インタビュー&リポート

Kz Guitar Works 祭 The Party 2020レポート

11月23日、逗子のsurfersで「Kz Guitar Works 祭 The Party 2020」が開催された。このイベントはギターブランドのKz Guitar Worksが主催するイベントで、Kz Guitar Worksの新作ギターの発表とKz Guitar Worksのギターを使ったライブの二本立てだ。簡単ながら、製品とライブのレポートをお贈りしよう。

会場は逗子の国道134号線沿いのライブにも対応したレストラン『surfers』だ。このお店は、逗子と鎌倉の中間の絶景ポイントにあり、逗子海岸と相模湾が一望できる。イベントはコロナ禍でGo toの見直しが検討されているタイミングだが、入場数の限定、入場の際のマスク着用、手指の消毒、検温などの他、何よりもセミ・オープンなスペースの会場であり、演目のほとんどがインストルメンタル、など、考えられる感染予防をした上で開催された。

今回のイベントの主旨は、コロナ禍で新製品発表の機会が希薄だった今年、約2か月ほど前から急遽企画された。元々Kz Guitar Worksは大阪のサウンドメッセや楽器フェアなどの各種ショーへの出展に意欲的なブランドで、出展するごとに新製品やショーモデルを出品していた。それらが軒並み中止(またはオンライン化)となったので企画されたのが「Kz Guitar Works 祭 The Party 2020」である。

▲Kz Guitar works 伊集院 香崇尊 氏とニューモデル「Kz One Semi-Hollow Round Top」

開場時間は16:00に設定されていた。ライブとしてはやや早めの時間だが、これは粋な計らい。というのも、surfersの夕陽が実に見事。早めの来場者はこの夕陽と大好きなギターを見ながら三連休のひと時を過ごした。

▲開演までの待ち時間。surfersから見る湘南屈指の夕陽。

早速、今回展示されたKz Guitar Worksの新製品から紹介しよう。

New Model

▲Kz One Semi-Hollow Round Top
24F 3S23 Kahler

Kz Oneの特徴的なスペックを全て備えたフラッグシップ・モデル。オリジナル「KGW」ピックアップ、ケーラーのトレモロ、セミホロー・ボディ、シリパラ・スイッチとフェイズ・スイッチ搭載で23通りのサウンド・バリエーションが選択可能なコントロール。約3.3kg。


▲Kz One Solid 24F Round Top
2h6 T.O.M
2021年より展開のラウンドトップ・ボディ&24フレット仕様のKz Oneモデル。Kz Classicハムバッカー、ソリッド・ボディ、T.O.Mブリッジのモデル。約3.6kg

 

▲ボディのトップは、軽めにラウンド加工されている。

▲この2本のレビューはこちら!


▲Kz One Bass
Kz Oneデザインのベース。32インチ(ミディアム)スケール。約3.8kg。

 


▲KGW Bolt-On(コンセプト・モデル)
2021年に新規に展開を予定している新モデル。トラディショナルなピックアップを採用したコンセプト・モデル。ヘッドロゴは「KGW」となっており、このブランド名で展開する予定。価格設定は従来のモデルに比べ、廉価に設定される模様だ。約3.6kg。


▲Kz One Bolt-On 22
ソリッドのアルダー・ボディ、シンクロ・スタイルのトレモロ・ユニット、段付きのヘッド、メイプル・ネックといったトラディショナルな要素を多く取り入れたボルトオン・モデル。スケールはKz One同様にレギュラーとミディアムの中間である25インチを採用し、ピックアップはボルトオン・モデル専用に新たに開発。約3.6kg。

▲ボルトオンのネックジョイント

コンセプト・モデル

▲Kz LP Style (コンセプト・モデル)
2021年の20周年を迎えるにあたって「トラディショナルを見つめ直す」というコンセプトのもとに製作された"コンセプト・モデル"。オールラッカーの塗装。トラディショナルな風貌ながら、ネック・ポケットなどに独自性が見られる。


▲Kz TE Style(コンセプト・モデル)
2021年の20周年を迎えるにあたって「トラディショナルを見つめ直す」というコンセプトのもとに製作された"コンセプト・モデル"。TLスタイル。シングルカット・ボディながら、ネックホーン側とヘッドの形状は独自のアウトラインだ。


▲Kz ST Style 60’s(コンセプト・モデル)
2021年の20周年を迎えるにあたって「トラディショナルを見つめ直す」というコンセプトのもとに製作された"コンセプト・モデル"。60’s STを参考にしながらも、ピックガードやヘッドが独自形状になっている。

▲Kz One Adam Slack モデルにハンドペイントがされた特別なモデル(写真左)

英国発グラムロックバンド"The Struts"のギタリストAdam SlackモデルのKz Oneに、同バンドのボーカリストのLuke Spillerがハンド・ペイントした特別な1本。

▲JED-Guitar (コンセプト・モデル)写真右
The Strutsのベーシスト、Jed Elliottフルオーダーモデル “Jed-O Bass”をギターに落としこんだモデル。弦を裏通しするハードテイル・ブリッジ、EMG SAピックアップを搭載。

 

プロトタイプ

▲Pre Kz One Prototype(写真:左)

2015年に「レッド・スペシャルの良いところを取り入れた全く新しいエレキギター」というコンセプトのもと製作されたプロトタイプ。ボディデザインにレッド・スペシャルの影響が色濃く残っている。ピックアップもレッド・スペシャルと同じBurns社のTri-Sonic。

約3.2kg。

▲Kz One Semi-Hollow #1(写真:右)
製品化に向けて、現在の形にデザインを一新したKz One。2016年のNAMMショーに出展したモデル。当初はシリパラ・スイッチは未搭載だった。約3kg。

ライブ・イベント

ライブは17時からスタート。MCを務めたスベリー・マーキュリーによってイベントの主旨説明がされ、Kz Guitar Worksの伊集院氏が登壇。Kzブランドの約20年の歩みが、共に時代を過ごした出演者の清水一雄により紹介された。

▲スベリー・マーキュリー。彼は吉本興業の"フレディ・マーキュリー芸人"。自らの芸を交え、コミカルな司会進行を務めた。

 

▲ギタリストKaZ。Kz Oneを手に、エフェクティブなサウンドを醸し出す。

 

▲ギタリスト西尾知矢。Kz STを手に登場。大変スリリングなプレイ。

続いて、飛び入りの2名による西尾とのセッション。さらに、清水一雄とその教え子によるセッションが続いた。

▲Team Kz Guitar Band

Kz Guitar Bandは清水一雄と法田勇虫の2人のギタリスト、ベースには、のまぐちひろし。ドラムの藤田 勉、キーボードに熊木 佳枝の5人編成。前半はオールマン・ブラザースやサンタナ、ベンチャーズなどのギターインストを披露した。特にギタリストの2人はいずれもKzの多彩なサウンドを駆使し、手元のスイッチ操作だけで様々な音作りができるのを、まるで模範演技のようにプレイ。そのサウンドは圧巻のひと言に尽きる。

▲ギタリスト清水一雄。このギターはカスタムオーダー品。この色は、逗子の海を再現したカラーだ。

 

 

▲ギタリスト法田勇虫。Kz Oneを使用。時にテクニカル、時にシンプル。様々なスタイルで聴かせてくれた。

▲ベーシストのまぐちひろし。Jed Elliottフルオーダーモデル “Jed-O Bass”ヘビーなロックベース・サウンド。

ライブ終盤にはゲストとしてフレディ・エトウが登場。クイーンの「ウイー・ウィル・ロック・ユー」と「ウイー・アー・ザ・チャンピオンズ」の2曲を熱唱した。

2020年は世界中が新型コロナに翻弄された1年だった。この日の観客の多くが大変久しぶりのライブ観覧。出演者も久々に観客の前で演奏したライブでもある。良い楽器、上手いプレイヤー、笑顔の観客、それらが揃ってこそ、楽器の楽しみがある。短い時間のイベントではあったが、来年、20周年を迎えるKz Guitar Worksに大きな期待ができる盛りだくさんの内容だった。

Written by 森廣真紀(ギタータウン)

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