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Queen Carnival 2021 / クイーン・トリビュート・バンド QUEENESS 清水一雄 機材レポート

QUEENESS 清水一雄 機材レポート
『Queen Carnival 2021』at Club Citta 2021.9.23

究極のクイーン・トリビュートバンドと称されるバンド QUEENESSが『Queen Carnival 2021』を9月23日にクラブチッタで開催した。このイベントは“クイーン結成50年”、“フレディ・マーキュリー没後30年”のアニバーサリー・イベントとして彼らが企画したものだ。特にフレディ・マーキュリーの生誕月である9月にもこだわったため、入場人数の制限、来場者のマスク着用やソーシャルディスタンスの確保など新型コロナ感染対策を施した上で開催された。ギタータウンでは、ギタリストの清水一雄から、自身のレッド・スペシャルのフル・レストアのお披露目、9台のVOX AC30を調達などのトピックをキャッチ。ブライアン・メイのサウンドを再現する清水の機材取材を敢行した。

 

 

 

 

 

 


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清水一雄

ギタリスト清水一雄のプロフィールを簡単に説明しよう。彼は中学時代にビートルズ、クイーン、KISS、エアロスミスなど洋楽ロックの洗礼を受け、バンド活動を開始。プロ・ギタリストとしては1985年に「ザ・チューブ」(TUBEの前身バンド)のサポート・ギタリストとして参加。以後、数々の有名ミュージシャンのレコーディングやツアーに参加し、その数は数百を越える。また、コンポーザーとして演劇などの音楽作成でも知られている。そして、2019年1月からはクイーンのトリビュート・バンドQUEENESSに参加。ここではウィッグとコスチュームでブライアン・メイに扮しているが、見栄えだけでなく、そのサウンドがブライアンがあたかもそこにいるかのような既視感を覚えさせる。
近年では彼のYouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/channel/UC-xPBxqIPAV7dLWAzVwzojA

も展開している。

 

 

Kz Guitar Works Red Special Pro (2004年モデル)をRS Replica仕様にアップデート

清水がQUEENESSなどクイーン関係の楽曲を演奏する際のメインギターだ。

清水はKz Guitar Works代表の伊集院 香崇尊 氏が創業した頃からの繋がりがあり、ギタリストの立場からアドバイスしている。このギターは2004年頃に“Red Special Pro”として作られたギターで、Kz製レッド・スペシャル・シリーズでは初期のモデルにあたる。それを『Queen Carnival 2021』に向けてアップデートしたモデルだ。

時系列で見てみよう。Kzギターでは2001年からレッド・スペシャルのレプリカ・モデルを製作している。そして、2007年からブライアン・メイのオフィシャル・シグネチャーモデル“Brian May Super”を製作していた。このギターはブライアン所有機の詳細な計測データを用いている。オフィシャルの契約は2010年に終了したが、替わって“RS Replica”が新たに登場し、今に繋がっている。さらに、今年4月にKz製のピックアップKGW T-Sを搭載するようになった。

清水のギターは2004年製なので、後年のモデルとは細部が若干異なる。今回はブライアンの数値に基づいた“Brian May Super”以降のデータと現在のRS Replicaに準拠するスペックにアップデートしている。その作業はボディの木部だけが当初のままで、他はほぼ全てリファインされたと言ってよいレベルの内容だ。

まずボディについて。ブライアンのレッド・スペシャルのボディはメイ家の廃材を利用している。素材はオーク材を含む集成材で、そのトップ、バック、サイドに薄いマホガニー材を貼っている。単なる集成材というと既製品では安価だ。しかし、その完全再現を目指すと素材の組み合わせや日英の規格の違いによる厚さの違いなどで課題が生じる。そのため、特注すると大変高価になるのだ。今回のアップデートでは、ボディ材は以前のギターをそのまま使用。しかし、RSカラー(レッド・マホガニー)の塗装はリフィニッシュしている。

ネックは極太のマホガニー材、指板は着色したオーク材が使われている。ネックはシェイプをわずかに変更。リフレット、リフィニッシュしている。取材時にネックを触らせてらったが、極太で丸みがある。清水本人によれば「感触が変わっており、満足」という。加えて、ヘッドのシェイプも以前よりスリムになった。また、ヘッドのコインは、1993年の『Back To The Light』ツアーのブライアン・メイ・コインが使われている。このコインはブライアンのギターに取り付けられているのと同じということもあり、現在大変高価で取引されている貴重なアイテムである。

ピックアップとハードウェア類はブリッジを除き、最新のRSレプリカと同様のパーツが使われている。まずピックアップは最新のKGW T-Sに変更。トレモロも新調した。ブライアンのギターは製作工程が特殊だったため、ピックガードに搭載されているP.U.、スイッチ類がギター作りのセオリーにはない方法で取り付けられている。後からP.U.の高さを調整することもできないのだ。伊集院氏は、その工程を再現しつつ、P.U.の高さも適切に調整。ギターの性能を損なわないように行っている。

裏話となるが、今回の撮影取材はサウンドチェックの際に行った。このギターはサウンドチェック直前にKzギターから清水に手渡された。清水は楽屋で一通りギターを確認しただけで、すぐにサウンドチェックとリハーサル。そして、本番に臨んでいる。P.U.やトレモロなど、ほとんど別のギターと言えるほど、生まれ変わったにも関わらず、本番でクイーンのサウンドを再現していた。清水がKz Guitar Worksの調整に寄せている信頼の高さとギタリストとしてのポテンシャルの高さが窺えるエピソードだろう。

 

 

 

 

 

Kz Guitar Works RS Hybrid Junior

昨年発売されたRSシリーズの最新機種がKz Guitar Works RS Hybrid Juniorだ。このギターはKz Oneを基にレッド・スペシャルのデザインをハイブリッドしている。マホガニー・ボディ、25インチ・スケール、ケーラーのブリッジなどはKz One由来の仕様。レッド・スペシャルからは24フレット仕様、KGW T-Sピックアップ、スライド・スイッチを使ったP.Uのオンオフ、フェイズ・スイッチなどを盛り込んでいる。

今回はアコースティック・セットの後に使用した。このギターは製作方法を簡略にし、国内の工場で生産しているが、清水がクイーンの曲を弾く限りはレッド・スペシャルに肉薄するサウンドを出している。リーズナブルな価格でクイーンのサウンドが楽しめるギターの証明となるだろう。

 

【参考 / Kz RS Hybrid Juniorのサウンド・メイキング動画】


(Kz Guitar Works YouTubeアカウントから)

 

Kz Modified ストラトキャスター

フェンダー・ジャパン製と思われるストラトキャスターをKz Guitar Worksでモディファイした。ピックアップにはKz Guitar WorksのKGW Double Coilピックアップを2基搭載し、清水からのリクエストでネック側P.U.をスラントさせている。ミニ・スイッチはコイル・タップだ。今回は「Crazy Little Thing Called Love」で使った。ロカビリー風のブライトなサウンドを求めた選択と言えるだろう。

 

Ovation 1115-4

清水が使用した12弦のアコースティック・ギターOvation 1115-4 。「39」「Love of my life」のアコースティック・ナンバーで使われた。元々はピックアップ・モデルで、 後付けでFishman Matrixピックアップを搭載している。初期型のピックアップのため、ボリューム・コントロールがない。

 

エフェクター・ボード

最初に繋がれているのはFryer PedalのTreble Booster Touringだ。これはブライアン・メイのギターを修復したことで知られるグレッグ・フライヤー氏によるトレブル・ブースターだ。これはプラグイン=ゲインをアップという極めてシンプルなブースター・ペダル。現代の視点では原始的な製品だが、十分歪ませたアンプと組み合わせて使う。特にAC30との相性はよく、ブライアン・メイ風のサウンドメイキングには欠かせない。現在は入手困難だが、グレッグ・フライヤー氏が設計し、同じトランジスタを使ったFryer Guitars Treble Booster Specialが入手可能だ。

写真右下のFryer PedalFTD-1は同じグレッグ・フライヤー氏によるオーバードライブ・ペダルだ。こちらは一般的なコントロール・ノブを装備している。

赤いドライブペダルは、VOXMystic Edge。新世代真空管のNutubeを内蔵した新鋭のVALVENERGYシリーズのエフェクター。本機は自社のアンプであるAC30の特性をイメージしたサウンドが特徴。清水のYouTubeではたびたび登場し、動画内で絶賛している。

中央部にはボリューム・ペダル。さらにDuodenum Foot Phaserと書かれたペダルもある。これはFOXのペダル・フェイザーに範を取った内部回路をBOSSのペダル筐体に収納したカスタムメイド品だ。クイーンには「Keep Yourself Alive」など何曲か特徴的なフェイザー・サウンドが登場するため、清水には欠かせないエフェクターと言えそうだ。

コーラスペダルはオーソドックスにBOSSCH-1

クイーン・サウンドの再現では重要な役割を担うエコーにはAKAIHead Rush E2を使用していた。テープエコーをイメージしたサウンドは定評があり、各ヘッド毎のパラアウト可能なテープエコー・モードも装備している。ただし、4パラアウトだが、清水はダミーのプラグを2つ使い、2回だけリピート音が帰るようにして使っている。

 

VOX AC30

アンプはもちろんVOX AC30。今回はゴージャスにも9台も用意し、“AC30ウォール”を築いていた。PAマイクの配置を見ると下段中央がメイン、下段左右のアンプはパン・サウンド用だろう。クイーンの再現パフォーマンスでは特に印象的な役割を果たす。

9台ものAC30は『Queen Carnival 2021』ならではとも言える壮観さで、クイーン・トリビュート・バンド冥利に尽きる企画だ。

 

 

フレディ・エトウ

 

フレディ・エトウはOVATION1118-4という12弦ギターを使っている。ピックアップなしのモデルに後付けでFishman Matrix IIを搭載。ボリュームとトーンコントロール付き。弦をブライアンと同じ(3~6コースの複弦を通常12弦ギターの逆=太い弦が先にピッキングされる)方法で張っている。

 

 

松崎晃之

ダイナミックなドラムを叩きつつ、ロジャーが歌唱している曲ではドラムを叩きながらリード・ボーカルもとる松崎晃之のドラムセット。彼はCANOPUS エンドーサーでもある。

CANOPUS R.F.M.
・15"x22" BD
・15"x16" FT
・13"x14" FT
・8"x12" TT
・7"x10" TT

TTヘッド
・Top : SWC Heavy
・Bottom : HAZY Regular
・BDヘッド : PW3

スネアドラム
・Neo Vintage Series : NV60-M5S-1465
スナッピーはBack Beat Snarewire 30に換装
ヘッドはSWC Regular

シンバル
・K Zildjan Ride 20"
・K Zildjan HiHats 14"
・A CUSTOM Medium Crash 18"
・A Zildjan Medium Thin Crash 18"
・K CUSTOM Hybrid Crash 17"
・A CUSTOM China 18"

ペダル
・DW 5000 Series Turbo
スピードスター・ベアリングに換装
リンケージ・ドライブシャフトに換装

 

 

山本直哉

山本直哉のベースはFenderPrecision bass。1978年製の3TS。基本的に無改造だが、内部のポッドは交換しているようだ。

エフェクト・ボードは原音を整えることに注力した組み合わせだ。Shin's Musicのボリューム・ペダルPerfect Volume NashvilleTC Electoronicのバッファー、そして、中央の赤い筐体のエフェクターはルパート・ニーブ風のサウンドを生み出すプリアンプ。DIを経由して、白いTwo NotesTornado C.A.B.に繋がれている。これはフェンダー・アンプのスピーカー・シミュレートとして使われた(同日のステージ・アンプはアンペグ)。

 

 

潮崎裕己

キーボードの潮崎裕己の機材。

・YAMAHA  MOTIF XS8
・YAMAHA  MOTIF ES6
・NORD Electro5D


QUEENESS ホームページ
https://queeness.amebaownd.com/


(写真 / 機材解説 : ギタータウン)

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