製品レビュー

Kz Guitar Works 32インチ・スケール Bass版のKz One

Kz Guitar Worksは、アメリカのNAMMや日本の楽器フェアなどのブース出展に意欲的なブランドだ。今回紹介するKz One Bassは"NAMM2020"に出展した際に作られたベースだ。

 

▲Kz Guitar Works Kz One Bass (32inch)
参考価格=400,000円(税別)

Kz One Bass (32inch)のポイント
・Kz Oneのイメージをベース化
・32インチのミディアム・スケール
・本格的な仕様を持ち、Kzのファクトリーで製作されたハイエンド・モデル

 

Kz Oneのベース・バージョン

Kz Guitar Worksには、ベースでは、以前から34インチ・スケールのJed-O Bass(英国出身バンド The Strutsのベーシスト Jed Elliottモデル)というベースがラインナップされている。今回紹介するKz OneはJed-O Bassとは異なるコンセプトが出発点となっている。それはKz One(ギター)をお買い上げいただいた方からの「Kz Oneの形のベースがあったら」という声が寄せられたことにある。その声をもとに伊集院氏がイメージを膨らませてデザインした。そのため、今回紹介するベースはボディのアウトラインはKz Oneを踏襲している。そして、完成したのはギタリストにも弾きやすく、サウンドにも満足がいくベースである。

 

新設計の32インチのミディアム・スケール・ベース

エレクトリック・ベースのスケールは34インチが主流で、35インチだとロング・スケールと呼ばれる。歴史的にはEB-Ⅲやムスタング・ベースなど30インチ程度のモデルもあり、それらはショート・スケールに分類される。

Kz One Bassはそれらの間の32インチ。いわゆるミディアム・スケールに属する。ミディアム・スケールは手が小さい人向け、またはテンションが緩めなので太い低音が期待できるのが長所だ。しかし、32インチは伝統的に低価格品が多く、34インチを短く直しただけ製品が多い。そのため、窮屈に見えるパーツの配置だったり、テンションが緩すぎたり、と、上級者が使える製品は少なかった。それらと一線を画したのがKz One Bassだ。最初から32インチ・スケールで設計することで、ミディアム・スケールで発生しやすい問題点を全てクリアしている。さらに定評ある自社ファクトリーで作られているので、楽器としての完成度、ポテンシャルが高い。見事に32インチの長所だけを上手に活かしている。

Kz Oneのアウトラインやネックジョイントを踏襲。凝った仕様のネック。

Kz One Bassは、ギターであるKz Oneのアウトラインを踏襲している。これは開発上の絶対条件だ。

ボディ材は高級で希少なホンジュラス・マホガニーをソリッドで使用した。ボディとネックのカラーはヴィンテージ・ホワイトのサテン仕上げ。装飾類は控えめで、ボディ・エッジを滑らかに丸めている。また、このベースはソリッドの木材を使いながら3.8kgに過ぎず、軽量だ。長時間演奏する人には大きなメリットだろう。

ネックにもホンジュラス・マホガニーを使用。ネック内部を2本のカーボンで補強している。指板材は希少材のマダガスカル・ローズウッドを使用している。しかも、指板には(指板材とは別の)ローズウッドを使ったバインディング加工をしている。カラーやポジション・マークなどはあえてシンプルに、しかし、オーナーにはハイエンド品だけが持つ、演奏性や誰かに語りたくなるような、細部まで凝った仕様を取り入れている。

ナットはグラフテックのTusqシリーズを使用。フレットはJescarのFW55095だ。

ボディとネックは19フレットというハイ・ポジションでジョイントされている。また、ネックの接合はKz独自のセットネックとなっている。

 

アルニコVのPUと金属の質量があるブリッジ

ピックアップはAGUIILAR Super Double 4SD-D1を搭載。1本の弦に対して2つのポールピースが割り当てられている。マグネットには高出力なアルニコVを使用。ハム・キャンセル機能もあるPUだ。

2PU仕様でPUセレクターを使わない2ボリューム/1トーンのコントロール。ピックアップのブレンド量で、幅広いサウンドを生み出せる。

ブリッジにはHIPSHOTの3 Point Super Tone Bassを採用している。これは元々はギブソン製のベースなどに向けたリプレイスメント・パーツで、EB-Ⅲやサンダーバードを現代化する際に使われる。そのため機能面では、正確なオクターブ調整、弦の簡単な着脱などの現代的仕様。サウンド面でも、金属の質量が多い本体、そして、2本の太いスタッド。これらにより弦の振動を余すところなくボディに伝達できる。

ヘッド部のチューナーもHIPSHOTのUltraliteシリーズが使われている。

32インチ・ベースの可能性

Kz One Bassは、ギターのKz Oneを起点としてベース用にアレンジ。定評あるKzの自社ファクトリーで組み立てられた本格的な仕様のベースだ。楽器としての方向性はスラップなどを多用するテクニカル系ではなく、パッシブPUを生かしたパワフルなロック系サウンドに向いたベースとしてアレンジされている。

ミディアム・スケールのベースはニッチな市場向けの製品である。そういった製品にとっては、NAMM2020以降、一般ユーザーが試せる楽器ショーがコロナ禍で奪われてしまったことが残念だ。だが、来年4月には大阪で『サウンドメッセ in Osaka』が開催される。その際には、ベーシストに限らずギタリストにも本品を試してほしい。シンデレラの"ガラスの靴"のように、"履くことができる、たった一人のミュージシャン"のために開発されたのがKz One Bassなのだ。

《SPEC》

[ボディ]

■ボディ木材 : ホンジュラス・マホガニー

[ネック]

■スケール : 32 inch ■ネック木材 : ホンジュラス・マホガニー(カーボン×2)  ■指版材 : マダガスカル・ローズウッド ■指板バインディング : ローズウッド ■ナット : Tusq (ブラック) ■フレット : Jescar FW55095 ■正面ポジション・マーク : M.O.P ■サイド・ポジション・マーク : M.O.P

[パーツ]

■PU : AGUIILAR SUPER DOUBLE 4SD-D1 ■コントロー.ル : 2V1T ■ハードウェアカラー : クローム ■ペグ : HIPSHOT ■ブリッジ : HIPSHOT

[塗装]

■トップカラー : ヴィンテージ・ホワイト ■バックカラー : ヴィンテージ・ホワイト ■ネック : ヴィンテージ・ホワイト ■仕上げ : サテン

■重量 : 3.8kg


【製品問い合わせURL】
https://kzguitarworks.com/

 

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