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常識を越える27フレット & 快適な演奏性 ESP MAVERICK

 

常識を超える27フレット & 快適な演奏性 ESP MAVERICK

「ソリッドギターは24フレット仕様まで」というのが常識の中、ESPのMAVERICKは数少ない“27フレット”仕様のモデルだ。1980年代終盤に登場し、2020年に生産終了。しかし、熱烈なリクエストを受け、翌年、装いを新たに復活。常識を越えた27フレット仕様を持ち、テクニカルなギタリストに最適な高い演奏性が評判の『2021年版MAVERICK』の魅力を紹介しよう。

超高音域の常識を越えた27フレット仕様

ESP MAVERICK▲ESP MAVERICK (Titan Metal)
価格=434,500円(税込 / 税別395,000円)

 

常識を越える27フレット仕様を実現した秘訣に迫る

MAVERICKの最大の特徴は、従来の常識を越える27フレット化によるギター・デザインだ。

エレクトリック・ギターの最高フレットは、22フレットまたは24フレットまでの仕様が主流だ。実は、12フレット以上の音域では、構造に由来するイントネーション、押弦による圧力、他のポジションとの弦高の違いなどで音程があいまいになりがち、だからだ。MAVERICKでは、いくつかのノウハウを組み合わせることで、これらの課題をクリアし、27フレット仕様を実現している。

◇フレット
MAVERICKのフレット・ワイヤーはJESCAR FW55090-NSを採用している。

FW55090-NSは、ニッケル・シルバー素材のフレットで、素早い音の立ち上がりが特徴。形状もミディアム・ジャンボの中でも山状の部分の先端が鋭いため、より正確な音程感がある。ESPのエンドーサーの中でもテクニカルなギタリストのギターにしばしば採用されているフレットだ。

また、出来る限り弦高を下げたセッティングにしており、指先に余計な力を加えなくてもキレイに発音する。

他にもフレットのエッジ処理、フレットのタング(指板に埋め込まれた部分)の加工処理などもESPブランドの細かい技術が生きている。

これらをESPの製造技術で適正に導入することで、20フレット以上でも、それ以下のエリアでも明確な音程と一貫性があるサウンドを生み出す。

ESP MAVERICK

▲メイプル・ネックにメイプル指板をラミネイト。指板はネック本体より指板の方が長い“つば出し”と呼ばれる方法で製作している。また、フレットのJESCAR FW55090-NSの山状の部分と弦高の低さに注目。この形状と調整が超高域での安定した音程のポイントだ。他にも、フレット・サイドの加工、指板サイドのフレット・タングは丁寧に穴埋めなど、細部まで行き届いた処理がされている。

◇ピックアップ
MAVERICKはネック側P.U.にシングルサイズのハム・バッキングP.U.のSeymour Duncan SCR-1nを採用し、さらにスラントさせて取り付けている。これにより、増えたフレット用の場所とピッキングのための空間を確保している。数センチに過ぎないが、極めて大切なポイントだ。また、ネック側P.U.としては位置がブリッジ寄りなので、ややブライトなサウンドが特徴だ。

ブリッジ側のP.U.はフルサイズのハムバッキングP.U.のSeymour Duncan TB-14を搭載。2つのP.U.はサイズが異なるP.U.だが、出音のキャラクターは似ており、切り替え時の出音に違和感は少ない。

P.U.セレクターは3ポジションで、センター位置ではネック側+ブリッジ側のそれぞれのインサイド・コイルだけを使った軽快なサウンドを生む。

ESP MAVERICK

▲2つのハムバッキングP.U.はネック側にSeymour Duncan SCR-1n、ブリッジ側にSeymour Duncan TB-14を搭載。ネック側P.U.をシングル・サイズにすることで、フレットの位置を確保。さらにピッキングに必要なスペースを確保している。それぞれのP.U.はサウンドのキャラがよく似ているマッチングだ。

ESP MAVERICK Review

▲P.U.セレクターは3ポジション。写真のセンター位置では両P.U.のインサイド・コイルだけを使ったミックスとなる。また、マスター・ボリュームだけの潔いコントロールだ。

 

個々の技術は特別ではないが、これらの施策を複合し、実用性ある27フレット仕様を実現している。多くのブランドが比較的安全な24フレット仕様までなのに対し、MAVERICKは27フレット仕様という、まるで“F1マシン”のように高性能で、高次元な製品が完成したといえる。

 

ハイ・ポジションまで使いきれる ERGOジョイント

MAVERICKは、ERGOジョイントを採用している。これはプレート・レスの4点止めのボルト・オン。ボディはトップ側で見て、低音弦側が19フレット付近、22フレット付近の位置まで深くカットされている。バック側は、多数の曲面で構成することで、極限までそぎ落とすと同時に剛性を確保している。これにより、高音域の演奏時も左手のストレスを感じない。27フレット仕様でも良好なサウンドと強度を兼ね備えている。

ボディのネック・ポケットは、ボディ背面を大胆にカットしている。これは左手の手の平が入りこむための空間で、演奏時の効果が非常に高いカットだ。

これらは27フレットまでを使うとは限らなくても、ハイ・ポジションを多用するギタリストにはありがたい仕様だ。

ESP MAVERICK

▲ERGOカット。プレート・レス4点止めのボルトオン・ジョイント。強度確保だけでなく、サウンドを決定する重要要素なので、無闇にカットするのではなく、残す部分は残した上で、曲面にカットしている。また、ボディのネック・ポケット部は手の平が入るようカットしている。超ハイ・ポジションだけでなく、ハイ・ポジション全体を常用するギタリストをフォローする。

 

立っても、座っても、長時間でも。絶妙なボディ・バランスと独自のフィット感

MAVERICKは、設計時にボディ部分での演奏性の高さ、フィット感も重視している。

MAVERICKは短めの628mmスケールで、全体が小柄な印象。ボディ材は2021年モデルからアルダーとなった。また、ボディのネック・ホーン側(低音弦側先端)が13フレット付近まで伸びたデザインだ。このストラップ・ピン位置では、立って演奏した際の重量バランスが良い。楽器が両手に無駄なストレスを与えないので、ギタリストはプレイに集中できる。

また、ボディはトップ/バックともにコンター加工がされている。特にバック・コンターは珍しい形状となっている。というのも、バック側のエッジが丸くラウンドし、へこみ部分の内側が軽く丸く膨らんでいるのだ。フィット感そのものは個人差があるが、普段から長時間プレイするようなテクニカルなギタリストは、MAVERICKで独特のフィット感が頼もしいことだろう。

立って弾く、座って弾く、いずれの場合でも、楽器がギタリストの演奏にストレスを与えない。これがMAVERICKの“もうひとつのテーマ”と言えるだろう。

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▲ネック・ホーンの先端部分のストラップ・ピンは13フレット付近。これはストラップを付け、立って弾いた時にホールド性が良くなる。テクニカル系のギタリストには、左手にストレスを感じないことは演奏に大きく関わる。

ESP MAVERICK Review

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▲バック・コンター。なめらかな曲線でカットされており、カットの凹み部分がわずかに膨らんでいる。テクニカル系のギタリストは長時間ギターを抱えるため、フィット感は重要だ。やや大きなトップ・コンターと併せて、快適なホールド性を誇る。

 

全てのテクニカル系ギタリストに向けたMAVERICKの魅力

今回は稀有な27フレット仕様をメインに解説を進めたが、MAVERICKの魅力はそれだけではない。特にネックはスケールが短めな628mmなのに加えて、グリップが『Thin Uグリップ』となっている。テクニカル系ギタリストには全てのポジションで快適に弾けるギターだ。中でも、挑戦的なギタリストであれば、超高域を積極的に活用し、タッピングだけでなく、ピッキングにも対応できるので、自分だけの楽曲を生み出すことも可能だ。

また、フロイドローズのブリッジと素早く弦交換できるGOTOH SG360-07R MG-Tも搭載。

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▲Thin Uグリップ。テクニカル系ギタリスト御用達のグリップ。艶消しの塗装。

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▲定番のFloydRoseブリッジ

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▲ボディ・サイドに舟型ジャックを使ったアウトプット。プラグが邪魔になりにくく、プラグが無用に外れる事故防止効果も期待できる。

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▲リバース・ヘッド

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▲金属製のトラスロッド・カバー

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▲チューナーは弦交換が容易なGOTOH SG360-07R MG-T

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▲ボジション・マークは珍しいオフセットの配置だ。チョーキングなども多い指板の中央を避け、全て低音弦側、しかも、それぞれが弦の直下を避けて配置されている。演奏時の弦はできるだけ直接指板に触れさせたいとする配慮がうかがえる。

 

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カラーは「Titan Metal(取材モデル)」「Black」「Pearl White Gold」「Deep Candy Apple Red」の4色がラインナップ。それぞれに「メイプル指板(取材モデル)」「ローズウッド指板」がある。

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▲Black / Rosewood

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▲Pearl White Gold / Maple

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▲Deep Candy Apple Red / Rosewood

 

MAVERICKは「27フレット仕様」が最も大きなキーワードだ。だが、ハイフレットまで全てのポジションで弾きやすいという基本的な事柄を忘れてはいない。また、立つ/座るという弾き手の演奏方法のどちらでもボディへのフィット感も考慮。これらはギターを長時間弾くテクニカル系ギタリストの快適さは無上といえる。MAVERICKには、単に27フレット仕様では語れない“テクニカル・ギタリスト”のための仕様が凝縮している。

 

《SPEC》

■BODY : Alder (Thickness 45mm)
■NECK : Hard Maple 3P
■GRIP SHAPE : Thin U
■FINGERBOARD : Rosewood or Maple
■RADIUS : 305R
■SCALE : 628mm
■NUT : Locknut (42mm/R2)
■FRET : JESCAR FW55090-NS, 27frets
■INLAY : MOP Offset Dot(R) or Abalone Offset Dot(M)
■CONSTRUCTION : Bolt-on (ERGO)
■TUNER : GOTOH SG360-07R MG-T
■BRIDGE : Floyd Rose
■PICKUPS :
(Neck) Seymour Duncan SCR-1n
(Bridge) Seymour Duncan TB-14
■CONTROLS :
Master Volume
3-Way Lever PU Selector (Middle Position Auto Coil Split)
■PARTS COLOR : Black or Chrome
■SET STRINGS : Elixir NANOWEB 12002 Super Light (.009-.042)
■別売 : Hard Case (HC-250MV)


《製品URL》
https://espguitars.co.jp/product/21054/

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