徴の太いサウンドで、以来、オーナーのお気に入りのサウンドのギターとのことだ。

今回の収録では、バックアップとしてスタンバイしていた。

 

Fender Telecaster (1952)

テレキャスターの52年製は初年度なので、本来は破格の逸品としての待遇を受けるはずだが、今回のDuesenbergのライブでもボウイング(ヴァイオリンの弓)奏法で使われるなど、ヴィンテージらしからぬ扱いだ。というのも、このギターは元々、十五年ほど前にネット・オークションで超格安で落札されたギターだ。購入時点で、ほぼ無塗装、ヘッドのデカールも変更、ナット交換・・要するに、木部とブリッジ、リアPUを残し、ギターとしては演奏に適さない部分も多い、レストアが必須のギターだった。そのため、現オーナーによりレストアした部分が多い。

まずボディの再塗装。これは国内の専門業者に、生地着色からブロンド塗装を依頼した。バックの塗装の薄さなどはかなりリアル。また、その後、親しい友人にレリック仕上げを何年か間隔をあけて2度にわたってやってもらっている。演奏を重視しているため、ペグは近年のゴトー製に変更している。サドルは5-6弦用はオリジナルだが、3-4弦用、1-2弦用は交換されている。これはステージで思いがけずギターが前面を下に倒れ、1-4弦側のサドルに弦が食いこんでしまう事故による。

現オーナーがオリジナルにこだわっている部分がある。それは木部が露出したネック・グリップとオリジナルのままのリアPUの2点だ。ネックはトラ杢がでているのが確認できる。私も撮影時にネック・グリップを触れたが、やや太めで木の感触が何とも心地良い。これは再塗装などせずに残した部分として正解だ。そして、リアPU(回路は購入時点で変更されている)のサウンドは、痩せすぎず、太すぎずで良好な音を聴かせてくれる。そのサウンドは匠の演奏でご確認いただきたい。

 

Unknown Takumi Mark.1

匠はメインギターは69年製のギブソン・レスポールだ。(そのギターは今年春の段階で、オリジナルP-90からクローム・カバーのP-90タイプのPUに交換されている。)ただし、今回の収録では、国産のLPタイプのギターを基に原型ををとどめない改造が施されたギターが使われた。このギターは彼が“Mark.1”と呼び、自宅で常に傍らに置き、ことあるごとにつま弾くギターだ。

ヘッドには「Gibson」のロゴがあるが、自作と思われる、一見でフェイクとわかるラフなものだ。デカールは剥がされて、シールが貼られている。“Duesenberg 匠”と刻印されたトラスロッド・カバーが取り付けられている。チューナーは元はクルーソンタイプだったようだが、現在はグローバーに交換。なお、ヘッドは折れて修復した痕跡がある。

トップの赤色の噴き方自体が非常にラフ。トップのドラゴンのイラストは、その後追加されたようだ。

このギターではテイルピース部で弦の巻き方が独特で、6弦、5弦は通常通りだが、4-1弦はテイルピースの上部を通して、テンションを柔らげている。また、サドルの弦のコースどりの切れ込みもセンターから外れた位置で切られている。

 

アンプ/ エフェクター

今回は彼が愛用しているハイワットではなく、彼が自宅で使っているMarshallのClass 5のヘッドが使われた。真空管を採用した5ワットのアンプで、アッテネーターを装備しているため自宅などでは出力を落とせる。マスターボリュームなしのシンプルなアンプを今回匠はボリュームを6~7ぐらいで使用。手許のギターのボリュームと足下のエフェクターで多彩な音を出していた(キャビネットはKnockのスピーカー4発入り)。

アンプの上に置かれているのが、バイオリン用のボウ(弓)。今回のライブでは、テレキャスターをボウで弾く一幕も観られる。

エフェクター・ボードは雑然とした配置。しかも、毎回何かしら違うエフェクターが入っており、固定されていない。ただ、BOSSのディレイ、リバーブ、ハーモナイザーと80年代のPROCOのRAT、XOTICのコンプレッサーSPはほぼレギュラー(特にXOTICの三浦氏は匠の旧友とのことで、いずれ話を訊いてみたい)。今回は、ギタータウンの記事で登場したCOLOR SOUND Tone-Bender Mk.Ⅲ (Late Model)も接続され、随所で使用されている。この辺は配信での見どころだろう。

なお、左から二番目の赤いワウ・ペダルはUEKIというブランドのワウ。このブランドは日本のブランドのようだが、非常に珍しい。バネを使用してペダルを“上”に固定する仕組みなので、スイッチをONにして、足を離すと最もトーンが絞った音に固定される。本番で使うのを楽しみにしていたが、本番でのワウは全てクライベイビーのようで、UEKIのペダルは使われなかったようだ。

 

テルミンは、以前、イシバシ楽器店が発売したテルミン。コントロールなどに手が加えられているが、「ロックのかっこよさはゴジラの咆哮と同じ」と語る匠にとって、彼が敬愛するゴジラの記念切手が筐体に貼られている。

彼のテルミンに欠かせない相棒がMaestroのEchoplex。磁気テープを使ったアナログ・エコーだ。内部のアンプ部に真空管を使用した太い音は彼のテルミンの奏法の秘訣といえる。

 

Warwick Thumb NT 5st

デューセンバーグの現在のベーシストである一郎のベース。彼は匠の知人の居たバッドシーンの成瀬喜博の秘蔵っ子ということで2年程前から参加している。このベースは2004年製、ドイツで作られたワーウィックのサムベースの5弦。購入以来、無改造とのことだ。ブビンガ材のボディとオバンコールとブビンガの4ピース・ネックでスルーネック構造。独自の2ピース・ブリッジ、Active MEC J/J pickupsを搭載したマルチなアクティブ・サウンドが特徴だ。このベースのバックには彼がセッションしたミュージシャンや関係者のサインが入っている。

 

-インタビュー&リポート, 読み物
-, , , ,

© 2024 ギタータウン