ブライアン・メイのレプリカギター「Red Special」で世界的に知られているKz Guitar Works。NAMMショーをはじめする数々の楽器ショーにも積極的に参加しているブランドだ。Kzは6月3日からの『NAMM2022』にも日本から参加し、その3週間後の『Yokohama Music Style Vol.2』にも参加している。いずれのショーでも新製品が目白押しとなっている。初お目見えの製品もだが、昨年登場の製品にさらに改良を加えるなど、大変活発な動きを見せている。ギタータウンでは、『Yokohama Music Style Vol.2』レポートの号砲としてNAMM2022でのレスポンスについて訊いた簡単なインタビューに加え、ブース展示品の簡易レビューを掲載しよう。
Kz Guitar Works 伊集院 香崇尊氏に訊く
▲伊集院 香崇尊 氏
NAMM2022へ参加したそうですね。さすがにコロナ禍や6月の変則開催で、規模、来場者も多くなかったと聞いています。そんな中でのNAMM参加でしたがいかがでしたか?
伊集院 : 前回のNAMMは2020年の1月でしたから、2年半ぶり。Kz Guitar Worksは6回目の参加です。NAMMの規模は前回に比べて小さかったですが、Kz Guitar Worksとしては来場者レスポンスは良かったですよ。初見の方でもブースに足を止めて、試奏してくれることが多かったです。出展した製品も増えていますので、以前NAMMで弾いてくれたKzファンの反応が良かったです。それに以前からKzを支援してくれている海外のブランドや楽器店、そしてミュージシャンの方々とも久々に直接に交流できました。
▲『NAMM 2022』でのKz Guitar Worksのブース
▲ギタリストPerfecto De Castro氏によるNAMM2022会場での製品紹介動画。ギター/ブースターともにツボを押さえた製品紹介になっています。ぜひご覧ください。
-試奏した方の声はどうでしたか?
伊集院 : 以前からの「Kz One(セットネック)」は定着した感があり、評判は依然として良かったです。中でも最新の「Bolt-On Maple」はポップなカラーが目を惹いたのか、試奏が多かったです。その上で、アメリカでは初めてお目見えしたピックアップ“KGW-mini”のサウンドも好評でした。それに「Kz One Air」も人気になりました。それに「KGW ST-Trad」もです。STスタイルの形状が受け入れられやすいからか試奏が多かったです。
あと、「Kz TREBLE BOOSTER」と「Kz CLEAN BOOSTER」の2機種もかなり弾いてもらいました。トレブルブースターは日本ではファーストロットが、すぐ完売になった人気製品ですし、クリーンブースターはNAMMに出発する直前に完成した製品なので、NAMMが世界初お披露目でした。
―Yokohama Music Style Vol.2の出品製品はNAMM2022と同じ商品ですか?
伊集院 : はい。NAMMにはフラッグシップも持っていきましたが、横浜では新製品が多いので、2022年のKzのレギュラー・モデルを網羅しました。特に「Bolt-On 22」 のメイプル指板モデルは今日が発売日です。「Kz CLEAN BOOSTER」の発売日は7月ですが、このイベント会場で先行予約を受け付けています。それに「Kz-One Air」もアカシアコア・トップを持ってきていますので会場でお試しいただけます。それにブースにある「KGW ST-Trad」はトレブルブースターを内蔵した特別モデルです。
―ブースにあるのは、新製品ばかりですね!
伊集院 : それに、ブースの製品は普通にアンプで音出しして試奏するだけでなく、別にヘッドホンアンプも用意していますので、心ゆくまで試せるようにしています。
Yokohama Music Style Vol.2でのKz Guitar Works製品 簡易レビュー
KGW Bolt-On 22 3S11 & 2H6 (Maple Fingerboard)
KGW Bolt-On 22にメイプル指板モデルが追加された。これは“SNB”、“SFG”、“SHP”、“FRD”、“2TS”の5色がラインナップ。ポップなイメージで2TS以外は全てマッチング・ヘッドだ。搭載されているP.U.は2H6は定評あるフルサイズのハム・バッキングP.U.のKz Classic。3S11はシングルのKGW-mini ver.2(下記)を搭載。そのカバーにはダミーの穴が開けられている。さらに(トーン・プルで)フェイズ・アウトも可能、また、内部ではKz NUE(下記)を使用している。NAMM2022で評価が高かったのもうなずける凝ったモデルだ。
・KGW-mini ver.2
フェライト・マグネットを使ったKGWピックアップを小型化したのがKGW-Miniで、そのバリエーションが「KGW-mini ver.2」となる。これはフェライト・マグネットの表面にステンレス板を配置。ピックアップカバーには6つのホールを開けて、ポールピース風の外観を取り入れている。
・Kz NUE
OvaltoneはKzと同じ湘南に拠点があるエフェクター・ブランドだ。その両社がコラボレーションしたのが「Kz NUE」だ。ギター内部にはコンデンサなどのパーツがあるが、Ovaltoneでは単にコンデンサ単体ではなく、複数のパーツを組み合わせたNUE(鵺)デバイスというパーツとしてリリースしている。これによりコンデンサ単体を超える魅力的なサウンドを生み出す。Kz NUEでは、中域の濁りを減らし、その上下の周波数を追加する構造だ。今年1月に両社が行ったイベントでは、Kz Nue搭載ビフォー/アフターの実演もあり、イベントに参加したギタータウンも効果を体感できたが、“ギターのボリュームを絞った際に音が痩せて聞こえる”というような人には大変効果的なデバイスだ。
Kz CLEAN BOOSTER
先日のNAMM2022で初お目見えした「 Kz CLEAN BOOSTER」。これはシャンパン・ゴールドのフロントパネルを持ったミニ・サイズのブースターだ。本機は一石のトランジスタを使用している。ゲインアップは最大で+14dBと歪みすぎないことが特徴だ。2つのミニスイッチだが、Mid Boostは、800Hz付近の中域をさらに+4dB追加、ブライトネスは上の状態でハイブーストされる。ブースターは単体で歪ませるというよりも、歪ませたアンプや他のエフェクターと連携し、音を際立たせる効果が高い。その点ではロケットを打ち上げる際のブースターのようなイメージだ。予め作ったサウンドに“ここ一番でブーストしたい”時などに使うと特に効果的だろう。
Kz TREBLE BOOSTER
「Kz TREBLE BOOSTER」は60年代の英国製“レンジマスター”を参考に開発した製品。現代ではゲインを上げても高域が出にくいアンプは少ないが、60年代のアンプは過大に歪ませると飽和しやすく、高域がでにくくなる。そこでブースターを使って、トレブルをアップしてきた。Kz TREBLE BOOSTERでは一石トランジスタを使用し、ベーシックなサウンドはオールドスクールだが、2つのミニスイッチで様々なトーンを生み出す。Kz TREBLE BOOSTERは現代のアンプとの組み合わせても、個性的でみずみずしいトレブルを生み出し、ミニ・スイッチの切り替えで好みのサウンドを作れる。きらびやかなアルペジオなどの演出にも使える。
Kz ST Trad 22 SSH7
昨年発売され好評を博した「Kz ST Trad」 。トラディショナルなボディのアウトラインながら中身はKzのアイデンティティで埋め尽くされたモデルだ。それは、レッドスペシャル譲りの超ロング・テノンのRSジョイントを採用、ボディ&ネックにホンジュラス・マホガニーを使用。スケールは635mmなどKzらしさを数多く内包している。YMS Vol.2では、さらにKz TREBLE BOOSTERを内蔵したモデルを出展している。これはファーストロットが店頭で完売となったストンプ・ペダルをST Tradのボディに収納したモデルだ。またひとつKzらしさを文字通り内包したモデルである。
▲スライドスイッチでブースターをオンオフする。
▲組み込み中の写真。回路ごとボディバック側から装着。
Kz One Air
Kz Oneの新機軸と言える「Kz One Air」は今年発売され、そのファーストロットは店頭に並ぶと同時にお客様の手に渡ったモデルだ。つまり、オーナー以外はほぼ試奏もできない状態となっている。YMS2022では、逗子の工房にあるアカシア・コアのモデルがブースに登場している。内部は“アコースティック性”を重視したホローボディ。自宅リビングなどでアンプラグドの状態でギターを楽しめる適度なナマ音。そして、エレクトリックとしても“アコースティック感”あるエレクトリック・サウンドも魅力だ。さらに、ブリッジも6wayとウッドブリッジが同梱されているので、オーナーの好みで交換可能だ。1本で色々と楽しめるKzの新機軸だ。
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