インタビュー&リポート

LAG Guitars Sauvageシリーズ発表会レポート

7月13日に下高井戸G-ROKSスタジオでLAG Guitarsの新製品内覧会が開かれた。この内覧会ではアコースティック・ギターの新シリーズ「Sauvage」がお披露目された。

 

Sauvage(サベージ)は、世界的な広がりを見せるSDGsの流れを、フランスのブランドであるLAGギターズ流に解釈し体現している。最初のSauvageギターは昨年発表されたが、今回、モデル数が一挙に充実したため日本でも内覧会が行われた。Sauvageは特殊加工の木材を使用、塗料なども環境への付加が少ないものを採用している。そして、最初から、それらを使うことを前提にデザインされているために、楽器としての完成度は高い。

今回は内覧会での内容を基にLAG Guitars Sauvageシリーズをレビューしよう。

特殊加工木材“Brancowood”について

Sauvageには特殊加工木材のBrancowoodが使われている。これはオーストラリアの科学者ブランコ・ヘルメッセ氏が考案した木材加工方法で加工された木材だ。一般のギター用木材は、それ自体の値段が高い上に伐採時に周辺の木材を刈るなどの環境への負荷が高い。Brancowoodでは、短周期松林(ラジアータ・パイン)などを基に生み出された木材である。その木材は製材時の換装プロセスで触媒や顔料、樹脂などを含侵させ、加圧する。その際、従来のギター用木材に近い音響特性に近づける。

具体的には
Pale Brancowoodはスプルース材
Brown Brancowoodはローズウッド材
Black Brancowoodはエボニー材
というように、木材の密度を調節し、従来の定番木材の音響特性をイメージしている。

Brabcowoodは、いずれも森林管理協議会(FSC)の認証を受けており、環境負荷の低さにこだわった木材だ。


▲トップ材はPale Brancowood。スプルース材に寄せた特性を持つ。また、サウンドホール周辺の加工はフランス生まれのブランドらしい洒落た装飾だ。


▲ブリッジはBlack Brancowoodが使われている。これはエボニー材の特性に寄せている。Brancowoodの中でも一番最初にLagギターに使われた経歴もある。

 

塗装やサイド&バックの加工について

Sauvageは、塗装なども環境負荷を軽減する努力を主眼に置いている。仕上げは全面的にマット系の塗装が特徴だ。これはオイル仕上げによるもので、使われている塗装系の素材(顔料/溶剤)などは石油系の素材を使っていない。効果としては、湿度や温度変化にも耐性があり、音響を遮る要素も少ない。また、特徴的なのはサイドとバックの波状の加工だ。これは滑りが少ないので、身体へのフィット性も高めている。また、仮にキズがついても一般の塗装と違い目立たないメリットもある。

▲ユーカリ材を使ったサイドとバック。バックのラウンド形状は本製品の特徴でもある。また、独特の加工は環境負荷を考えたものだが、滑り止め効果があり、触感に慣れると進化区画で心地よい。

 

実機(Sauvage-ACE)について

高い理想を体現するための新技術を用いているので、やや難しい用語が次々に登場してしまったが、本題は演奏する楽器としてのレビューだ。

Lagギターの製品は、フランスでデザインされ、中国の専用工場で生産。世界に輸出されている。多くの製品がコストパフォーマンス性に優れており、今回Sauvageは12モデルが発表された。

▲LAG Guitars Sauvage-ACE

写真はSauvage-ACEというモデルでボディスタイルがオーディトリアムのカッタウエイあり、P.U.付きのモデルだ。

ボディトップはPale Brancowoodを採用しており、これはスプルース材の特徴をイメージしている。サイドとバックはEucalyptus(ユーカリ材)を使用している。ユーカリ材を使ったギターは他に記憶がないが、バック部の形状がラウンドバックとなっており、大変凝った作りだ。内覧会では細部の確認できなかったが、このバック形状から見ても、内部ブレイシングの設計や素材もこれらの材に最適化されているように見えた。サウンドはアコースティックのナマ音は、中域がやや強めで、低音もしっかり出ている。

また、座って弾いている際には、サイド/バックの加工のせいでギターが滑ったり、ひっくり返るようなフィーリングがなく、心地よく弾ける。ネック材はカヤを使用し、やや尖った形状が現代的なプレイにも向いているように思える。

▲カヤ材のネック。グリップは現代的な形状だ。

SDGsという高尚なテーマで語らざるを得ないギターだが、サウンドはよくまとまっており、多くのギターの中からSauvageを、ごく普通に選んで、使えるオーソドックスさがある。店頭などで見かけたら、音で選んでも正統に評価できるギターだ。

また、今回の内覧会では、すでに発売となっている多機能なアコースティック・ギターHybibeのデモンストレーションも行われた。

 


【製品問い合わせURL】

https://www.lagguitars.com/ja_JP/ranges/sauvage

 

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