製品レビュー

ポケットサイズの超小型アンプ! Pocket Amp シリーズ

ギターアンプには、ステージ用アンプ、ホームユース用アンプに大別されるが、ホームユースの中でも小型アンプは用途によって細分化できる。ポケットアンプとは、その名の通り、ポケットにも入る超小型/軽量のアンプだ。構造的にも、筐体が紙製で、スピーカーのコーンがプラスティックなのが特徴でサウンドも個性的で、評判となっている。

今回は、いつものギタータウンの詳しい製品レビューに加えて、ポケットアンプしかできないであろう変わった使い方を実例として、動画で紹介している。動画内での使い方は録音方法やフレーズを研究すれば、DAWなどでも使えるに違いない。

このページのレビューと動画のサウンドサンプルを併せてご覧いただきたい。


【YouTube版】Fine Assist ヘンダーズ ポケットアンプを使い倒す!

 

ポケットアンプのラインナップ/基本仕様と王道的使い方

ポケット・アンプの特徴

Pocketamp_image1

ポケットアンプは
☑タバコのパッケージと同サイズの超小型
☑0.5ワットの出力
☑9ボルト乾電池駆動
☑約5センチ径のプラスティック製コーンのスピーカーを採用
☑コントロール類を省略
☑インプットの他、アウトプットを装備
☑紙製のキャビネット
など特徴がある。

サイズは、その名の通り、衣服のポケットにも入るサイズだ。筐体のサイズはタバコのパッケージと同じサイズである。パッケージは3種類(2023年2月現在)がラインナップしており、好みのパッケージから選べる楽しさも。また、パッケージは今後も増える予定だ。

Pocketamp_size1▲ショートサイズのペットボトル飲料とのサイズ比較

Pocketamp_image2▲エフェクター・ボードに入れた例

 

適度な音量を生む0.5ワット出力のアンプ部

アンプは出力0.5ワット(500ミリワット)のソリッドステート式アンプだ。一般的なアンプに比べると桁違いの小出力だ。しかし、音量は楽屋や室内使うのに十分で、超小型スピーカーと紙製キャビネットにとっては大きすぎる出力である。
電源は9V乾電池を使用し、約8時間程度使える。電池交換はパッケージを開けるだけなので、ドライバーなどは不要だ。

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プラスティック系素材を使ったスピーカー部

スピーカー部は、コーン部にプラスティック系素材を使った特製スピーカーだ。少しの接触であればコーン部を保護する効果もある。しかし、保護効果よりもポケットアンプのサウンドそのものの決め手となっている要素としてが大きい。というのも、他にはないプラスティック系素材、小口径サイズ、簡単に電気的に過多になる入力耐性など、他のアンプではマイナス要素を逆手に取って、個性的なサウンドを作っている。

Pocketamp_1

 

ギター側のボリュームで音量と歪みの変化が楽しめる

一見、ノブのような図柄があるが、それはプリントされた絵柄で、ボリュームやトーンなどのコントロール類は存在しない。一般的なアンプと違い、楽屋などでの動作確認を前提としているので、プラグインするだけで使えることを重視している。

では、何もコントロールができないかというと、そうではない。ギターのボリュームで音量を決める。それだけで楽しいサウンドとなるのだ。ボリュームを絞った状態ではクリーン。少し上げるとクランチ風。最大ではディストーションというように、音量とキャラクターが変化する。これは回路を使ったゲイン量での歪みよりも、スピーカーの特性を利用した歪み要素が多く含まれ、一般的なアンプとは歪みの種類自体が異なる。さらに、紙製キャビネットが簡単に箱鳴りするので、他のアンプでは得られない個性的サウンドを生み出す。特に歪ませた時のサウンドはチープながらブルースなどに最適で、雰囲気満点だ。この雰囲気がある音こそがシガレット・アンプ型の魅力だ。

takumi

 

外部出力を使った拡張性

コントロールがないのに外部出力を装備しているのもポケット・アンプの特徴だ。外部出力はスルーアウトではなく、増幅された音を出力する。つまり、そのまま、別のアンプやインターフェイスにプラグインするとディストーション・ペダルと同じ効果となる。またリハスタなどにあるセパレート式のスピーカー・キャビネットに繋ぐと、本格的なアンプヘッド顔負けの音がする。オーナーなら一度は試していただきたい使い方だ。

Pocketamp_2

 

ラインナップ

アンプとしての性能は同じで、パッケージが異なる3タイプが販売されている(2023年2月現在)。

Pocket Amp The Henders Collection 2 Blue Jeans

ブラウンのオーソドックスなパッケージ。

Pocketamp_image1▲ポケットアンプ・ヘンダーズ・コレクション1
市場想定価格=2,970円(税込 / 税別2,700円)

 

Pocket Amp The Henders Collection 2 Blue Jeans

ブルージーンズをモチーフにしたパッケージ。

Pocketamp_image_bluejaen▲ポケットアンプ・ヘンダーズ・コレクション2・ブルージーンズ
市場想定価格=2,970円(税込 / 税別2,700円)

 

Pocket Amp Girls Guitarist Collection 1 Sweats

ピンクでお菓子などをイメージしている。

Pocketamp_image_girls▲ポケットアンプ・ガールズギタリスト・コレクション1 スイーツ
市場想定価格=2,970円(税込 / 税別2,700円)

 

《Spec》

3機種ともスペックは共通
■アンプ出力:0.5W
■スピーカー:ポケットアンプ専用ハイパワースピーカー
■電池寿命:アルカリ電池で8時間程度
■端子:ギター入力端子、外部出力端子
■寸法::96×55×26 mm
■重量:78g
■付属品・日本語取扱説明書

販売は全国の有名楽器店にて。
また、下記URLでも購入可能。

https://www.fineassist.jp/PKA/

 

楽しんだ者勝ち! のホビー性

これまで、ポケットアンプをスペック面からアカデミックに解説してきた。しかし、ポケットアンプは価格も安く、ホビー性が強い。楽しんだ者勝ちの製品だ。以下は、一見、ふざけているように見えるかもしれないが、ギタータウンも大真面目にトライしたお勧めの使い方だ。

ポケットアンプは、独特のサウンドだけでなく、超小型、ポータブル、紙製キャビネットという性質がある。一般的なアンプでは、「アンプを“何か”に入れる」「音を反射させる」「スピーカーを遮る」「持ったまま歩く」などは難しいが、ポケットアンプなら可能だ。特に、DAW機器などで宅録する人などには、他の誰も録っていないサウンドをアイデア次第で生み出せる。

ギタータウンではデモ機で、ユーザーのヒントとなりそうなポケットアンプの使い方を試してみた。ホビー性の強さを利用し、「ホビーとして徹底して使う」をテーマにしているので動画をご覧いただきたい。

デモンストレーター紹介 / Takumi (Duesenberg)

Duesenbergは1970年代後半にレッド・ツェッペリンの楽曲をリアルに再現する演目で評判を集めたバンドだ。現在レジェンドになっているミュージシャンたちをオープニング・アクトにするなど、当時の和製ロックシーンをけん引していたひとりだ。この動画では長年所有している1969年製レスポールを使用。最近のライブでは1960年製レスポール(バースト)、1957年レスポール(ゴールドトップ)なども演奏している。

 

スピーカーを遮る / 袋に入れる。 トーンを変える裏ワザ2種

ポケットアンプにはトーンコントロールがない。また、プラ系スピーカーの性質で、やや高音域が強めなサウンドだ。そのため、音をマイルドにすべく、トレーシングペーパーをスピーカー部の直上に乗せて、意図的に音を変えてみた。

■紙を乗せて、トーンを変える

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▲紙などをポケットアンプのスピーカーに乗せてみた。高音域がマイルドになる。動画では撮影用のトレーシングペーパーを使ったが、A4のコピー用紙やティッシュペーパーなどでも効果がある。また、乗せる紙によってトーンが変わるのも面白い。

 

■紙袋に入れる / 袋で包む

Pocketamp_paper

▲上の例に続き、トレーシングペーパーでくるんだ。この場合、スピーカーとトレペの間に空間があり、トレペ全体が震えるので、ラジオボイスのような音が出る。さらに、手軽な方法としては紙袋に入れると同様の効果があり、紙袋のサイズ/素材や紙袋のコーティングの有無などで音質が変わる。

 

鉄製ボウルに音を反射 DAWなどに使える裏ワザ

ポケットアンプは、超小型なので色々なモノに乗せられる。その際、キャビネットが紙製なので振動量も多い。ガラステーブルや反響しやすいテーブルなどに乗せても音が変わるので、自身の環境で試しても楽しい。また、金属製のボウルなど家庭内の器具と組み合わせて、反響音を味わうのも一興だ。

 

■料理用のボウルに音を反射させる

Pocketamp_paper

▲料理用のボウルに音を反射させた。反射させるモノの素材/口径によって音が異なる。例では、ボウルにポケットアンプを置いただけだが、ポケットアンプをスマホスタンドに立てて、“ボウルのどの部分に音を当てるか” “アンプとボウルの距離/位置関係を変える”などで音が変わる。ご自身で好みの場所を選ぶと良いだろう。

 

■鍋の蓋で音を遮る

▲アシスタントが必要だが、人力ワウペダルと人力ジェットマシーンをイメージして、鍋の蓋で反射音を遮ってみた。

蓋を前後に動かすとワウペダルのような効果となる。ワウペダルは主に中音域が対象に変化するが、こちらは高音域が変化する。また、蓋の角度によって出音が変わるので、ワウペダルとは異なる音質変化も期待できる。また、反射音ではなく、スピーカーからの音を直接遮る方法も効果的だ。

また、鍋の蓋を左右に動かすとジェットマシーンのような効果となる。

 

■手で持ち、左右に動かす

Pocketamp_paper

▲人力ロータリースピーカー的なサウンドを作ってみた。蓋を動かす場合、音質面ではイコライザー的な動きなのに対して、こちらは発信源自体が左右に動き、ボウルの正面を通過する時に高音域が強調される。発信源が回転するロータリースピーカーとは動きが異なるが、左右のパンポット効果とEQ変化の効果の組み合わせで独特なサウンドとなる。

 


【製品問い合わせURL】
㈱ファインアシスト ポケットアンプ
https://www.fineassist.jp/PKA/

 

※本コンテンツはPR/機材提供を含みます。

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