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ジャズギタリスト 丹羽悦子 デビュー・アルバム『Sceneries』超ロングインタビュー

 

《ギター、そしてジャズとの出会い》

▲ギター 丹羽悦子


丹羽さんの音楽キャリアについて教えていただきたいのですが、最初からジャズを目指していたのではないですよね?

小学生の頃はバイオリンをやっていました。私、サッカーやバスケット・ボールが大好きなんです。なので、中学ではバスケット・ボール部に入りました。でも、家にフォークギターがあって、姉が時々ぽろぽろと弾いているのを見てましたね。ギターに興味を持ち始めたのは部活を卒業した頃かな。バンドブームで先輩や周りの友達がギターを持ち始めたのもあって、その頃からだと思います。ギターを弾き始める直接のきっかけとなったのは、X Japanでした。「紅」の冒頭のアルペジオがあるじゃないですか。それを弾きたくて、Hideモデルのギターを買ったんですよ。それで同学年の友達のバンドに入れてもらったのがスタートですね。高校に入ったぐらいで地元のライブハウスとかで何回かライブもしました。

その頃好きだった音楽はどんなのでしたか?

当時は、GLAY、X、Luna Sea、L'Arc-en-CielなどのJポップやボン・ジョビ、Mr.bigとかのハードロック系のものを聴いたり弾いたりしてました。あとはパンクも流行っていたのでHi-STANDARDやELLEGARDEN,洋楽だとGreendayとか。私の姉がよくグリーンデイを聞いていたので、すごく影響がありました。音楽はとにかく色々聴いてました。姉が四人いたので、みんなのCDを借りて。

その辺は割と普通の中高生だったんですね?それが本格的なジャズとかバークリー音楽大学に向かっていくのはどんな経緯からですか?

高校の頃のバンドで一緒だった人がLAの音楽学校のMIに留学しました。私も影響されて「アメリカに行ってみたい」って思いはじめました。その時、すでにバークリー音楽大学があることは知っていて、最初にボストンに短期の語学留学をしたんです。その時にも空いた時間に一人でバークリーを見学に行ったり、周辺で行われているライブを観に行ったりしました。「ああ、すごくいいなあ、これはやっぱりいつか、バークリーに行きたいなあ」と思ったんです。本館の玄関口にセキュリティの怖いガードマンがいつも立っていたから怖気づいちゃって学校内には入れなかったですけどね(笑)短期留学から日本に帰って、しばらくして今度はバークリー音楽大学の夏期プログラムの Guitar Sessions に参加しました。そのあとバークリー音楽大学への進学を決めたのですが、入学の時期に間に合わなく、初めはバークリーではなく、シアトルのコミュニティー・カレッジに二年間。その後にバークリー音楽大学に編入して、卒業しました。

ジャズとの出会いはどんなきっかけでしたか?

高校卒業したくらいの時に、アメリカ育ちの日本人のシンガーソングライターと出会って。その人がジャズやブルースが好きで一緒にバンドをはじめました。その人からの薦めや影響でした。たまたま家の近所が音楽スクールだったので、そこで吉原寛治先生に出会いジャズギターを習い始めたんです。で、発表会の時に自分で好きな曲を弾けるというチャンスがあり。たまたま、その当時、流行っていたウッディ・アレンの映画「ギター弾きの恋」でジャンゴ・ラインハルトの音楽に魅かれて。発表会ではジャンゴ・ラインハルトの有名な 'I'll see you in my dreams' を選曲しました。でも、テーマのメロディは、ハワード・アルデンのバージョンだったんですけどね。その時はジャンゴスタイルの音楽が好きでしたが、いわゆるアメリカンジャズにそこまで踏み混んでいなく、本格的にはアメリカに渡ってからですね。

ジャズの演奏活動は?

いわゆる、ライブ活動を始めたのは、日本に帰国してからしばらくしてからですね。はじめはセッションなんかに顔をだして、それからコンボでライブ活動を定期的にし始めたのは4年ぐらい前からです。

 

《バークリー音楽大学とバンド活動》

 

では、進学したバークリー音楽大学のことを訊きたいのですが、バークリーでの丹羽さんは、どんな風でしたか?

バークリーでは学期ごとにプライベートレッスンの先生を選べるんですよ。もちろん、同じ先生を継続する方が多いのかもしれませんが。自分の目標とするスタイルに合わせて、プライベートレッスンの先生を選べるといった、カリキュラムアドバイザーの日が設けられるのです。入学して一番初めに「ビレリ・ラグレーンのようなスタイルの先生を紹介していただけますか」と聞いたら、「そうゆうスタイルの先生はここには居ません」って事になって。今思えば、そりゃそうですよね(笑)アメリカだから。ビレリ・ラグレーンはフランスのジャンゴスタイルのギタリストだから。「それじゃあジョン・アバークロンビー系で」って(笑)そんな感じで、その時学びたいものに特化した先生を探して。一番長く一緒にいた先生はクラシックギターと、ブラジルギターを教えていた先生で1年間くらいでしょうか。プライベートレッスン以外にもその先生の率いるギターアンサンブルのクラスもとったり。課外授業では色々なギターのコンサートにも連れていってくれました。教会とか、他大学のクラシックギタリストの演奏を聴きに。とても楽しかった記憶があります。あとは卒業もできるだけ早くしたかったというのもあり、とにかく履修をする。それだけを目標に学校の勉強には真面目に取り組んでいましたよ。

バークリーが良かった点はどんなところでしたか?

先生も生徒の数も多くて、その人たちの演奏を肌で感じて見られて良かったな、ということですね。刺激があるとゆうことと、色々な国の音楽家と知り合える、ところでしょうか。自分の目標によって、現地に居るメリットは様々あると思うけれど。今だとSNSとかで世界とつながっていて、簡単に ライブ動画を観れたりリモートセッションも可能な時代ですよね。でも何よりも、アメリカに居て感動したことは、ライブ料金が安い(笑)特にバークリーでは学校の先生のライブだと無料で入れたり・・私は、とにかく音楽の視野を広げらたことかなと思います。個性的な先生も多かった印象ですがとても良いひとたちでしたし、すごい自由な学校だと思います。

(※今、丹羽さんのブログでは、バークリー時代の出来事を連載中です。興味がある方は、こちらからぜひご覧ください。)

 

日本に帰った後は?

日本に帰ってきて、しばらくしてジャンゴスタイルのジプシー・ジャズのコミュニティに参加しはじめました。アメリカにいるときはそんなチャンスがなかったので、すごく嬉しかったです。ジプシージャズはジャズのセッションとは違ってて、みんなで集まって、円陣になって一緒にギターを弾くというスタイルです。大半がマカフェリギターを使用して。アコースティックギターもいますし、時にはほかの楽器もいたりしますが。ベースやバイオリンとか。圧倒的にギターが多いですね(笑) 楽しかったです。その後、ライブ活動を年に数回ですが始めたりして。2016 年頃からは、もっと幅広くジャズを演奏をするために、フルアコを手にしてコンボでの活動をはじめました。

僕は2019年の秋に神保町のライブハウスで丹羽さんのバンド編成のライブを見ましたが、あのスタイルになったのは?

クインテットのバンド形態の時ですね? あのライブではジャズトランペッターの谷殿明良さんと、私がゲストで、メインバンドメンバーはトリオの方です。私のオリジナル曲を中心としたライブ活動もそのトリオメンバーの方と、クァルテットでしていました。始まりは2018年頃ですね。私のオリジナルのほうでは2回。先ほど言っていたゲストのギタリストとして彼らの音楽に参加させていただいたのは3回ほど。コロナ禍に入ってしまいましたので。

意外ですね。その時のライブも完成度は高かったので、もっと頻繁かと思っていました。トリオとかソロギターは頻繁に活動していますよね?

小規模なライブはカフェとかでもしています。ジャズのセッションライブなどは、大体がライブ当日に集まって、打ち合わせをして、というスタイルですね。他にサイドとしてのお仕事もちょこちょこと。ちょうど(この取材をしている)百合ヶ丘の「轍カフェ」さんでもギター二本とベースでのトリオライブをさせていただいたことはあります。これからソロでの活動も開始したいので、一人でライブが提供できるように、色々準備をしています。

 

 

▲百合ヶ丘「轍カフェ」にて。

《バンド「ニワトリ」とアルバム『Sceneries』発売の経緯》

最近の活動についてですが、定期的なライブ活動について教えてください。

自分の音楽をメインとしたクァルテットのバンドと並行してトリオのバンドでの活動もしていました。赤坂にあるライブハウス「Virtuoso」には定期的に出演しています。今回のプロデューサーでもある、矢堀孝一さんのお店なのですが。2017年頃から色々なミュージシャンとトリオ編成で活動をさせていただいていて、現在のニワトリに繋がるメンバーが集まりはじめました。コロナ前ですから、2019年頃かな?  現在の吉峯さんと柴田さんというメンバーで確立しています。コロナになってからお店も頑張っていただいて、去年の夏からは配信などで3か月に一回程度ですが活動もできました。矢堀さんからは「ライブでいい音が録れたら、CDも出していきましょう」と長い間、おっしゃっていただいてました。

アルバム『Sceneries』のプロデュースは矢堀孝一さんですよね?

CDアルバム製作は私自身は初めてでしたので、矢堀さんにプロデューサーとしてお願いをしました。スタジオの手配、エンジニアの選択、流通のこととかも相談に乗ってくださいました。流通やプロモーション活動はレーベルにご協力を沢山いただきましたが、矢堀さんに紹介していただいたレーベルです。

アルバムはアレンジが秀逸ですよね。基本はトリオの音だけど、それを邪魔しないように自然にアコのストロークやツインギターのハモリが登場したり。シンプルで効果的なプロデュースだと思います。

そうですね。音のセンスや、全体の音色、音量バランスはエンジニアの方のおかげだと思います。エンジニアの木村さんと矢堀さんとミックスの日にはじめて立ち会ったときには、もうすでにかなり高い完成度で音の世界観が作られていて驚きました。そのあと細かな、自分では気付かないところを、矢堀さんが客観的に見てくださって、サッとやってくれました。それも沢山のことをするのではなく、ひとつのことだけとか。でも、そのひとつのことをするだけで印象がガラッと変わって、良くなりました。矢堀さんは現場では物静かな方なんですけど、そのひと言がグッとくるというか。勉強になることが沢山ありました。どういう視点で音楽を聴いているとか。音楽のどこに耳を傾けるかとか。

アルバムの製作が具体的になったのはいつごろですか?

昨年の秋ごろからです。昨年、このトリオで夏にライブ配信をした時に、プロデューサーの矢堀さんを含め、沢山の方々がアルバムリリースを推してくれました。それで、秋あたりにドラムの柴田さんが、ミーティングの機会を立ち上げてくださり。できるだけ早く、具体的に動いていかないとと。スタジオやエンジニアの話もその場で始まり、そこから、ですね。その波に乗っていった感じです。ある程度の準備期間は必要ですが、そんな日にちを引き延ばすこともできないので。今年の2月のレコーディング・スタジオのスケジュールがとれたので、それを目標に進みました。

デビュー作ですが、今回のレコーディング体験はどうでしたか?

今思えば、楽しかったですけど、短かったですよね。バンドでは2日間で録りましたが、学ぶことも多く、勉強になりました。なんか忙しくて、楽しいというよりは、いつも頭の中にあったのはできるだけの事をしなければ、と。責任感みたいのと。あとは集中力と、体力勝負ですね(笑)あっと言う間でした。

レコーディングとライブの違いは?

今回、レコーディングにはクリックを用いました。ライブでは、クリックなしですよね。大体のテンポで、せーの!でやりますよね。やり直しはないですし(笑)でも、レコーディングでは曲のテンポもしっかり決めて。で、そのクリックの準備とか、レコーディング用に曲のコードの見直しをしてリアレンジした譜面を作り直したり。当日の進行表を作ったり。楽曲進行表も作成したりと。今回は、オーバーダビングもしたので、ギターの伴奏も改めて考えたり、音色も決めたり。普段ライブではそこまで気にしていなかった細かな、バンドでのキメの部分に関しては吉峯さんと、柴田さんが話し合いをしてくれてたりもしました。

 

▲5月20日 Virtuoso 赤坂 『Sceneries』発売記念ライブ

今回のレコーディング・メンバーのベースの吉峯勇二郎さん , ドラムスの柴田亮さんについてもお聴きしたいです。まず、柴田さん。僕は5月20日のライブでドラムの真正面、1mぐらいの場所にいたんです。だけど、全くうるさくなく、しかも、手数を駆使した完璧なドラムを叩いてました。メンバーや広さに合わせて、しかも、様々な手数を披露する良いドラムでしたよ。

甘えてはいけないんですけど、さまざまな点で柴田さんはリーダー的な存在ですね。とにかく幅広く、沢山音楽活動をされてきているので、毎回いろいろなアドバイスをいただいています。今回のレコーディングの件に関してもですが、いつも本当にお世話になっています。演奏は毎回素晴らしいですよね。

ベースの吉峯さんは、ウッドベースもアイコンタクトしながら、セッションしていますね。あとご本人はラップもやるとか(笑)。

そうですね、すごくアイコンタクトをとってくださいます。ライブではセンターで弾いていらっしゃるので、ドラムとギターの両方と。吉峯さんはラップ以外にも色々なものに挑戦していらっしゃるそうです。一度ライブのほうも見てみたいのですが。柔軟なミュージシャンだと思います。音楽的にも、性格的なものも含め、お二人とも私に無いものを沢山持っているので、それがバンドとしてはうまく中和されている要素なのかなと思っています。

 

▲吉峯勇二郎(ベース)

▲柴田亮ドラム

アルバムタイトルの『Sceneries』の意味は? 聴いていると絵が頭に浮かびますけど。それは意識して作曲したものですか?

曲によってですね。最初にイメージがあって作る場合もあれば、先にギターのフレーズができて、そこからイメージを膨らませる場合もあります。でも、作曲の時には、細かく考えているのではなくて、漠然とした映像、イメージのようなものがある程度で、細かなストーリー性はありません。曲の流れは意識してますけど。「Kite」なんかは頭の中にストーリー性のあるイメージが浮かびやすいと思いますが、それは必ずしも意図的に作曲しているわけではないんですよ。それができたらすごいです(笑)

今後の活動は

徐々に7月から始めたいと思っています。バンド編成もですが、ソロ活動も含めて。色々な編成で、活動範囲を広げたいです。

直近では8月14日(※下記に公演情報を追加しました。/)にレコ発の第二弾のライブも予定しています。スペシャル・ゲストも予定しているので楽しみにして下さい。他のスケジュールは、ホームページやSNSで。配信も増やしたいです。

[ Sceneries CD 発売記念ライブvol.2 ]

2022/1/15(土)

【開場】13:00
【開演】14:00
※入れ替えなし2ステージ

[出演者]
丹羽悦子(Gt) , 吉峯勇二郎 (Ba), 柴田亮 (Dr)
豪華スペシャルゲスト: 高島真悟(Pf, Acc, Synth)

[会 場]
まほろ座 MACHIDA
https://www.mahoroza.jp/
東京都町田市森野1-15-13

◆料金
前売 ¥4,000(別途1ドリンク) / 当日 ¥4,500(別途1ドリンク)
小学生〜大学生 ¥2,500
※限定入場 ※指定席(お席はお選びいただけません)

詳細は

http://echalog.blog.jp/archives/11936624.html

まで

 

 

《アルバム『Sceneries』の全曲レビュー & コメント》

 

~ 丹羽悦子 待望の1st Album ! ! ~ 『 Sceneries 』

produced by Koichi Yabori 矢堀 孝一
品番 VGDLWF0012 定価 ¥ 3,300 (税込)
発売元: ベガ・ミュージックエンタテインメント株式会社 (VEGA Music Entertainment)

*全国販売店にてお取り寄せも可能です。その際は
[品番VGDLWF0012] [タイトル Sceneries] [アーティスト名 丹羽悦子]
をお店の方へお伝えください。

 

1/Babyjumbo(誕生の曲)

◇ギタータウンの解説

デビューアルバムの1曲目を飾る曲。キャッチーでメロディアス、1音ごとを丁寧に演奏する丹羽のギタースタイル。コンパクトな曲ながら、大きな期待感を覚える。

Etsuko's Voice

この曲を作ったのは今から3年前。最初に、3拍子、ワルツでメロディが浮かびました。ちょうどその頃、クゥアルテット編成でのバンドでのライブが計画されていたので、そのイベントを想定しながら曲作りを進めました。何回か書き直しをして、やっとのことで誕生した曲でもあります。タイトルの「誕生の曲」はそんな意味も含んでいます。メロウというか、マイルドな曲なだけに、アルバムの途中に入れたら主張が少ないのではないかと思いオープニング曲にしました。エンディングは割としっかりしているので、一曲目に区切りが付く感じで良かったかなと思います。

 

2/Kite

◇ギタータウンの解説
アコースティック・ギターのスリーフィンガーに導かれ、メロディが登場する。柴田のブラシを使ったスネアが軽やかでスピード感を演出する。壮快に上昇するメロディとアクロバティックなグリッサンドのソロが心地良い。

Etsuko's Voice

プロモーション・ビデオでも採用されている曲で、私は好きな曲です。爽やかな曲調なので、気分も爽やかになれるのではないでしょうか? ただ、この曲を書いたのは、知人の大切なミュージシャンがお亡くなりになってしばらくした時に作曲したので、そんな明るい気持ちではなかったんですが。自然と一体となって、カイトのように壮大に空高く舞うというイメージです。。

 

3/大草原

◇ギタータウンの解説
前2曲が軽やかで壮快な曲調なのに対し、哀愁を帯びたムーディーな曲。ウッドベースとの掛け合いなども盛り込まれるなど、ソロ部分を含めコンポーズされ、作りこまれた演奏だ。

Etsuko's Voice

コードやメロディはジプシー・ジャズでやっていた時のような音楽をベースに作曲しました。大草原というタイトルですが、わりと日本の田園的な・・緑の青々とした田んぼとかを想像して作ったんです。ソロ前の部分にステレオでコーラスがきれいにかかってますでしょ?これは実はギターの方のエフェクターでなくて、エンジニアの方がしてくださいました。その場で聴いたときはびっくりしました。魔法のようでしたよ。

 

4/Rainy

◇ギタータウンの解説
倦怠感のあるような曲調。コードと単音を織り交ぜた作曲なので、ギタートリオながら広がりがある。中盤のソロ以降はスリリングなソロも展開。全編がお洒落にまとめあげられている。

Etsuko's Voice

昨年のコロナの梅雨時に欝々とした気分で作った曲です。この曲に限っては、ソロは何回か録りなおしました。エンディングは同じコード進行をループして、最後はフェードアウトになるという形でしたが、初めに長い時間ベースとドラムを録っていただき、ギターは一人で後からそれに合わせて永遠にソロをレコーディングしていくというかたちで。ソロがきりの良いところで全体をフェードアウトしていきました。

 

5/霧の中で

◇ギタータウンの解説
上昇下降のフレーズを繰り返し、目まぐるしく、しかし、心地良いフレーズ。主旋律だけに頼らず、スリリングなギターソロ、ドラム/ベース、曲の構成などの全体を使って「霧の中で」というタイトルの情景を表現している。

Etsuko's Voice

マヌーシュ・ジャズをやっているときに作ったジプシー・ワルツ風の曲です。今回収録したアルバムの中で、一番古い曲になるかと。フレージングもジプシージャズ系のギターによく使われる上昇フレーズをサビの部分に入れたりしました。原曲はゆったりした曲だったのですが、コンテンポラリーなジャズの編成で演奏するにあたってはラテンでわりとアップテンポでやることが多いです。トラディッショナルなジャズ編成ではジャズワルツでテンポも、スロウからミディアムくらいで演奏することがあります。この曲はプロデューサーの矢堀孝一さんご推薦で、プロモーション動画としても録っていただきました。

 

6/Times(時代)

◇ギタータウンの解説
シーケンス・フレーズのような音で時間を表現。ギターのサウンドが案外ウォームで太い。一音一音が丁寧に演奏されており、前半部のドラムによる時間の表現とウッドベースのソロなども秀逸。トリオ演奏ならでは、の魅力が凝縮されている。

Etsuko's Voice

元々、時代劇のテーマみたいなメロディを考えていました。日本風のメロディで尺八や篠笛のような響きをイメージしました。曲の流れはモードジャズを意識しました。イントロのドラムの入り、ベースのソロ、ギターのアコギが入ったり、エンディングにはまたギターソロがあったりと、聴きどころが沢山ある気がします。矢堀さんはこの曲を評価してくれていました、新しめのものではないかと。

 

7/Sunrise

◇ギタータウンの解説
明るい曲調、キャッチーな主旋律が特徴。しかし、中盤以降は吉峯のベースのソロ、丹羽のギターソロとたっぷりな内容を盛り込んでいる。

Etsuko's Voice

映画音楽のようなイメージです。この曲を作り始めたときは、キメの部分も吹奏楽が鳴っている感じをイメージしていました。当初はこの「Sunrise」はアルバムの一曲目に持って行きたかったんですよ。で、終わりに「Sunset」 を。でも、楽曲もソロも長い曲なので。「Sunrise」は、次の曲の「サンセット」とセットに配置しました。

 

8/Sunset

◇ギタータウンの解説
優美なギターソロに導かれた導入部。ロングトーンで効かせるビブラートやオーバーダビングで安息をイメージさせる癒しの曲。音楽に男女の違いはあまりないが、この曲には女性らしいニュアンスを明確に感じる。

Etsuko's Voice

昨年の暮れに作った一番新しい曲です。シンプルで、ソロなしの楽曲を最後に入れたかったのです。アルバムのクロージング・クレジットのために。ライブではもう少し曲のボリューム感を持たせたくて、CDバージョンとは別のものを作りました。ソロ部も新たに作り、サビ・リフレインが加わったものを演奏しています。

 

9/Reunion(Acoustic Guitar Ver.)

◇ギタータウンの解説
丹羽のギターを重ねることで作られたギターだけのソロ曲。エレクトリック・ギターに、徐々にアコースティック・ギターなどが絡みつきアルバム『Sceneries』のエンディングを飾る。ロングトーンやスタッカート、ハーモニックスなどで豊かに表情を付ける。この曲では丹羽のテクニックや表情付けなど、ギタリストとしてのポテンシャルが全面に打ち出されている。

Etsuko's Voice

ジプシー・ジャズをやっていましたので、アコースティック・ギターは好きなんですよね基本的に。「Kite」もそうでしたが、特にアコギのストロークは大好きです。Reunionではトミー・エマニュエルを意識してバッキング作りしたところもありますよ。


■丹羽悦子 Blog

http://echalog.blog.jp/

■インスタグラム

https://www.instagram.com/etsuko_art_music/


Interview & All Photos / Guitar Town (森廣真紀)

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