彼の旅立ちから三年、彼が40歳を迎える誕生日である2021年1月19日にミニサイズの藤岡幹大モデルG-SN-62MFが発表された。
▲GrassRoots G-SN-62MF
価格=62,000円(税別)※初回ロットは5月出荷予定
彼のシグネチャー・モデルはESPの各ブランドからリリースされてきたが、本モデルは、彼の6弦シグネチャーの要素から
・Vintage Burgundy Mistのカラー
・ゼブラのハムを2基+ホワイトのシングルのHSHの組み合わせ
・ネック側PUのタップ・スイッチ
・ジョイント部のスターカット
などのアイデンティティー保持し、
・ふたまわり(89%)ダウンサイズ
・577mmスケール化
したモデルだ。
彼はギタリストとして素晴らしい音源も遺した。このギターには優しいカラーリングと幅広い音作りがある。藤岡幹大のファンだけでなく、これからギターをはじめようとする初心者にも引き継がれるだろう。
なお、「本モデル発売に際し、ご快諾頂きました藤岡氏のご遺族に感謝いたします。また、すべての藤岡幹大モデル売り上げの一部は、藤岡氏のご遺族に送られています。」とある。
《SPEC》
■BODY/ Alder
■NECK/ Hard Maple
■FINGERBOARD/ Pau Ferro, 22frets
■SCALE/ 577mm
■NUT/ Bone (42mm)
■INLAY/ Dot
■CONSTRUCTION/ Bolt-on (STAR CUT)
■TUNER/ Rotomatic Type
■BRIDGE/ BS 113
■PICKUPS/ (Neck) GH-1G, (Middle) GS-1G, (Bridge) GH-1G
■PARTS COLOR/ Chrome
■CONTROLS/ Master Volume, Master Tone, 5WAY Lever PU Selector, Neck PU Single Mode Switch
■COLOR/ Vintage Burgundy Mist
【製品URL】
https://espguitars.co.jp/artists/7232/
藤岡さんのこと
藤岡さんとは何度かご一緒に仕事をさせてもらった。特に当時(2016年春)渋谷のESP Museumに所蔵されていたストラトキャスターの試奏イベントは圧巻だった。
それは54年、57年、62年、65年のビンテージ・ストラトを弾き比べるイベント。彼は無味乾燥な音のチェックではなく、その楽器が持つ特徴を生かしたプレイをしていた。言葉では簡単だが、ギターのボリュームと両手のニュアンスで個々の微妙な違いを引きだす。リハーサルで、私が機材のセッティングしている際、「あ、これはメイプル指板!」「これはスラブ!」など、私は演奏する彼の姿を見ていないのに、音だけで私が言い当てられた。
彼は表現者である「一人のギタリスト」だけでなく、その指先には、説得力があり、どうにでも表現できる・・・何者にもなれてしまう「百人力のギタリスト」の器だった。彼の不在は日本のギター・シーン全体の損失と思う。
現在の私の立場上、リンクは貼れないが、興味がある方は彼のイベントの後に撮影した動画がYouTubeに残っているようなので、検索してご覧いただきたい。動画には彼のバーガンディの色の基になったと思われる62年ストラトを弾く姿も収録されている。
森廣真紀(ギタータウン)