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ESPから新たな挑戦を盛り込んだ“Experimental Series”が登場

ESPから新たな挑戦を盛り込んだ“Experimental Series”(エクスペリメンタル・シリーズ)の登場が発表された。これはESPが自社ファクトリーで行っている様々な実験的作業の中から生まれた技術や技法。そして、高品質な木材を保管する木材ルームの中から選んだ希少材を使用するなど、製品として生み出すシリーズだ。その第一弾が2021年12月20日に発売される限定10本の『Experimental Series ESP SNAPPER-AS Limited Edition』である。

 


▲ESP Experimental Series SNAPPER-AS
DW Natural w/Black Filler
価格=660,000円(税込) / 600,000円(税別)

本機は一見するとボディに銘木を使ったSNAPPER-ASに見える。ボディはローステッド・スワンプアッシュ材、ネック材もローステッド・ハードメイプルなので、ハイクラスの木材を熱処理した充分なプレミアム性がある。しかし、最も注目すべきは、“ぺルナンブコ”(Pernambuco / ※下記にESPによる木材解説を引用)という木材を指板に使用している点だ。ぺルナンブコはギター用の木材では全く馴染みがない木材だが、広く楽器用の木材としてはバイオリン属の弓などに用いられる木材である。木材の性質としては、硬質で剛性が高く強度があるとされる。指板材はボディとネックの振動を適正にトリートメントする役目があるが、ぺルナンブコはタイトなレスポンス、そしてサステインを得ることができるという。

 

ペルナンブコは弦楽器業界での通称名であり、正式にはブラジルウッドと言います。赤い染料(ブラジリン)を抽出するために16世紀中頃ヨーロッパに持ち込まれました。ブラジルの国名はこの木が由来です。材自体が持つ弦振動が減衰しにくい性質が注目され、18世紀にはバイオリン属の弓に最良な材料として採用されました。ギター業界で言うところのブラジリアンローズウッド(ハカランダ)同様に希少材で、あまり使用されることはありません。ワシントン条約付属書IIに記載(輸出入に政府が発行する許可書が必要)されています。
https://espguitars.co.jp/productinfo/24148

 

ギタータウンのコメント

過去に数回ESPの木材ルームを拝見したことがある。そのルームは特別モデル用の木材ばかりなので、ほぼ全ての木材が銘木。単に杢目や産地が特別などと言う木材に限らないのが印象的だった。というのも、ESPは木材の世界的な流通ができたた80年代頃から様々な木材を求め、現在まで保有している。2021年のエキシビジョン・リミテッドなどで使われたトチなどもそれらのひとつだろう。今回、ぺルナンブコはさらに希少な木材だ。本記事は実機を見ずに書いているが、ぺルナンブコの特性などは興味がある。入荷する楽器店で試せれば試したいし、それが無理なら、入荷楽器店のスタッフにどんなサウンド、効果があったかなども知りたい。エクスペリメンタル・シリーズはシリーズ化されている製品なので、今後もレアな木材とそれに最適なギターデザインのギターが登場するだろう。このような実験的なシリーズは、すでに半世紀近い歴史があり、意欲的に楽器をデザインするESPにしかできないシリーズだ。大いに注目したい。

《12月21日追記》

今回、どうしても気になったので店頭で実機を試してきました。

ペルナンブコ材の指板は、明るいブラウンで、なめらかな触感。チョーキングや人差し指のビブラートなどでは(ローズウッドとは別の)心地良さが楽しめそう。全体のサウンドは、低音がしっかりと出つつブライト。クリーンなら爽やかだし、歪ませた低音弦のリフでも潰れにくいことが特徴になりますね。また、重さもかなり軽量。これらの多くは指板というより、ローステッド加工をしたスワンプ・アッシュによるものと思います。指板/ネック・グリップ/ボディのいずれも感触が良く、軽い。もし、所有したら手放せなくなりそうなフィーリングのギターでした。


【製品ページ】

https://espguitars.co.jp/productinfo/24148

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