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Go To ザ・レッツゴーズ !

ザ・レッツゴーズは3人組のレディース・バンド。ポップでスピード感溢れる楽曲、愛くるしいルックスに、男子顔負けの激しいパフォーマンス。そのライブは観た人のハートをガッチリとつかんでいく。特に昨年のアルバム『平凡チェリー』をリリースしてからの勢いはアメリカ・ツアーや各種ライブフェスなど、多くの舞台で快進撃を続けてきた。しかし、彼女たちにもコロナ禍は振りかかる。ライブバンドであるがゆえに活動できないことで生まれる苦悩・・そして、様子を見ながらの活動再開とパフォーマンスできる喜び。
今、彼女たちは再び年末までスケジュールが一杯だが、特別にインタビュー時間をもらうことができた。

コロナ前、緊急事態宣言、活動再開へと、ライブバンドの揺れ動かされたライブ活動と心境の変化をテーマに話を訊いた。

 

出てくれるってバンドがいるのに、「私たちからキャンセルしていいのか」という気持ちがあって、迷ったんですけど。

2月10日のチェルシー・ホテルでのライブを拝見しました。僕にとっては、あれがコロナ禍前、最後に観たライブでした。あのライブ(『あれもこれもやってみたい!』)は連続の企画になっていて、3人がそれぞれ独自に考えた企画ライブを毎月やるっていう企画でしたよね。2月はトップバッターとしてサクラさん企画でした。その後、お二人分のライブはどうなったんですか?

▲2020年2月10日の渋谷チェルシー・ホテルでのライブ

Coco: 私もマリコもできてないです!! 3月には“マリコ編”でやるはずだったんです。結局、中止にしたんですけど、予定の2日前位までみんなで悩んで、悩んで・・でも、二つとも。

マリコ・マリコ: 出てくれるってバンドがいるのに、「私たちからキャンセルしていいのか」という気持ちがあって、迷ったんですけど。今思えば、あの時にやるっていうのは圧倒的に無理だったんですけど・・

Sakura: あの時は誰も(その後、コロナ禍が)ああなるとはわかんないものね!

Coco: そんなに長引くなんて誰も想像が付かなかったし。もうちょっと気軽な気持ちで振り替え公演もできる・・夏か、秋か、そのぐらいにはできる、って思ってたものね。

Sakura: あの時は、3月の“マリコ編”ができなくても、次の4月の“ココ編”は普通にできるぐらいに。「1か月ぐらいすれば落ち着くでしょう!!」とか(笑)。でも、そしたら、さらに・・ねー(笑) びっくりしました。

今回はライブハウス自体が消えてしまったり、経営が変わってしまったり、誰も今年2月、3月の段階では想像できなかったですものね。自粛期間のザ・レッツゴーズは?

マリコ・マリコ: 緊急事態宣言中は会ってもいなかったですね。宣言が明けて、練習とかを再開しました。

Sakura: 私たちも二、三か月もぽっかりと空いちゃって。二か月ぐらい何もなく。

Coco: 6月の終わりに、やっとワンマンで配信ライブをしました。

今のメンバーになって二、三か月活動しなかったなんて無いですよね?

Sakura: むしろココさんは十何年どのタイミングでもなかったんじゃない?

Coco: うん、無いねー。

私、会わなくなっていた間・・バンドへの気持ちが薄れてしまいました、正直。

今年春のコロナ禍って、バンドマン、いや、日本人のほとんどが二、三か月間、何もできなかった時代ですもの。その会わなかった期間には曲を作ったりとかの創作活動は?

(3人ともしばし無言・・)
マリコ・マリコ: 私たち、やっぱりライブがないと「次、どうしようか?」みたいな気持ちにはならないタイプじゃない?

Coco: この期間に「曲作るぞー」って思ったんですよ。でも、結果的にはできなかった。それでも、コロナ禍になって「ロックが足りない!」、「音楽がやりたいのにできない!」っていう気持ちを曲にした曲は作ったんです。

やはり、で、その出来栄えは?披露できそうな曲ですか?

Coco: 今のところ、披露はなさそうです。

Sakura:  その曲とは別に、曲が上がってきていて、そっちの方が、ね。やっぱり、その曲の出来栄えというより、3人で会ってないといい曲にはならないですよ。3人で話し合って仕上げた曲の方が良い。

やっぱり3人で集まってザ・レッツゴーズって?

Sakura: 私、会わなくなっていた間・・バンドへの気持ちが薄れてしまいました、正直。やっぱりライブもない、これからできるようになるかもわからない。・・他のことに目が向くような状態でしたね。

え?その頃でしたよね、サクラさんがYouTubeや自分のブランドとか色々とやってたの。でも、僕はサクラさんがそんな心理状態だとは思わず見てました。その頃の配信ライブのプロモーション動画とかを見て、サクラさんがザ・レッツゴーズのスポークスマンになっているなあと感心したぐらいです。

マリコさんは何かしていましたか?

マリコ・マリコ: 私はウクレレを始めました!! 3人で動くには難しい期間だったので、私は個人で色々動いてたんです。私はライブとかしてないと、ホント無理なんですよ(笑顔)、「ライブしていないと生きていけない」みたいな気持ちだったんで、とりあえず一人で出来ることをやらなきゃ、って思ってウクレレを。結構高いウクレレを買って

そうですよね!ツイッターで見ましたけど、高そうなウクレレ。

マリコ・マリコ: 高いの買ったら、やる気になるかな、って(笑)。それで弾き語りをやってみたり、違うバンドの友達と一緒にアコースティック・ユニットみたいなのをやったり、コピーバンドみたいなのもやったり。結構、やってないと本当に精神的に無理だったんですよ。

ウクレレで最初に弾いた曲は何でしたか?

マリコ・マリコ: ブルーハーツの『1000のバイオリン』を。「最初はブルーハーツじゃん!!」って感じで(笑)。他にも色々、歌謡曲とか。あとジャンベがあったので、それを叩いてました。それを友達のアコースティック・ユニットで使ったりとか。なんか自分が音楽とどう向き合っているのが一番いいのかっていうことが、よりわかるようになりました。それがレッツゴーズをやっている時の意識でも良い方に変わったなって思います。やってみて良かったなって感じです。

ウクレレやジャンベをザ・レッツゴーズで使ってみる気は?

マリコ・マリコ: レッツゴーズでウクレレを弾くことはたぶん無いと思います!!(笑)でも、ジャンベはあるか?

Sakura: あったじゃん!ラジオの。

マリコ・マリコ: そうだ!ラジオに出演した時、アコースティック・セットがありました。だからジャンベはあるかもしれませんね。でも、私、ドラムを叩くのがダントツで好きで、レッツゴーズでドラムを叩くのが一番好きなんですよ。それが最優先ですね。

 

あの日で全部、戻ってきた感じです。「あー、やっと戻ってきたあ~。バンドだ~。レッツゴーズだ~。」って

6月24日の無観客ライブ(四谷Outbreak!ワンマン) の時は? ツイッターを見ると三人とも前日は小躍りするほど喜んでましたよね

Sakura: あの日で全部、戻ってきた感じです。「あー、やっと戻ってきたあ~。バンドだ~。レッツゴーズだ~。」って

▲配信ライブの舞台裏

自粛を抜けた6月の時点でミュージシャンとして変わったこととかはありましたか?

Sakura: 私はベースに対する気持ち、意識がちょっとだけ変わりました。コロナ禍でバンドをしなくなったから、「ベース、ちょっと休んじゃおうかな?」って時もあったんですけど、「自粛開けに下手になってたら困る」って思って。あとはベースだけでなく「どうやったら歌も上手く歌えるのかな」って、「どうしたら二人にほめてもらえるのかな」って。だから、地道なこととかも色々研究しました。(ライブ再開の最初が)無観客ライブだったんで、(低音だから)「ベースのミスがモロばれする、ごまかせない!」って思って(笑)。無観客ライブが決まってからは、やっぱりやる気になりました。これまでの“勢い”とかだけじゃないな、って。私、これからは無観客配信もツールになると思ってるんですよ。なので、この後、通用するには、ベースも今のままじゃいけない、歌も(有観客の)ライブではちょっと音を外してもごまかしたりできるけど、映像だとモロに伝わってしまう。だから歌も発声練習とかをしてみたり。そういうこともコロナ時代になってから積極的にやるようになりました。カラオケに行って、声を思い切り出さなきゃってとか(笑)。そういうパフォーマンスじゃない部分を。それまではアクション、アクション、アクション・・・って感じだったんですけど、別のところでもアゲて行かないとなあって感じになりました。

ココさんは?

Coco: 危機感は結構感じていましたね。ライブもないし、スタジオも入れないし・・次の目標みたいなものが決まっていなくて。今までは、1か月後に何か自主企画がある、レコーディングがある、ツアーがあるとか、目標が必ずあったんですけど、そういうのがない。みんなで一丸となれる目標がない。スタジオにも入っていないし、実際に会ってもいないので、「みんなの気持ちがバラバラになりかけているな」というのを感じていて、その後、みんなで会ってね。

マリコ・マリコ: 三人で飲みに行きました。

Coco: 自粛期間開けに、ね。

 

無観客ライブとお客様が入るライブではどんな違いを感じますか?

Coco: 無観客配信ライブをした時点では、そんなに違いを感じなかったんです。だけど、その後にお客様が入ったライブをやった時に、すごい違いを感じました

Sakura: 「これだったわー!」ってなるよね!!

Coco: そのライブはめちゃ、制限が厳しかったんです。人数制限だけでなく、お客様の立ち位置がマーキングで決まっていて動けないライブだったんです。それでもお客様、人がいてくれて、観てくれて、喜んでくれてる、って言うことが、「こんなに違うんだ」って思いました。

Sakura: ただ単に“嬉しい!”って感じ、「イエーイ!」って

Coco: “生きてる”みたいな実感がありました。

マリコ・マリコ: 配信は2回やったかな。それはそれで、すごく良かったんです。でも、終わった後の手応えが違っていて。配信ライブでは、色んな人、大勢の人に観てもらえたから、やって良かったと思うんですけど、(身体的に)「やり切ったあ」って、ただただ疲れてる。でも、普通にお客様の前でライブをすると疲れるというよりも、すごい元気になるんで。ライブってお客さんありきでですよね。

Sakura: ライブって「観てもらう」ってことだよね。

シマネ・ジェットフェスは?

Sakura: このイベントは私、とっても思い入れがあるんです。今年は配信ができて、むしろ良かったと思うんです。私や関係者はすごくポジティブに捉えるんですね。今まで通りにライブはナマでやるのが一番いいんです。でも、配信だと、いつもなら集まれない人たち、例えばオーストラリア、ブラジル、世界の色んなところから参加してくれるので、それがひとつのフェスになる。これは配信でなければ叶わないことだし、世界中の人たち、すごい数の人が観て下さいました。外国の方が、同じ時間に、同じものを観ていて、それにリアクションしてるって、これは、実際に配信をしてみないとたぶん気付けなかったことです。私たちはお客様の目の前でパフォーマンスしたいですけど、配信には配信の良さっていうのが絶対にあると思います。それに配信でなければできない演出っていうのもあるじゃないですか。例えば(映像を)切り替えて、いきなり出てくるとか。そういったオドロキの要素は配信ならではだと思います。私は配信についても新しい可能性が生まれたなとポジティブに考えています。

同感です。配信だからできることって必ずあると思うんです。災い転じてという言葉があるけど、もし、コロナ禍を福に転ずるとしたら、ライブ配信を通じて、世界中のミュージシャンがつながり、世界のどこでも気軽に楽しんで観てもらえる。そういうリモート・エンタテインメント時代の始まりだと思う。

Sakura: 無観客ライブの頃、MVを撮ったんですよ。これまでも私たちは動画を結構まめに上げているので、MVを見て、あらためてレッツゴーズを楽しみにしてほしいです。ライブに来れなくても、全世界で楽しんでもらえるような。

レッツゴーズの曲やライブは観た人が元気になるワクチンですものね。

▲自粛期間開けに制作されていたMV。「THE LET'S GO's / Feel Like It 〜2020ver.〜」

お客様も待っていてくれたんだなと思いました。ありがたいです。

お客様が入れるライブは9月12日(新宿ANTIKNOCK)から再開になりますが、あらためて、その実感を聞かせてください。

マリコ・マリコ: もう全開です。全・全・開・開!!(笑)

Sakura: 入場客数とか全然関係ないですよね。少なくってもイエイ!!って、

Coco: ありがたいですね。

Sakura: 嬉しいよね。

Coco: ライブをすればいつも当然のように来てくれていたあの人が、「何か月ぶりー!」って。半年以上も会ってなかったとか。

マリコ・マリコ: お客様も待っていてくれたんだなと思いました。ありがたいです。

 

これまで発表されてきたスケジュールを見ると、首都圏が中心で、かつ、コロナ前と違うライブハウスにも出演してますよね?

Sakura: さすがに様子見しながら、ですね。

Coco: 11月のスケジュールも北関東まで、で、名阪は入ってないですものね。でも、ツアーがなくなった分、スケジュールも空いていたし、お誘いいただけた時に「ライブしたい」、「失った夏を取り戻したい」って感じで(一同笑)

マリコ・マリコ: 活動できているバンドも多くないみたいで、レッツゴーズは動いてるんだ?ってわかると、それを見てくれたライブハウスの人たちが「私たちを呼んでみようかな?」とか思ってくれてるのかもしれないですね。それにまんまとのってる(笑)コロナ禍で、いつまた活動できなくなるかわからないですしね。

次のアルバムのリリースとかはどうなんですか?音源制作も影響があったと思うんですけど。

Coco: 音源制作のお話もあるんですけど、エンジニアの方が地方にお住まいなので。また、単純に曲も貯まっていないというのもあり・・

マリコ・マリコ: 今は「曲をライブで育てたい」って感じもまだありますね。ライブなしに、スタジオでやるだけじゃアレンジがわからないって感じもあって。一番いい形で音(音源)に残したいんで。

Sakura: ホントは「11月で作曲しようぜ」とか思ってたけど、ライブがすごく入っちゃって・・何本? 5本? ライブは好きだけど、とりあえず今は“今を取り戻すこと”だよね。感染防止した上で、コロナ禍の中でも皆さんに直接聴いてもらいたいですしね。

あと、2人の企画も再開したいですよね!

Coco&マリコ・マリコ: 必ずやりまーす

Sakura: 何年越しでも、オリンピック越しでも!

マリコ・マリコ: もっと早くやらせて(笑)

年明けぐらいに自主企画をやるってことでいいですか?なんにも具体的には決まってないと思いますけど(笑)。僕も2月のSakura編のスタンプ持ってるので、あと2人分もコンプリートさせてくださいね。今後のご活躍も期待しています。

(Interview by 森廣真紀 Live Photo by ササキジュン @tonewiz )

※インタビューは2020年10月31日の公演前に行いました。


【 THE LET'S GO's ホームページ 】

アルバム『平凡チェリー』

発売日:2019年7月10日
価格:¥2,500(税込)
品番:L222-001
メディアタイプ:CD
ディスク枚数:1枚

【収録曲】
1.平凡チェリー
2.怪獣レッツゴーズ
3.トラベリングガール
4. 革のブーツ
5. WildThing
6. Everyday People
7. Lovesong Nightmare
8. ハイボール
9. もうじっとしていられない!
-Can't sit still Anymore-
10. Teenage Monster
11. I Like your band
12. 1.2.BOMB!

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