製品レビュー

24フレット & ラウンドトップのKz One登場

24フレット & ラウンドトップのKz One登場

先日(11月23日)に逗子Surfersで新製品発表イベント「Kz Guitar Works 祭 The Party 2020」を開催したKz Guitar Works。その際、いくつもの新製品が発表されていたが、その中で最も気になったモデルをレビューしよう。そのモデルとは「Kz One Semi-Hollow Round Top 24F 3S23 Kahler」と「Kz One Solid Round Top 24F 2H6 T.O.M」の姉妹モデルだ。

▲「Kz Guitar Works 祭 The Party 2020」の展示。

Kz Guitar Worksはカスタムオーダー品がメインのギターブランドだ。そのため、この2本はカタログ品でもあるが、新たにオーダーできる内容が盛り込まれたオーダーサンプルという性質もある。

今回紹介する2本には大きくフィーチャーすべきポイントが3つある。それは

・Kz Oneを24フレット仕様にした新デザインのギター
・外周に向けに薄くラウンドしたトップ構造
・3S23にはプッシュ/プッシュ・スイッチを搭載

の3つだ。

Kz Oneの24フレット仕様追加の背景

従来のKz Oneは22フレット仕様だった。しかし、Kz Guitar Worksの原点といえるRed Specialが24フレット仕様なので、ギターをオーダーするお客様からKz Oneの24フレット仕様をリクエストする声はあったようだ。来年(2021年)のブランド創立20周年に向けて、24フレット・モデルを開発し、先日のイベントでお披露目された。

ギタリスト目線では

「24フレット=各弦2オクターブだからわかりやすい」「たった2フレットの追加でしょ?」

と思うかもしれない。それでいて、お客様の声は当然

「フレット数が違ってもKz Oneに見えるルックスとサウンドで」という思いがある。

しかし、ギターを設計する側からは別のギターと言っても過言ではない。

新たにデザインされたボディ

Kz Oneは22フレット仕様と24フレット仕様では、ネック・ジョイントと、PU、ブリッジなどの各パーツの位置関係が全く異なる。

 

体の位置関係

ボディのアウトラインは22フレット/24フレット仕様ともに同一だ。(※エンドピン側がやや違って合成されているのは撮影者が異なる写真を重ねており、両者の撮影時のギターの中心が異なるためです。ご了承ください。)

両者はネックのジョイントしている位置が異なる。

22フレット仕様は19フレットでジョイント

24フレット仕様は21フレットでジョイント

という位置関係にある。

 

ピックアップとブリッジの位置

「ネック側ピックアップを基準」に重ねたのが下の写真だ。これを見るとパーツなどの位置がかなり異なる。

特に目立つのは両者のピックアップの位置の違いだ。

個々のPUが拾う弦の場所。それが、ネック寄りなのか、ブリッジ寄りなのか、によって、サウンドは変わる。そのため、PUを配置する場所が違うと、2つのギターのサウンドは理論的には別となる。

また、3つのPUの間隔が変わったことで、ピックアップをミックスした時のサウンドも若干影響がある。プレイヤーによってはピッキングの位置を気にする人もいるだろう。

ただし、結論だけ言うと、今回のPUに特別な細工などはしていない。計測を目的としてテストするなら音は違うかもしれない。だが、実際に演奏する楽器としては、演奏面での支障がなかったからだ。それぞれPUの位置が数ミリずれたからと言って、個々のPUも、どのようなミックスでも、楽器としてのKz OneはKz Oneの音を出してくれる。

では、何のために24フレット仕様を追加したのか。そのメリットは身体へのフィット感にある。

各パーツの位置が変わると座位でのプレイヤーの弾き心地も変わる

座って弾く際には、どちらのギターも赤●の場所で右ひざの上に置いて演奏する。つまり、身体の同じ場所にギターを置くが、ピッキングする"右手の手の平"と"右ひじの場所"のポジションが22フレット仕様と24フレット仕様では違うのだ。これは数センチ違の違いだが、プレイヤーのネック位置=左腕、右手のポジションの違いがあり、どちらが演奏のしやすいかはプレイヤーによって変わる。

もし、22フレット仕様を抱えた時に右ひじが窮屈に感じるなら24フレット仕様が向いている。また、PC前などに座って制作活動するクリエーター系のギタリストにも右腕がより楽に動かせるのはメリットだろう。

これは仕様の優劣ではなく、「どちらがフィットするかの違い」なので、楽器ショー出展時のブースや楽器店店頭で体感したもらいたいポイントだ。

最大約1cm分ラウンドさせたボディトップ

今回の目玉仕様のひとつがラウンドトップだ。このトップはアーチトップのような削り出しではなく、1枚のマホガニーを曲げ、トップとしてボディに貼っている。

今回の2本のギターはいずれもマホガニー材のトップをラウンドさせている。最も厚い部分と薄い部分の厚みの差は約1センチだ。アウトラインだけでなく、エッジ部分の厚さを薄くしたラウンドトップは座位で演奏した際に右ひじを自由にしたいギタリストには向いている。

なお、Kz Guitar Worksのカスタムオーダーにはコンター加工の項目もある。

つまりカスタムオーダーの際のトップは

「フラットトップ」

「ラウンドトップ」

「コンター加工」

から選べる3種類となる。どれを選ぶかは各個人の好みにまかせたい。

プッシュ/プッシュ・スイッチの採用

今回"3S23"回路を搭載しているKz One Semi-Hollow Round Top 24F 3S23 Kahlerはボリュームとトーンに"プッシュ/プッシュ・スイッチ"を採用している。

3S23回路は3つのピックアップで23種類のサウンドを生み出すKzを代表する回路だ。

従来は「プッシュ/プルスイッチ」を採用していた部分を「プッシュ/プッシュスイッチ」に変更。

・ヴォリューム・ノブをプッシュするとネック側PUのフェイズ変更(フェイズ・スイッチ)
・トーン・ノブをプッシュするとセンターPUのフェイズ変更(フェイズ・スイッチ)

という動作となる。また、

・ミニ・スイッチでシリ/パラ変更(シリ/パラスイッチ /抱えた状態で見て手前がパラレル、奥がシリーズ)

となっている。

 

今回、「なぜプッシュ/プッシュスイッチをこれまで使わなかったのか」を伊集院氏に尋ねたところ、プッシュ/プッシュスイッチは内部のスプリングの信頼性が低いパーツが多かったからだという。スプリングの耐用回数は驚くほど少なく、使用頻度が少なくても故障しているギターをかなり見かけてきたということだ。今回使用しているのは、伊集院氏が信頼が置けると見込んだパーツを使用している。その分、パーツ原価が自体が高いとのことだ。

この2本のギターには大変もりだくさんな内容が込められている。それらを踏まえたうえで、個別に紹介しよう。

 

製品レビュー

Kz One Semi-Hollow Round Top 24F 3S23 Kahler

▲Kz One Semi-Hollow Round Top 24F 3S23 Kahler
価格=560,000円(税別)

ボディ材はホンジュラス・マホガニーを使用。内部をくり抜くことで軽量に、かつ、アコースティック感を演出している。トップ材もホンジュラス・マホガニーを使用。トップは5mm厚のトップ材をベンド加工し、ボディのマホガニーと接着している。トップの材は素直な杢目で、やや明るめのカラー。塗装はナチュラルなサテン仕上げだ。ボディにはパーチメントと赤べっ甲による2層のバインディングが巻かれている。

ネックはホンジュラス・マホガニー材、指板材はエボニーだ。グリップは従来のKz Oneと同様のモダンCシェイプ。オーソドックスで中庸な形状だ。スケールも従来のKz Oneと同じ635mmスケール。フレット数は今回の目玉仕様である24フレット仕様。また、ヘッド部には指板と同じエボニー材が貼られており、ハンドメイド品ならではのコイン型エンブレムを装着している。

ピックアップはKGW。24フレット化に伴い、パーツとしてのピックアップの調整や変更も検討したそうだが、実機を製作したところその必要性がなかったため、従来同様となっている。

コントロールは1V1T。スイッチ類はおなじみの3S23。そして、2つのノブはそれぞれプッシュ/プッシュタイプとなっており、ヴォリューム・ノブはネック側PUのフェイズ切り替え。トーン・ノブがセンターPUのフェイズの切り替え。ミニ・スイッチはシリーズ/パラレル切り替えのシリパラ・スイッチだ。

ブリッジはケーラーを搭載。機構として、調整できるポイントが多い。また、金属の質量が大きく、底面がボディに密着しやすいブロックなので、弦振動の伝達ロスが少ない。もし、トレモロを使わないギタリストでも可動しないよう固定してしまえば、サウンド面でもメリットが期待できるトレモロユニットだ。

《SPEC》

[ボディ]
■ボディ構造 : セミホロウ ラウンド貼り セットネック ■トップ木材 : ホンジュラス・マホガニー■バック木材 : ホンジュラス・マホガニー ■バインディング : パーチメント2mm+赤ベッコウ1.5

■ブリッジ : Kahler ■PU : KGW ■コントロー.ル : 3S23

[ネック]
■スケール : 635mm ■ネック木材 : ホンジュラス・マホガニー ■ヘッドトップ材 : エボニー ■ヘッドセル : パーチメント ■指版材 : エボニー ■指板バインディング : パーチメント ■ネックグリップ : モダンC ■フレット数 : 24F ■フレット : FW55090 ■正面ポジマ : M.O.P ■サイドポジ : ブラック

[パーツ]
■ハードウェアカラー : クローム ■ペグ : SG301 MG-T ■ブリッジ : Kahler ■ロッド : 2way ■ノブ : メタル ■ピックガード : なし

[塗装]
■トップカラー : マホガニーナチュラル ■バックカラー : マホガニーナチュラル ■ネック : マホガニーナチュラル ■ヘッドトップカラー : ナチュラル ■仕上げ : 艶消し
■重量 : 3.4kg

「Kz One Solid Round Top 24F 2H6 T.O.M」

▲Kz One Solid Round Top 24F 2H6 T.O.M
参考価格=500,000円(税別)

ボディやネックの素材はケーラー付のモデルと同じだ。しかし、こちらはソリッド・ボディで、TOMブリッジの搭載。2ハム・バッキングPU、プッシュ/プルによるコイルタップ、1V1Tシンプルなコントロールなど剛健かつ割り切った仕様が特徴だ。

まず、ボディはホンジュラス・マホガニー材のソリッド・ボディ。それにトップもまたホンジュラス・マホガニーをラウンド貼りした構造だ。ネックもまたホンジュラス・マホガニー材、指板はエボニー。加えて、ピックアップにはKz Classicを2基搭載している。ここまで列挙してみたが、この組み合わせは"レスポール・カスタム"と同じ構成だ。それに、ラウンドトップ化による座位での右ひじ、ピッキング位置などの位置関係もレスポールを座ってで弾いた時に似ている。このギターは抱えて、あるいは、プラグインして、「あれ?これはレスポール?」と思わせるような見た目を裏切る不思議な感覚を覚える。このギターは形こそKz Oneだが、Kzが作ったレスポール・ライクなギターと言えそうだ。

ピックアップはKz Classic。カバーは美しいヘアライン加工がされており、サテンのボディカラーとマッチしている。

コントロールは1ボリューム/1トーン。トーンノブをプルすることで、コイルタップすることができる。トグルスイッチは独特の位置で、ノブよりも外側にある。

 

《SPEC》

[ボディ]
■ボディ構造セミホロウ : ラウンド貼り セットネック ■トップ木材 : ホンジュラス・マホガニー ■バック木材 :ホンジュラス・ マホガニー ■ボディバインディング : パーチメント2mm+赤ベッコウ1.5

■ブリッジ : T.O.M. ■PU : Kz Classic × 2 ■コントロール : 2H6 +トグルsw

[ネック]
■スケール : 635mm ■ネック木材 : ホンジュラス・マホガニー ■ヘッドトップ材 : エボニー ■ヘッドセル : パーチメント ■指版材 : エボニー ■指板バインディング : パーチメント ■ネックグリップ : モダンC ■フレット数 : 24F ■フレット : FW55090 ■正面ポジマ M.O.P ■サイドポジ : ブラック

[パーツ]
■ハードウェアカラー : クローム ■ペグ : SG301 MG-T ■ブリッジ : T.M.O.(GE103B-T-N / GE101A-N) ■ロッド : 2way ■ノブ : メタル ■ピックガード : なし


【製品問い合わせ】
Kz Guitar Works
https://kzguitarworks.com/

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