インタビュー&リポート 製品レビュー

光速ギタリストJoe-Gが提案するすべてにアクセスするもの ESP SNAPPER-7 Joe-G Custom "Potalist-7"

メタルバンド『兀突骨』のギタリストだけでなく、楽器系音楽誌でのギター講座の連載、音楽学校講師としても知られるJoe-G(円城寺 慶一)のシグネチャー・モデルESP SNAPPER-7 Joe-G Custom "Potalist-7"が発売された。YouTubeなどでの圧倒的なスピードの速弾き動画が世界的に知られているが、彼のプレイは幅広いため、様々なサウンドが求められる。今回は演奏だけでなく、楽器機材にも長けているJoe-Gに超ロング・インタビュー。また、掲載している写真もJoe-G本人のギターだ。

【製品レビュー】ESP SNAPPER-7 Joe-G Custom "Potalist-7"

 

SNAPPERはESPのレギュラー・ラインナップ中、オーソドックスな仕様を持ち、演奏しやすさで人気のモデルだ。ギターを企画/製造する上でも様々な木材を組み合わせたり、ピックアップ、ハードウェアを載せるのにも適しており、エンドーサーからのオーダーも増えている。今回は、彼自身に直接、製作意図を詳しく訊くことができたので、直下の製品解説は彼のインタビューを読む上で、必要な内容に絞って説明しよう。なお、紹介しているギターはJoe-G本人のギターなので、「フレットラップ」(彼が愛用している緑のミュート)はギター購入時には付属していない(別売り)。

 

joe-g

▲ESP SNAPPER-7 Joe-G Custom "Potalist-7" 価格= 650,000円 (税別)

《SPEC》

■BODY : (Top)Buckeye Burl, (Back)Alder (Total Thickness 45mm) ■NECK : Hard Maple ■GRIP SHAPE : Thin U ■FINGERBOARD : Pau Ferro ■RADIUS : 305R ■SCALE : 648mm ■NUT : Locknut (R7S/48mm) ■FRET : JESCAR FW55090-NS, 24frets ■INLAY : (Top)Luminlay VGT-65L, (Side)Luminlay SGM-23L ■CONSTRUCTION : Bolt-on (T-5 Ultimate Access: Titan) ■TUNER : GOTOH SG360-07 MG-T ■BRIDGE : Floyd Rose 7st ■PICKUPS : (Neck) Bare Knuckle Aftermath-7,(Bridge) Bare Knuckle Aftermath-7 ■PICK GUARD : Green Alumite ■CONTROLS : Master Volume(w/pull:Coil Split), Master Tone, 3WAY Lever PU selector ■COLORS : Natural Top, See Thru Green Back ■価格= 650,000円 (税別) 認定証

※Buckeye Burlの特性上、杢目や色合い、レジンの補填具合などが異なります。予めご了承ください。

 

ボディ

■グリーンのレジンを使ったバックアイ・バール材と良質なアッシュ

"Potalist-7"は、ダブルカット、ボルトオン・ネックのギターだ。ボディはバックがアルダー材、トップには独特の杢目が特徴のバックアイ・バール材が使われている。バックアイ・バールとは、木自体が巨大な瘤(こぶ)状態になった杢目の木材で、杢目が1本1本異なる。この木材に緑色のレジン(プラスティックのような樹脂素材)を注入している。本機ではこのバックアイ・バールを5mm厚の厚さで贅沢に使用している。

ボディ・バックもグリーンに塗装されており、アルダーのボディ材の杢目が透けて見え、大変、良質なアルダーということがわかる。

 

ネック

■縦横無尽に駆ける左手を支えるネック。ワールドツアーを視野に入れた指板材

ネックはメイプル材を使用。指板はパーフェロー材で、24フレット、305Rのラジアスだ。

暗転したステージでもポジションが判別しやすい蓄光素材のポジション・マーク、ルミンレイを採用している。

 

ピックアップ

■Joe-Gが絶賛するベアナックルのアフターマス-7セット

ピックアップは、ベアナックルのアフターマスの7弦用のセット。Joe-Gが絶賛しているセット。ピックアップはピックガードではなく、ボディにダイレクト・マウントされている。

コントロールは3ウエイ・スイッチ、1ボリューム、1トーンのシンプルさだが、ボリューム・ノブのプルでコイルタップも可能。

 

 

アルミ・ピックガード

■贅沢すぎる仕様のアルミ・ピックガード

ピックガードは特製のアルミ製ピックガード。グリーンの部分は軽くヘアライン加工がされており、エッジ部分の斜めのカット部分はシルバーに輝いている。

バック・ガードも同様のアルミ製だ。 裏話となるが、この特注アルミ・ピックガードはギター用のパーツとしては非常に高価。

 

Potalist-7

▲ボディバック

 

【製品問い合わせURL】
SNAPPER-7 Joe・G Custom "Potalist-7"
https://espguitars.co.jp/artists/15726/

 


【製品インタビュー】ESP SNAPPER-7 Joe-G Custom "Potalist-7"

-まず数あるESPのラインナップからSNAPPERを選んだ理由についてお伺いしたいのですが。

僕がこれまで使ってきたギターがダブルカットでボルトオンの一般的なシェイプのモデルでしたから、SNNAPERというのが一番自然な流れでした。スターシェイプとかは最初から選択肢には入りませんし。

 

-SNAPPERでも、アルダー材がバックで、トップには別の木材を使っているのは珍しいですよね。そういう仕様にしたのはなぜでしょうか?

時代のトレンド・・今の傾向に合わせたかったというのはありますね。最近、オーソドックスなシェイプの方が人気が出てきていますよね。他社だとトップにエキゾチックな木材を貼ったりしたギターもありますが、ESPだとあまり見当たりません。だから、僕にチャンスがあれば、やってみたいなあと思っていたんです。

 

-ポータリストを作る上で、参考にしたモデルはあるんでしょうか? というのも、トップに木材を貼る場合、レスポールならマホガニーのバック+メイプルのトップとか、定番の組み合わせがあります。アルダーのバックにバックアイ・バールのトップというのは聞いたことがありません。

“重心”が重いギターが欲しいというのはありましたね。「ギターはダンベル」ですから(爆笑)。それはさておき、元々、アルダーの音は“重心”が合っていいなと思っていたんです。もし、これがアッシュだったら音が軽すぎると思ったんですよ。中域の音が抜けるようにしたかったんですよ。しかも、低域はそんなに出したくなかったんです。音の“重心”は木で持って行かないとダメなんです。これをバックアイ・バールとの組み合わせでありがちなバスウッド材などと組み合わせると今度は軽すぎます。ディストーションを乗せた時にペラペラの音になってしまうのです。録音ならいいんですけど、バンドのサウンドの中に入っちゃうと、ライブの時には音が全く抜けてこない。だから、アルダーのように“重心”の重い木の方が合ってるんじゃないかと思いました。

 

-先ほどギターを撮影した時にボディのバックを観ましたが、すごく目が詰まっていて良いアルダーを使っていますね。

いいですね。良い木を選んでくれたと思って感謝しています。

 

-ちょうどESPのアーチスト担当の方が同席しているので、お伺いしたいんですが、このギターの構造について製造する立場から詳しく教えてもらえますか?

(ESPアーチスト担当) ギター製作では、“トップは硬めの木材、バックは柔らかめの木材を選ぶ”のが従来のセオリーです。SNAPPER-CTMではバール材のトップにはバックアイ・バールかポプラ・バールを選択できますが、これらはギター用木材の中では極めて柔らかい木材です。カタログ商品としてはバック材にはスワンプ・アッシュを採用しますが、その場合も、従来のセオリーとは逆で、“トップが柔らかめの木材、バックに硬めの木材”の組合せになります。Joe-Gはポータリストにバックにアルダー材を選びました。音の成分でいうと、Joe-Gが音の重心と呼んでいるアルダー材に由来するものが多いと思っています。

-最近、ギターメーカー各社で木材にレジンを注入する技術にトライしています。ESPさんではいかがでしょうか?

(ESPアーチスト担当)バックアイ・バールは欠損部分がある木材で、そこにレジンを注入します。つまり、欠損を補うレジンの量や面積で、サウンドはギター毎にそれぞれの違いが出てきます。また、レジンとひと口に言っても色々な種類があるんです。ポータリストでは「緑色」にこだわっているので、Joe-Gと相談して「エメラルド・グリーン」という色のレジンで選びました。

-ありがとうございます。あらためてJoe-Gさんに伺います。実際に今回のバックアイ・バールの木材の柄とかはいかがですか?

それは、もう・・180%ぐらいの感動です!! ポータリストは僕が工場で選んだ木材を使っています。工場で、ありったけのバックアイ・バールの木材を並べてもらって、「さあ! どれがいい?」・・とか(笑)。超高級なブティックに連れて行ってもらって、「好きなもの買ってやるから、好きなものを選べ」と言われているみたいな(爆)。

 

-おお!!そんな贅沢をいきなり言われても迷いますよね?(笑)

僕が喜びのあまり色々悩みすぎて急かされました(笑)。その木材で作ったのが、このギターなんですよ。木材を選んでいる時とギターになる時は(木材を半分にカットし、ブックマッチにするため)杢目が違うんですけど、製作中のラフを観せてもらった時にも「コレだ!」と思いましたよ。

 

-この辺の杢目は、(サムズアップした)「いいね」の指に見えますよね。

そうですね。力こぶのようにも見えますよ。杢目は1本1本違うんです。僕のギターには同じトップ材から作られた“双子ちゃん”がいるんですけど、それですら杢目が違います。そちらは勾玉(まがたま)のような神々しさがあって、これがまた良いんですよ!。これから作られてくる1本1本が全部違った杢目になるはずですから、お買い上げいただいた方にも自分の杢目の個性を好きになってもらいたいです。僕も皆さんからのご報告を楽しみに待ってます。

 

-アルミピックガードは、Joe-Gさんの指定ですか?

ESPさんからご提案いただいたんですよ。最初はどうしようかな?と思ったんですよ。バックアイ・バールだとピックガード無しギターはかなり見かけるんですよ。でも、このピックガードがあると筋肉をチラ見せするみたいでカッコいいですよね。それに音質面でもノイズ対策にもなると思いまして。このピックガードは横のカットがシルバーじゃないですか?それがまたかっこいいんですよ。

 

-全体に使われているグリーンの色は?

僕のイメージカラーなんですよ。これは勝ち色でしょ?ってぐらいかっこいいです。

 

-ネックについてですが、パーフェロー材はJoe-Gさんから指定を入れたんですか?

僕が指定しました。ロースト系のブラウンもいいなあと思ったり、サウンドはパキッとした音がいいなあとか色々考えました。じゃあ、パーフェローでと提案されたんです。それともうひとつ大事なことがありまして、それはローズウッドの輸出入問題でしたね。今は少し緩和されましたけど、このギターを作っていた時期はローズウッド問題が大変シビアな時期だったんです。兀突骨は海外でツアーをすることも多いので、税関でサイテスの申請が不要なのは大きいです。空港で足止めされてギターが届かなかったら、ライブができません。

-ピックアップについてですが、ベアナックルのアフターマス7のセットですが、これを選んだ理由は?

僕はベアナックルを日本に入り始めた2015年頃から使ってるんですよ。ベアナックルが自分の個性に一番マッチしていると思っています。PAF系のサウンドが得意な会社だと思いますが、モダン寄りなサウンドにしたかったんです。中でもアフターマス7は中域の抜けが半端なく良いです。歪ませた時のコード感が潰れないですね。デスメタル・バンドぐらいに歪ませると普通のPUはコード感が無くなっちゃうんです。でも、アフターマス7は歪ませてもコード感が残るんですよ。とんでもなく分離がいいピックアップです。音の分離の面では最強に近いと思いますね。

 

-コントロール類の特徴はタップ・スイッチでしょうか。

タップ・スイッチは自分のソロ作品などで使います。カッティングの時もですけど、スラップの時には便利です。それに、僕が使うだけでなく、お客様が使うことを考えた時にタップがあると色々なジャンルも弾けるだろうなと思って付けました。

 

-フロイドローズは?スプリングの本数は何本入れていますか?

スプリングはデフォルトなので5本ですね。

 

-前のギターもフロイドローズだったと思いますが、比べると?

全然こちらの方がいいですね。前のも良かったんですが、ギターとしてこちらの方が気持ちいいので。ヌルヌルと効く感じ。なのでついつい使いすぎちゃいます。

 

-使用している弦は?

ダダリオのNYXLを張ります。僕がエンドースメントしている弦です。

-アンプ類とのマッチングはどうですか?

アンプはずっとケンパーです。ケンパーは初期から使っています。このポータリストはケンパーだけじゃなくて、例えば小さな5ワットのアンプとの組み合わせでもバッチリいけますよ。このギターはナマ音の時点で段違いのサウンドを出してくれますから。

 

-ナットのところに付けているのは?

グラブギアのフレットラップというものです。僕のお守りぐらいのものです。緑色なので(笑)これを使う時はレコーディングでタッピングする時とかぐらい。普段は使いません。

 

【アーチスト・インタビュー】 Joe-G 筋肉ギターStory

シグネチャーモデルの"Potalist-7"の発売だけでなく、ソロアルバム『CIRCLE CASTLE TEMPLE』、教則本『筋肉ギター道場〜光速ギタリスト養成メソッド〜』も発売されるJoe-G。今、一番輝いているギタリストではないだろうか? そんな彼に、ギターとの出会いを皮きりに、彼の成長の軌跡と筋肉ギターの理論について語ってもらった。


【学校に行くよりもギターを弾いていたくて、一日6時間以上は練習していましたね。】

-Joe-Gさんがギターと出会ったのはいつ頃で、どんなギタリストに憧れていましたか?

メガデスのマーティー・フリードマンさんのビデオ・クリップを見た時が最初です。伊藤政則の番組『ロックシティ』で観たんです。観た時に「やべえ!これはギター買わなきゃ」って思ったんですよ。でも。僕も親もギターのことは知らなかったので、アコースティック・ギターを買っちゃうんですね。「これで俺もロックスターだ!」とか思うんですけど、(音は)「ポロン・・」って(笑)。そこから僕のギター人生がスタートしました。

 

-ははは(笑)それは何歳ぐらいのことでしたか?

ギターを買ったのは中学1年ぐらいでした。最初の1年ぐらい何も弾かずにいたので、それだと良くないから、親からも「ギター教室に行けば?」と薦められました。中学2年ぐらいの時に半年間ぐらいですけど、クラシックのギター教室に通ったんです。そこで運指の練習をしましたね。でも、その頃はまだスポーツ少年でした。ギタリストとしてはSyuさんに憧れていました。当時のSyuさんはピッカピカの衣装を纏っていた頃です。で、学生だからノートに落書きをするじゃないですか?そんなのもESPのギターでした(笑)。

 

-エレクトリック・ギターに転向するのは?

僕の高校の入学祝いでエレキギターを買ってもらいました。そのギターはESPさんのEX-280でしたね。そんな経緯だったので、「これはちゃんと始めなきゃ!」って本格的に練習を始めました。ちょうど『地獄のメカニカル・トレーニング』の第一冊めが発売された頃ですね。当時はまだタウンページの時代だったので、電話帳に出ているギター教室に電話をかけまくって、自分が弾きたいような練習ができる教室を探しました。そこが僕の最初の師匠のトコだったんです。当時は学校に行くよりもギターを弾いていたくて、一日6時間以上は練習していましたね。

 

-やはり、先生について、最初にオルタネイトなピッキングとかをガッツリやると上達が早いものですか?

そうですね。メタルの曲や速弾きのフレーズとかをひたすら練習していましたね。

 

-その頃、バンドは並行してやっていたんですか?

15歳ぐらいの頃はやっていましたね。でも、メンバーがJ-POPのメンバーが半分とハードロックのメンバーが半分で組んだりしてました(笑)。だから「3曲はJ-POPでいいから、3曲はハードロックやらせろ」とかね。で、3曲“Mr.Children”やった後に、3曲“MR.BIG”をやるとか(笑)

 

-“ミスター”繋がりだ!!(笑)

そうそう(笑)。学生のバンドなんで、そんなものなんです(笑)。が、それじゃだめだと思って、色々な知り合いに声をかけて、デスメタルのバンドを組みます。その時、僕がギター&ボーカルでベースはBLUTUSでした。彼は僕のソロアルバム『CIRCLE CASTLE TEMPLE』でも弾いてもらっています。彼とは幼馴染なんで25年来の友人です。

 

-ギターを教える立場とバンド活動はどちらが先だったんですか?

教える方ですね。MIジャパンという学校に行っていたんですけど、卒業した時点で「講師見習いにならないか?」と声をかけてくださいました。他に、自宅でレッスンするような講師は19歳ぐらいから始めていましたが。

 

-その頃、楽器フェアとかでもデモ演奏していましたよね。楽器フェアの広報記事で「円城寺慶一」というお名前を書いた記憶があります。

出ました!出ました!当時も使っていたギターはESPでしたが、まだエンドースがなかったのに、出させていただきました。

 

-当時から傑出した腕前だったんですよね。バンドはスラッシュメタルなのに、ソロ・アルハムではジャズとかフュージョンのテイストがありますが、それはどの辺から来ているんですか?

MIではジャズとかの先生に師事していた時期もあるんです。色々なジャンルは通っています。メタルに比べたら、広く、浅くではありますけど、講師として教えることもできますよ。

 

【「この筋肉を意識して動かすようになると、もっと効率よく弾けるんじゃないのか?」と考えたのが筋肉ギターの最初なんです。】

-ところで、Joe-Gさんというと、筋肉っていうのがトレードマークになっていますが、それは、いつ頃から、また、なぜスタートしたのでしようか?

一番最初にトレーニングを始めたのは22歳ぐらい?今、ギターを教えているEMSでギター講師を始めた頃でした。その頃は身体が弱くて、すぐに熱を出してしまったり・・もし、それで予定を飛ばしてしまったら大変なので、当時の師匠に薦められたのが最初です。「それは筋肉が無いからだ!」ってジムに無理矢理行かされたようなものです(笑)。でも、やっていくと徐々に身体が変わっていくじゃないですか?それで周りから「ちょっと筋肉が付いた?」とか言われると気持ち良くなっちゃって、気が付いたらこんな身体になっていたという(笑)。

 

-成果が見えると楽しくなるものですよね?

そうそう、筋トレは成果が見えやすいですからね。ギターだと3年とか5年とかみないと成長がわかりづらいんですけど、

 

-筋トレはどのぐらいのキャリアですか?

トータルは8年ぐらい?本格的というと4-5年ぐらいですかね。

 

-フィジカルとギタープレイの関連性はあるんでしょうか?

自分の場合はありましたね。僕のバンドはフィジカル面も要求されるバンドなので。出来上がってくる曲のBPMがほとんど全て260以上ですから。中には300近くの曲もあって、それを30分間連続とか。ギターのプレイは右手がずっとトレモロで弾きますから・・バンドに入りたての頃でしたが、一回腱鞘炎になりかけたんですよ。それで一度見直して。ジムでもトレーナーがついた時期とも重なりまして、筋肉が飛躍的に付いたんですよ。そうしたら、あるライブで全く疲労しなかったんですよ。痛いなと思った瞬間に力を抜いたら、痛みも感じなくて、「あれ?これ(筋トレ)って上手く使えるんじゃね?」って思ったんですよ。

 

-でも、それは持久力やケガ防止という観点ではないのですか?

最初は持久力を付けようでしたね。でも、筋トレを続けて行くと、自分が使っている筋肉がわかるようになるんですよ。例えば、(胸の)三頭筋だけを動かす・・(インタビュー中に実演)とか、このように自分の意思でマッスル・コントロールが出来るようになると、ギターを弾いている時、どこの筋肉が動いているかわかるようになるんですよ。そうすると「この筋肉を意識して動かすようになると、もっと効率よく弾けるんじゃないのか?」と考えたのが筋肉ギターの最初なんです。

 

-誤解していました。「ギターは手首の動きだから、筋肉って関係ないじゃん」と思っていたんです。

よく間違われるのは“手首の回転”とか言うじゃないですか?手首自体は回転しないですよ。ギターのピッキングは「腕橈骨筋」(わんとうこつきん)という筋肉です。その筋肉を鍛えて、効率良く動かせればギターの演奏も楽になるんじゃないの?というのが筋肉ギターの理屈になります。

 

-今でこそ“光速”のように言われるプレイですが、それはギターの練習ですか筋トレですか?

あはは。筋トレですね(笑)。持久力を上げると、スピードも速くできるんですよ。だから、速くなったことは筋トレの成果だと思います。筋トレする前から、速い方ではあったんですが、その頃は持久力が無くて、チアゴ・デラ・ヴェガのように一定時間以上、曲を速く弾き続けることができなかったんですね。筋力がついてからは同じテンポで長い時間弾けるようになりました。

 

-陸上競技の400mみたいですね。100mの速いタイムがあって、それを続けられる持久力が無いと400mは走れないとか。

そうかもしれませんね。結局、筋肉の使い方なんですよ。よく「ギターを弾くのに筋肉は必要なんですか?」とか訊かれるんですけど、「じゃあ、脳の神経以外で、どこでギターを弾くんですか?」と言う話でもあります。もちろん、それは筋肉です。

 

-『筋肉ギター道場〜光速ギタリスト養成メソッド〜』の発売おめでとうございます。

『筋肉ギター道場』は書いたのは2か月ぐらいですが、ヤングギター誌で連載がスタートした際にも「この内容で本を出したい」という意向がありました。でも、いきなり出したら、「何だこれ?」ということになりかねないので(笑)、誌面に連載して企画のコンセプトを先にわかりやすくしたいというのもあったようです。僕の“筋肉ギターキャラ”を定着させたいという。そして、すでにヤングギター誌の中では筋肉ギター=僕というイメージが定着してきたようなので本の発売となったようですね。

 

『筋肉ギター道場〜光速ギタリスト養成メソッド〜』

『筋肉ギター道場〜光速ギタリスト養成メソッド〜』

様々な練習フレーズと、その演奏に必要な筋力トレーニングを合体させた、今までにないタイプの映像連動ギター教則本が登場!

高速フル・ピッキングや異次元級ダウン・ピッキング、鬼難度スウィープといったテクニカル系はもちろん、チョーキングやコードの押さえ方といった基本レベルまで、あらゆるギター演奏に必要な身体の作り方や筋肉の育て方を懇切丁寧に伝授します。
講師は“川越の残虐王”として知られるテクニカル・デスラッシュ・バンド:兀突骨で活躍するマッスル系ギタリスト、円城寺慶一。氏が世界最高峰レベルの超高速シュレッドを実現するために実践してきたメソッドを、貴方も手に入れてください!

※映像データのダウンロードURL付き

 1,980円(本体 1,800+税)

 

【「筋肉!!やべえ!!」みたいな(笑)。でも、「そこだけじゃないんだぞ」】

-Joe-Gさんのプレイを観てすごいなと感じるのは、BPM的な速さだけでなく、表現力も兼ね備えていることです。

ありがとうございます。そうでないと「ただ速いだけじゃん」と言われてしまう。だから、筋肉と表現力を結びつけていくことですね。ただ筋肉を付けるだけなら、ボディビルをしてくださいって言うことですから、そこが目標ではありません。

 

-今回のギターのリリースがあったからこそ、Joe-Gさんの音楽性も研究させていただきました。ただ、他のインパクトが大きすぎて(笑)。YouTubeで偶然に動画を見ただけの人にも「速弾き」や「筋肉」に目を奪われず音楽性や表現力にも注目してもらいたいですよね。

僕への入り口はだいたいソコですから(笑)。「速い」「筋肉」ですから。動画のコメントとかも「筋肉!!やべえ!!」みたいな(笑)。でも、「そこだけじゃないんだぞ」というトコロも観てほしいですよね。次はそれを課題として達成したいです。

 

『CIRCLE CASTLE TEMPLE』

ソロアルバム『CIRCLE CASTLE TEMPLE』

◆CIRCLE CASTLE TEMPLE

◆Joe-G

◆ダウンロード https://linkco.re/Y9CbZeXb

CDの場合、価格=2,500円

Joe-G(円城寺 慶一)のソロ・アルバム。バンドの兀突骨とは異なる様々な彼の側面がフィーチャーされた全10曲を収録。1曲目「Green Glass」で適度な歪みに抑えられたさわやかサウンドで幕を開ける。キャッチーなメロディからソング・ライターとしての才能が知れる。続く「The ghost」では7弦の低音リフに導かれ、縦横無尽に指板を駆け巡る運指が伺える。さらに、「HAO」などは、和洋折衷、低音、変拍子、速弾き、デス風フレーズ・・超“難曲”。だが、それが心地良い・・。このように“光速の速弾き”が注目されがちなJoe-Gが本来持っているミュージシャンとしての高いポテンシャルを噴出させているアルバムだ。もちろん、ライブで観たら運指に注目してしまうのは間違いないが、『CIRCLE CASTLE TEMPLE』では、音楽として心地良く、プレイを分析すれば規格外の演奏ばかり。本作でJoe-Gが生み出す音楽を純粋にお楽しみいただきたい。

(森廣真紀)

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