本厚木のギター・ショップ、Guitar Tradersにチェリー・カラーの1973年製Les Paul Customが入荷した。現在のようにカスタムショップが無い時代にはカタログ外の仕様のギターは珍しい。今回のギターはトップにES-335などのチェリーを使用した美しいレスポール・カスタム。経年変化こそしているが、気品ある姿を現在も保っている。
▲Gibson 1973 Les Paul Custom
“Original Sweet Cherry”
価格=680,000円(税別 / 税込748,000円)
ES用のチェリーで塗装された“スイート・チェリー”のトップ
1960年にアーチトップのレスポールは一旦終了する。その後、復活するのは68年だ。今回のギターは1973年に作られたレスポール・カスタム。ボディ材はマホガニー、トップ材にはメイプル材を2ピースで使っていた時期のもの。再生産レスポールの多くのカラーは黒だが、70年代に入り、サンバーストも登場した。このギターは中でも“スイート・チェリー”と呼ばれる特に珍しいカラーだ。
“スイート・チェリー”のカラーはES-335シリーズに使われていたチェリー・レッドと同様の塗料のようだ。後年、登場するワインレッドとは異なる。さらに、ESシリーズともトップ材の違いからか色味が若干違って見える。また、シースルー・カラーのため、センターで合わせた2ピースのメイプル・トップを塗装越しに見ることができる。
赤に映えるエレガントなゴールド&ブラックのハードウェア
ピックアップはステッカーにパテント・ナンバーが書かれたハムバッキング・ピックアップ“ステッカード・ナンバード PAF”だ。カスタムなので、PUカバーはゴールド、エスカッションは黒だ。
ブリッジ/テイルピースもゴールド。ボディのチェリーと相まって、赤/金/黒のヴィンテージのES-345を思わせるカラーリングが美しい。
バックはスタンダード同様のブラウン。バックのバインディングも新鮮。
バックは生地着色によるブラウン。この塗装により。当時使用されていた木材の杢目と構造を見ることができる。当時のギブソンはバックのマホガニー材を薄いメイプル材で挟みこんだパンケーキ構造だ。また、カスタムなのでボディ・バックにもバインディングが入っている。バックル傷こそあるが、コンディションの良さを知ることができるバックだ。
レスポールの最上位モデルにふさわしい上品なネックと指板
ヘッドはカスタムのアイキャッチであるダイアモンド・インレイ、バインディングが入った大変美しいヘッドだ。ペグはクルーソンのワッフルバックに交換されている。
73年製なので、ネックはマホガニーの3ピース、ネック裏にはボリュートがある。指板はエボニー材。ギタートレーダーズにより丁寧にクリーニングされ、漆黒に輝いている。なお、このギターはリフレットされており、その際、フレット、バインディング・ナットは交換されている。
この後、74~75年頃にかけてレスポールのシリーズ全体のラインナップが整備され、カラー・バリエーションが増える。その際にワインレッドが登場するが、このギターはそれ以前に作られたレアな逸品。そして、美しいカラーを現代までキープしたコンディション。まさに貴婦人を思わせるエクセレント・ビューティーと言いたくなるヴィンテージ・ギターだ。
Gibson 1973 Les Paul Custom
“Original Sweet Cherry”
Bookmark協力店 : Guitar Traders
取材時(2020年9月)の価格 : 価格=680,000円(税別 / 税込748,000円)
取材協力店
“Guitar Traders”
2019年でオープンから20周年を迎えたヴィンテージ・ギター専門店。常時300本以上のギターを在庫しており、名品と言われるヴィンテージ・ギターだけでなく、リーズナブルなアメリカン・ギターや国産中古ギターまでラインナップも豊富。そして、それらは丁寧にセットアップされた状態で店頭に出されている。
加えて、広々とした店内は大型試奏室も完備。様々なアンプと組み合わせて試奏もできる。代官山のGuitar Traders Tokyoだけでなく、ぜひ足を運びたいギターショップだ。
〒243-0014
神奈川県厚木市旭町1-22-20 ハラダ旭町ビル3F
TEL:046-220-0377/FAX:046-220-0355
Mail:g.trader@themis.ocn.ne.jp
営業時間:11:00~20:00
定休日:木曜日