Story
リッケンバッカーは300番台シリーズはシンライン・ホロー・ボディのギターだ。24-3/4インチ(約628mm)・スケールの330や360、310/320のように小型ボディの21-1/4インチ(約540mm)のショート・スケールのモデルがある。今回の315は小型ボディでショート・スケールのトレモロ付きのモデルとなる。
現在ではリッケンバッカーはトラディショナルなブランドのひとつだ。だが、最初のエレクトリック・ギター「フライング・パン」をはじめ、エレクトリック・ギター創成期には革新的なイノベーターだった。特にロジャー・ロスマイズルが在籍した1950年代には独創的な構造を持つギターが多数誕生し、現在のリッケンバッカーの礎を築いた。
今回のギターは中目黒のギターショップ ディア・プルーデンスが所有しているギターで、ジョン・レノンが愛用したことで知られる325の姉妹モデルでもある1959年製のRickenbacker 315 (2V288)をブックマークした。
▲RickenBucker 315 1959年製 Mapleglo
w/ Original case
主な仕様
ボディ
リッケンバッカーはホロー・ボディの作り方が独特だ。本機はブロンドやナチュラルに近い色のMaplegloのため、ボディの構造が良くわかる。ボディはトップ材のメイプルをくり抜いて、バック側で蓋をするような構造になっている。この315もトップのメイプル材の内部をくり抜き、トレモロを取り付けるためにボディ・エンド部分は斜めに削られている。また、このギターではボディ・トップにfホールがある個体だ。
▲「1962年に1本だけのリッケンバッカー 365 OS Jet glo330」とのサイズ比較。サイズはトースターPU、位置はブリッジ位置で合わせて合成した。
【365の取材記事】
ネック
ネック材はメイプルの1ピース・ネック。ボディとの接合はセットネックだ。310/320は小型のボディ・サイズだけでなく、21-1/4インチ(約540mm)のショート・スケールが大きな特徴となっている。指板材はローズウッド。リッケンバッカーでは指板にクリア塗装がされている機種が多いが、315は塗装されておらず、ポジション・マークもシンプルなホワイトのドットだ。
ヘッド部はゴールド地のRickenbackerのプレート。チューナーはグローバーのオープン・バックだ。
エレクトロニクス / ハードウェア
リッケンバッカーでの当時標準的だったトースター・ピックアップが2個、ボディにダイレクトにマウントされている。コントロール類はヘッドロゴと同様、地色がゴールドのピックガードに取り付けられている。3wayのPUセレクターと2V2Tのシンプルなコントロールだ。ボリュームとトーンは“TVスタイル”または“オーブン・ノブ”と呼ばれる洒落たノブ。これは黒系のプラスティック製、ダイヤモンド型のトップが特徴だ。トーンは逆回しだ。
ブリッジ・カバーを付けたまま撮影しているが、ブリッジ自体はローラー・タイプだ。型番の315の「5」はヴィブラート付きを表しており、カウフマン・ヴァイブローラ(Kauffman Vibrola)を搭載している。このヴィブラート・ユニットはテイルピース部分に可動パーツを止め、そこにスプリングを取り付けて、弦を弛緩する仕組みだ。アーム・バーは水平に動かして使う。60年以降のリッケンバッカーはアクセント・ヴィブラートを搭載しているが、カウフマンは50年代のComboなどにも多く搭載されている。
ディア・プルーデンスでは、このギターを通常店頭にはディスプレイしていない。実機をご覧になりたい場合、事前にアポイントの上、来店いただくことをお勧めしたい。
RickenBucker 315 1959年製 Mapleglo
W/ Original case
Bookmark協力店 : Dear Prudence
https://www.j-guitar.com/shop/detail.php?shop_id=16
取材時(2020年9月)の価格 : ASK
取材協力店
“Dear Prudence”
ディア・プルーデンスは、海外からの仕入れたアイテムに強いヴィンテージ・ギター&アンプの専門店。フェンダー、ギブソンだけでなく、リッケンバッカー、グレッチ、ヘフナー、VOXなど、店名の由来となっているビートルズ関係のギターは特に豊富。それに加えて、アンプやエフェクターもヴィンテージ品を中心に取り扱っている。
商品はコレクション向けだけでなく、プレイヤーズ・コンディション品やトリビュート・バンド御用達のモディファイ品まで様々。気になるギターがあれば問い合わせてみよう。
https://www.j-guitar.com/shop/detail.php?shop_id=16
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