インタビュー&リポート 製品レビュー

ISAOが走らせる“真紅の稲妻” ESP シグネチャー RAIDEN-7 & 8

 

多弦ギターを駆り、自身のプロジェクトの他、ハイテクニックなバンド/プロジェクトに引っ張りだこのギタリストISAOのシグネチャー・モデルがESPから発売される。今回は7弦と8弦モデルが同時に発売という快挙だ。ギタータウンではそのESP SNAPPER-7 ISAO Custom “RAIDEN-7” “RAIDEN-8”の製品レビューとISAO本人のインタビューという豪華な内容でお送りしよう。

【製品レビュー 】

SNAPPERはESPでは、ダブル・カット、ボルトオン・ジョイントのギターのオーソドックスで扱いやすいギターとして位置付けられたモデルだ。しかし、オーソドックスだからこそカスタマイズ性は広い。ISAOの“RAIDEN-7”、“ RAIDEN-8”もまた、彼の要望を受け入れて完成した。楽器として合理的な構造。そして美しく、何より多弦を前提とする彼のプレイ・スタイルを体現する仕様を満載している。

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▲ESP SNAPPER-7 ISAO Custom “RAIDEN-7” 価格=560,000円(税別)

SNAPPER-7 ISAO Custom “RAIDEN-7”

■BODY  : Alder (Thickness 45mm) ■NECK : Hard Maple ■GRIP SHAPE : Thin U ■FINGERBOARD :  Richlite (リッチライト)(※2021年3月より) ■RADIUS : 305R ■SCALE : 648mm ■NUT : Locknut (R7S/48mm) ■FRET : JESCAR FW57110-NS, 24frets ■INLAY :  (Top)Pearl Dot, (Side)Luminlay SGM-23L ■CONSTRUCTION : Bolt-on (T-5 Ultimate Access: Titan) ■TUNER : GOTOH SG360-07 MG-T ■BRIDGE : Floyd Rose 7st ■PICKUPS :  (Neck) Seymour Duncan SENTIENT-7 Amt (Bridge) Seymour Duncan NAZGÛL-7 Amt ■PICK GUARD : Red Alumite ■CONTROLS : Master Volume, 3WAY Lever PU Selector, PU Variation Switch(Series-Coil Split-Parallel)■COLORS : RAIDEN RED ■価格=560,000円 (税別) 認定証付属

 

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▲ESP SNAPPER-7 ISAO Custom “RAIDEN-8” 価格=580,000円(税別)

SNAPPER-7 ISAO Custom “RAIDEN-8”

■BODY  : Alder (Thickness 45mm) ■NECK : Hard Maple ■GRIP SHAPE : Thin U ■FINGERBOARD :   Richlite (リッチライト)(※2021年3月より) ■RADIUS : 400R ■SCALE : 686mm ■NUT : Locknut (56mm) ■FRET : JESCAR FW57110-NS, 24frets ■INLAY :  (Top)Luminlay VGT-65L,  (Side)Luminlay SG-30L ■CONSTRUCTION : Bolt-on (T-6 Ultimate Access: Titan) ■TUNER : GOTOH SG360-07 MG-T ■BRIDGE : Floyd Rose 8st(FRT-801000) ■PICKUPS : (Neck) Seymour Duncan SENTIENT-8 Amt (Bridge) Seymour Duncan NAZGÛL-8 Amt ■PICK GUARD : Red Alumite ■CONTROLS : Master Volume, Master Tone, 3WAY Lever PU Selector, PU Variation Switch(Series-Coil Split-Parallel) ■COLORS : RAIDEN RED ■SET STRINGS : SIT® Strings ISAO Custom(09-11-16-24-32-42-54-60) ■PRICE 580,000円 (税別) 認定証付属

本稿でのRAIDEN-8の撮影時にトレモロアームを外した状態で撮影してしまいました。 RAIDEN-8にも RAIDEN-7同様のアームが付属しています。読者ならびに関係各位にはお詫び申し上げます。

 

■最良の木材をチョイスしたボディ&ネック

ボディはアルダー2ピース。ネックはメイプル材、指板はエボニー材だ。フレットは24フレットである。塗装がメタリックのため、ボディのアルダー材の木目は見えないが、軽量のアルダーがセレクトされているようだ。
ネックのメイプル材は木目が詰まっており、エボニーも漆黒で、質感が高い。

ポジション・マークは指板上は白蝶貝のドット。サイド・ポジション・マークは暗転したステージでも視認できる蓄光性のルミンレイだ。

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RAIDEN-7のトップとバック

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RAIDEN-8のネックと指板

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RAIDEN-8のサイド・ポジション・マーク(ルミンレイ)

 

■シンプルかつ多彩を実現するエレクトロニクス

7弦、8弦ともにセイモア・ダンカンのピックアップを搭載。

ネック側=センティエント
ブリッジ側=ナズグル

を採用している。
これらのピックアップはボディにダイレクトにマウントされている。

ミニスイッチは、
内側=パラレル
中央=タップ
外側=シリーズ
の切り替えができ、ISAOの多彩なサウンドをサポートしている。
コントロールは7弦モデルはヴォリューム、ミニ・スイッチのみで、トーン・コントロールが無い仕様。

一方、8弦モデルはヴォリューム、ミニ・スイッチ、トーン・コントロールとなっている。

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▲RAIDEN-7のPUとコントロール。7弦モデルにはトーン・コントロールが無い。

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▲RAIDEN-8のPUとコントロール。8弦モデルにはトーン・コントロールを装備。

 

■敬愛するジョニー・ライデンのパーソナル・カラーをオマージュしたRAIDEN RED

RAIDEN REDというカラーはISAO本人がこだわった特注のメタリック・レッド。ガンダム外伝に登場するジョニー・ライデンをトリビュートし、深みのある赤に細かいメタリックが散りばめられた独特のカラー。ピックガードと裏パネルも同様に特注の赤いアルミ製だ。やや濃い目の赤で軽くヘアライン加工がされた仕上げ。さらに、斜めにカットされたエッジがシルバーに輝いている。

このカラーについては、インタビュー内で本人に詳しく語ってもらったので、そちらを参照していただきたい。

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ギタータウンの視点から

SNAPPERの基本モデルは6弦だ。一部のシグネチャーには7弦モデル、8弦モデルはわずかにエキシビジョン・リミテッドで作られる程度だ。つまり、これら多弦モデルはカタログ・モデルにはなかったモデルである。それが、今回、ISAOのために7弦と8弦が同時に作られたのは、大変注目できる。

というのも、RAIDENの7弦モデルと8弦モデルを見比べると、

一見よく似ているものの、
・ボディのアウトライン
・ネックのジョイント位置
・ネック・ジョイント部の構造(7弦が5点止め、8弦は6点止め)
・ボディ裏ネック・ポケット部の加工サイズ
・ジョイント部のカット形状
など、要するに、“全く別のギター”と言ってよいほど構造が異なる。

これは弦の物理的な張力に対する強度を確保をし、同時に、演奏性を高めている。これら相反する事柄をバランス良く、実現した設計といえる。これらを見るとあらためて、ESPの技術力と製品デザインの高さ、などに驚かされる。

ESP-isao-raiden▲写真左が8弦、写真右が7弦。似ているが、並べるとアウトラインの違いがよくわかる。

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▲写真左がRAIDEN-7の5点止めのジョイント。写真右がRAIDEN-8の6点止めのジョイント。7弦でも弦の物理的張力が強いが、さらに強い8弦では強度を確保しつつ、大胆なカットも同時に兼ね備えている。

【製品問い合わせURL】
https://espguitars.co.jp/artists/15864/
https://espguitars.co.jp/productinfo/15842/


 

 

 

【ISAO インタビュー】

だからこそ僕は「この8弦の音を活かしてやろう」「ネック幅をモノにしよう」と思いました。

 

-ISAOさんのギターキャリアから教えてください。最初から7弦ギターでスタートしたようですが?

ギターとの出会いは僕が17歳の時でした。地元の楽器屋さんで安く売っていたギターがあり、それが7弦ギターでした。

 

-それは国産ブランドだったんですよね?

はい。楽器屋さんが「これ、売れないから安くていいよ」って、安く売ってもらったんです。7弦ギターって各社から発売されたけど、一度(楽器市場から)消えちゃうんですよ。でも、僕は「とにかく弾ければいいや、弦も多い方が良いし」って。

 

-その頃、どんな曲を弾いていましたか?

その頃、スティーブ・ヴァイが大好きで、『パッション&ウォーフェア』ってアルバムに7弦ギターがジャケットに写ってるじゃないですか。僕もこれ(7弦ギター)が欲しいなと思いましたね。当時だとドリームシアターなんかも7弦ギターを使ってますよね。その頃、7弦ギターを持っていない周りの仲間たちはコピーできなかったけど、僕だけはできた(笑)。

 

-その後、KORNとかが出てきて、7弦ギターが復活してきますよね。ISAOさんは最初からホント、7弦でスタートしているんですね。6弦のギターは?

(間髪を置かず)使わないですね。アコースティック・ギターとかで弾かなければならない時以外・・嫌々弾く感じになってしまうんです。

 

-今回は7弦だけでなく、8弦も同時発売ですが、8弦についてはどうですか?

8弦は弾くべくして弾いた感じです。僕がアメリカで活動していた頃に、KORNでサポートしていたギタリストのシェイン・ギブソンと仲が良かったんです。残念ですけど、彼は病気で亡くなってしまいましたが・・。彼がカーヴィンの8弦ギターを持っていたんです。それを見た時に「すげぇな!」って思って、弾かせてもらったんです。そうしたところ「8弦は出来ることが7弦の倍ぐらいに増える!」って思いました。それで「もうこれは8弦を弾くしかない!」って思ったんです。でも、8弦ギターが(当時は、製品として)根本的に無いんです。

 

-8弦ギターが製品化されたのは結構、最近ですものね。

僕が日本に帰国してしばらくした時、今、エンドースしていただいているESPのスタッフの方に「E-Ⅱから8弦ギターが出ますよ、どうですか?」とお声かけいただいたんです。僕は飛びつきました(笑)。まさに僕が“欲していた時”だったんです。すぐにお願いしました。

 

-8弦を最初に使い始めた時は違和感などはなかったんでしょうか?

やはり最初はありました。今でこそ8弦も普通の存在になりましたけど、その頃はまだ8弦は別の楽器って思われていました。僕は6弦と7弦だとそれほど違和感が無いと思うんです。でも、7弦と8弦を比べるとすごい違和感があると思いますよ。一気にネック幅も広くなるし、音も違うんです。

 

-どんな部分で違和感を感じるのでしょうか?

7弦だと低音弦の音をザクッザクッとさせたい時に、ザクザク感は出しやすいんです。8弦は単に音が低くなっただけではなくて、サウンドの質とかも変わっちゃうんです。8弦になると「あれ?こんなハズじゃなかったのに」って思う人が多いと思うんです。だからこそ僕は「この8弦の音を活かしてやろう」「ネック幅をモノにしよう」と思いました。それで7弦を弾くのを極力控えて、8弦のみで演ることにしました。で、8弦と9弦では違和感が少ないんですけどね。

 

-8弦の違和感を克服するコツがあったら教えてください。

7弦ギターでは親指を上から回したりできますが、8弦ギターでは、(ネックの幅が広く)それができません。8弦まで指が届かないため、手首の返しを今までよりも大きくしないといけません。スケールも長いし、1フレットや2フレットあたりとかもそうですよね。これは工夫というよりも慣れですよね。弾いていけば、やがてなるようになるものです。

 

-8弦ギターでコードや複弦で鳴らす、などは?

ないです!クランチさせると音がこもるし、フレットを押さえるだけでピッチが怪しくなりがちです。もし、クリーン・トーンでトレブリーなサウンドにすれば、コードもきれいに出るかもしれません、でも、そんな音は実用的な音じゃないですから。8弦を和音として使うとしたら、分数コードの分母として使う。そういう使い方はしますね。

 

-ネック幅が広いのですが、ミュートはどうしていますか?

良く訊かれるのですが、とにかくミュートは右手の使い方ですよ。右手親指の付け根の肉厚な部分を弦に当ててミュートします。演奏中は右手の掌の半分ぐらいをブリッジに当ててミュートしている感じになります。かなり鉄壁にミュートしないと、弾いていない時にやばいですからね。

 

 

 SNAPPERは高音も低音も、そして8弦のヘルツ(周波数)的な部分もしっかり出してくれるギターです。だから完璧!!ですよね。

 

-今回のシグネチャーについてお伺いします。そもそもなぜSNAPPERをチョイスしたんでしょうか?

いや~、それは“愚問中の愚問”でしょ!!(笑)だって“SNAPPER”じゃないですか!。SNAPPERをシグネチャー・モデルとして使ってらっしゃる方々の顔ぶれを思い起こしてください。SNAPPERは選ばれし“申し子”しか使えない感じがあります。SNAPPERを持つことそれは“黄金聖衣”(※)を着る事と同じ。選ばれし“黄金聖闘士”(※)と同じです。誰でも持てるモノではなく、本当の実力があり、みんなに与える影響力があって・・色々なものを兼ね備えた申し子でなければSNAPPERは使用できない“黄金聖衣”のようなイメージがあるんです。

実際、SNAPPERを使っている人のサウンドを聴いても「なんで、こんな良い音してんの?」っていうサウンドですよね?たぶんESPというギターメーカーが最高の技術を駆使して作った1本ですよ。かねてから「SNAPPERで8弦ギターを作ったらどうなるんだろう」って思っていました。今回、僕のシグネチャー・モデルのお話しをいただけて、「さあ、時が来た!」って、僕も“聖域”(※)の“黄金聖闘士”に選ばれたのだなと思いました。

※コミックス/アニメなどの『聖闘士星矢』。ISAOさんはそれぞれ“黄金聖衣”=ゴールドクロス、“黄金聖闘士”=ゴールドセイント、“聖域”=サンクチュアリと発音。“申し子”も作品中の重要キーワードです。

 

-しかも、今回は7弦と8弦の2タイプが同時発売というのは快挙ですよね。

光栄です。

 

-前にお使いになっていたギター(E-Ⅱ)との違いはどんなところですか?

どちらが良い悪いの話ではなく、コード、和音の潰れにくさが違いますね。E-Ⅱの場合はもっとメタリックな音楽で使われるギターなんで、方向性が違う。それはE-Ⅱというギターの特性です。SNAPPERはめちゃくちゃ歪ませた時も潰れないですね。ヴァン・ヘイレンとかでも、めちゃくちゃ歪ませているのに、全ての音がしっかり聴こえたりする。あの音ってギタリストの多くが憧れる音だと思うんです。SNAPPERはオールマイティに行けるっていうのが特性なんで潰れにくい。あと、音のツブ立ちとかの解像度が高いんです。僕はヴァイオリン奏者とのsoLiをやっていますが、自分が思っているよりも他の楽器の人の方が気づくっていうのがありますね。

 

-それは、どういうことですか?

soLiのヴァイオリン奏者の星野沙織さんからも(SNAPPERはヴァイオリンと)「音のトーンが合わせやすい。音の輪郭がはっきりしているから、すごく合わせやすい」と言ってくれますね。

-インタビューは多弦の話でスタートしているから低音の話がメインに進みましたけど、SNAPPERは高音も素晴らしいですね。

そうです。僕は普段から「8弦ギターは、弦が増えただけ」と言っています。これは“低音の弦が増えたことで、高音の弦とかのその他の音がダメになってしまったら意味がない。”という意味なのです。SNAPPERは高音も低音も、そして8弦のヘルツ(周波数)的な部分もしっかり出してくれるギターです。だから完璧!!ですよね。

 

-今回は7弦と8弦が同時発売されますが、ISAOさん自身はそれらをどう使い分ける予定ですか?

基本的に僕は“RAIDEN-8”がメインです。たぶん、7弦をライブで使用することはあまり無いと思います。ただ、レコーディングでは別ですよ。やはり8弦よりも7弦の方が弾きやすいですし、特にノイズ・コントロールやミュートとかの面では7弦は8弦ほど気を遣わずにしっかりできます。僕は割と不器用なんですよ(笑)

 

-え?どこが不器用なんですか??(笑)

もし、ライブで7弦と8弦を使い分けるとしたら、ネックの幅とかの違いですごいストレスがかかってしまう。ある現場で8弦と9弦を使い分けなければならない時があったのですが、8弦から9弦に弦が増える時はそうでもないのですが、9弦から8弦に弦が減った時には違和感があり、ストレスになってしまいます。さっきも8弦と9弦ではそれほど違和感を感じないと言いましたが、その8弦と9弦でそれですから、元々違和感を感じやすい8弦から7弦に持ち替えたらライブでは大きく違います。

 

ESP-isao-raiden-ピックアップについてですが、セイモア・ダンカンのセンティエントとナズグルをチョイスしたのは?

元々E-ⅡのピックアップはEMGでした。EMGはEMGの良さがあるのですが、エッジとかのイメージが僕の中ではセイモア・ダンカンなんですよね。以前、ダンカン付の7弦ギターをお借りしたことがあって、すごく気に入った音が出るギターでした。少し前まで8弦ギター用のピックアップ自体が少なくて、ほとんど選べなかったのですが、今回のお話をいただいたタイミングで、ダンカンからセンティエント、ナズグル、それにペガサスの3つのピックアップが出たんですよ。「ダンカンの音で8弦用のピックアップが行けるの!?」と思って、試しました。その結果、センティエントとナズグルに決めました。

 

-カタログの数値をだけを見るとマグネットがアルニコⅤです。高出力のマグネットのピックアップでISAOさんのクリーンなサウンドが出るのは意外に思いました。それとISAOさんは演奏している時、ピッキングの強弱だけでなく、頻繁にヴォリュームをコントロールしますよね。

ピックアップのレンジは広ければ広いほど、ニュアンスを出せるようになる、と思っています。僕はよく言うのですが、僕はリードギターを弾くときにヴォリュームをフルで演奏することはほとんどありません。「8」や「9」ぐらいまで。セッションなどで、しっとりと入りたい時は「5」や「4」ぐらい。

 

-コントロールはミニ・スイッチがついていますよね。また、8弦にはトーンがついていますが、7弦はトーンがありません。コントロール類について教えてください。

ミニSWは「パラレル」、「タップ」、「シリーズ」 の切り替えです。7弦の方はトーンなしにしてもらいました。

 

-今回、ピックガードをアルミにしたのは?

単純にカッコイイからです。見た目がヤバいでしょ?(笑)。あれってすごく(製作に)手間がかかりますよね。サウンド的には良い感じでツマってくれる音にもなりました。

 

-ピックアップはボディにダイレクト・マウントになっていますが?

それは今まで使ってきたギターたちがダイレクト・マウントだったから、同じ系列です。

 

-フロイドローズがついていますが、このバックのスプリングの本数は?

スプリングは全部(5本)つけています。僕はゲージが独特なんですよ。SITから「PowerWound ISAO custom」として発売されている弦です。

セットの内容は「.009」「.011」「.016」「.024」「.032」「.042」「.054」「.060」のセットです。

これは通常の8弦セットに比べたら細いセットになっています。1弦から7弦までは、よくあるゲージセットです。8弦でゴリゴリとリフを刻む人の8弦は太さが僕の8弦より太いはずです。でも、僕のセットの8弦は.060です。1弦から8弦に向けて順序立てて太くなっていくセットなんです。この方が全体のバランスがとれます。また、フロイドローズのブリッジとの組み合わせでは、これ以上太いのを張ってしまうとバランスが取りにくくなってしまうのです。だから、このゲージの組み合わせです。

 

 

シャアを超えるためには、シャアを超えていたと言われるジョニー・ライデンの機体に乗るしかないやん!!

 

-RAIDEN REDと命名された色についてですが。

元々、僕は『機動戦士 ガンダム』というアニメが大好きで。その中にシャア・アズナブルという人物が登場します。で、シャアは専用機が赤いというのが特徴なんですね。その後のシリーズで『逆襲のシャア』って作品があるんです。その作品が、僕の中ではアニメ史上最強の作品なんです。その中でシャアが搭乗するのが「サザビー」というモビルスーツです。そのサザビーを見た時に「むちゃくちゃ、カッコイイな!!」って思って。僕はギターを弾いているじゃないですか?だから、僕も自分のギターがサザビーにならないかなって、ずっと思っていたんですよ。ただ、以前にも同じようなチャンスはあったんですよ。その時にはサザビー・カラーのものを作ってくださいました。でも、ある時、僕の中でシャアっていうのが大きすぎる存在で・・僕の中にシャアの存在があるから、人生の中で何かをやる時にも気になるんです。その時々に「これじゃ、(僕が)シャアに勝てない」っていう。そういう思いがあったんですね。・・・この話、ついてこられますか?

 

-実は私もガンダムは大好きです。宇宙世紀モノは全作品観ていますから(笑)

では・・続けますね。ガンダムでは(ランバ・ラルに)アムロ・レイが「あの人に勝ちたい」っていうじゃないですか?僕にとってはシャアがそういう存在なんですね。ただ普通にギターを弾いているだけではシャア・アズナブルのような存在になれない感じがして・・じゃあ、どうしたらいいのだろうと思っていたんですね。そう思っていた時に、一年戦争の時のエース・パイロットにジョニー・ライデンという、すごいパイロットがいたんですよ。なんと戦績はシャアより上なんですよ!! で、ライデンも赤いザクに乗っていて、そのカラーリングを見た時に「あれ?これ、シャアと違う」って。微妙に違うんですよ。より真紅な色彩で・・

 

-“真紅の稲妻 ジョニー・ライデン”ですよね?

そうそう。僕もシャアを超えるためには、シャアよりも強い存在をモチーフにした機体、僕にとってはギターですが。それを手に入れるしかないな、と思いました。ジョニー・ライデンの戦績がシャアよりも上だったのなら・・・

 

ESP-isao-raiden-ライデンの撃墜スコアは185機らしいですよ。むしろシャアの撃墜スコアも中にはライデンが墜としたものがあるとかないとか?(笑)

ははは!!!実はジョニー・ライデンはヤバいですよ、でも、一年戦争での去り際もまたかっこいいんです。「シャアを超えるためには、シャアを超えていたと言われるジョニー・ライデンの機体に乗るしかないやん!!」って。なので、ライデンをイメージしてカラーリングしたのが今回の僕のギターです。

 

-ジョニー・ライデンのザクとかは、濃い赤でコクピット上の両サイドがブラックですよね。昨日、ギターの撮影をしてきたのですが、この写真の角度から見るとRAIDEN-7は(ライデン専用機=大型脚部サブ・スラスターを持つ)高機動型ザクⅡ R-2型に特に良く似てます。

そうそう、このギターってジョニー・ライデンのザクっぽいですよね!

 

ESP-isao-raiden-偶然かも知れないけど、マッチングヘッドの・・・

そう!! 隊長機のアンテナブレード!SNAPPERのヘッドを見た時に「これってザクの隊長機やん!」って(笑)

 

-ISAOさんはこのギターを昨年末からお使いですが、この半年で何か変わったこととかはありますか? 調整やケアについてになりますが。

ピックアップの高さは少し低めに調整しています。ケアというとギターは“弾いてなんぼ”なんで、弾いて自分のカラダの一部になるように、とにかく弾いて・・(納品されたのが去年の)11月からだから、季節柄ネック調整はしてもらいました。これから梅雨で湿気が気になりますが、あまり動きません。8弦ですがネックが大変優秀です。

 

-昨日の撮影は新品の別の個体でしたが、ISAOさんがお持ちのギターは半年使用したせいで指板に良いツヤが出てきていますよね。

そうですね。弾くと(エボニー材特有の)ツヤが出て良い色になりますよね。いくつかのステージもこのギターでこなしてきていますから。

 

-あと、ISAOさんご自身のギターについているジオンのエンブレムは?

あ(笑)。あれは僕が自分貼ったステッカーです。元々はスマホ用などで市販されているものです。自分で貼りました。あれを付けているのといないのでは、僕の中のモチベーションは全然変わってくるので。

 

 

ステイホーム中はギタリストとしての自分としっかり向き合える時間がとれたというのは貴重だったと思います。

 

-昨年11月にRAIDENを受け取った後、今年に入るとコロナ禍で活動が制限されてしまいました。

本当です。当初の予定では、このギターのお披露目となる大きな場を用意していただいてたんですよ。それも一旦流れてしまいました。

 

-ISAOさんはステイホーム中にはどんなことをしていましたか?

ゲームばかりしてました(笑)。でも、ミュージシャンとしては自分のプロジェクトの楽曲制作をしてました。ライブができなくて、大きなフェスにも参加予定だったのに延期になってしまいました。こういう時なのでダウンロード販売もしましたが、ありがたいことに沢山買っていただけて励みになりました。

そして、ギターを自分のためだけに練習できるという意味では有意義だったと思います。自分のプロジェクトや自分のためだけに曲を作る機会は今やなかなかありません。ギタリストとしての自分としっかり向き合える時間がとれたというのは貴重だったと思います。

 

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